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読書

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2020年7月の記事一覧

In One Person

In One Person

The Hotel New Hampshireを読んだとき、はじめて Paul Austerを読んだとき以来の衝撃がわたしの全身を駆け巡った。

その一作でJohn IrvingがわたしにとってPaul Austerに並ぶ敬愛する作家になる確信が芽生えた。Irvingの紡ぐ一語一句がページから浮き上がって彼の世界に「おいでおいで」と誘っているかのようだった。
彼の描く世界に心から嫉妬した。彼の言葉

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The Moon and Sixpence

芸術の価値は誰に、どの様に決められるのか。
その価値基準は?傑作と駄作の違いは?

芸術の価値とは至極恣意的で、主観的である。難解な絵画を前に、「芸術の価値」について疑問を抱いた経験がある人も少なくないのではないか。

サマセット・モームの「月と6ペンス」を読んだ。絵画に全てを捧げ、タヒチで人生を終える画家の物語。モデルはもちろん、ゴーギャンである。

彼は文字通り、全てを絵画に捧げる。彼が捧げる

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Milkman

Milkman

読み始めると、独特すぎる世界観に頭のなかが「???」でいっぱいになる。この物語には登場人物の名前は出ず、具体的な地名や国名もあまり触れられることはない。

主人公は18才の女の子。彼女の住んでいるコミュニティは、すべての小さなことがゴシップとしてあっという間に広まり、ラベル貼りされてしまう。
彼女は噂のタネになる事を恐れ、目立たないように今まで生きてきた。政治的、宗教的な対立から距離をおくことを好

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