劇団における男女問題の弊害
劇団が解散したり分裂したりする理由の多くは男女問題だった。
だったと過去形で書くのは、年々減ってきていると感じるからだ。
これも世代の違いなのだろう。若い世代は恋愛には興味なかったり、もしくは割り切りができる子が多い。(もちろん全員ではないが割合として)
昔は劇団内カップルが別れると、片方は辞めるというのが当たりまえだった。
だいたい『劇団の看板女優』なんて呼ばれる人は八割がた座長か演出家の女だった。
その座が変わると「あぁ、別れたのかぁ」という感じだ。
だが、これは仕方ないことでもある。
演出家と女優という組み合わせは恋愛関係に陥りやすい。(同世代や男が年上の場合は特に)
役者は自分の全てを曝け出さなければいけないし、演出家はそれを受け止める必要がある。
そりゃ、恋愛関係にもなる。
当然ながら、役者間でも男女問題は起きる。
若い男女が長い時間を一緒に過ごし、お互いに悩んでるとこや、頑張ってるとこを見せ合う。
そんな密な時間を毎日のように過ごすのだから、恋愛感情に陥ってしまうのも仕方ない。
だって人間だし、男と女だから。
困るのは『好きな人の演技は上手く見える』し『嫌いな人の演技は下手に見える』ことだ。
好き嫌いの感情を取り除いて他人の能力を客観的に見ることができる人は稀だ。
演出家が好きな人が『他の人に嫌われていたり』
逆に演出家が嫌いな人が『他からは好かれている』時は悲劇だ。
また、身近に好きな人がいる役者は『良く観られたい』と思う。
カッコつけるのは悪いことではないし、背伸びするのも良い。そうやって成長することもある。
だが、自分の役を善い人にしてしまうのは良くない。
それは役も役者も殺す道だ。
恋愛にしても演技にしても『自分を曝け出せる人』が本当に魅力があるのだと思う。
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