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伝統は守るものではなく、進化させるもの。

「夏=甲子園」というほど、全国高校野球選手権大会は、伝統ある“行事”“風物詩”である。ところが、気候変動による猛暑が厳しく、地区予選も含め、選手や観客が熱中症で救急搬送されるケースが増えている。

この問題にどう対処すべきか。と、迷っている場合ではない。「伝統」か「命」かの選択を迫られている。考える余地はなく、時間をずらすか、時期をずらすしか、対処の方法はない。やっと、休息日やナイターを実施することとはなったが、まだまだ不十分。このまま伝統に縛られていては、地球上もっとも重い「命」を犠牲にすることになる。

ビジネスや商売の世界でも同じ選択をしなければならない時がある。古い慣習・教えといった伝統を頑なに守ろうとすると、時代に取り残され、老舗の看板を降ろさなければならなくなる。

伝統は守るべきものだが、守っているだけでは、“古くさい”だけの価値のないものになってしまう。お客さまや時代に合わせて、少しずつ進化させなければならない。

伝統とは、カタチではなく、ポリシーのことである。お客さまに喜んでもらうためには何が必要なのかという、基本的な考え方のこと。考え方にこだわりを持っていれば、カタチが変わろうとも、それは伝統を守っていることになる。

何百年と続く老舗を見ればわかる。古いものを守りながらも、常に新しいものにチャレンジし、お客さまを飽きさせないようにしている。伝統にあぐらをかかず、日々努力を続けているのである。

伝統にあぐらをかいてしまったのが、日本の家電業界である。従来通りの「高機能」「多機能」「大型化」を追求し、消費者にそっぽを向かれてしまった。いまの消費者は、そんなものを求めてはいない。なぜ、気づかないのか。

そこに気づいたのが、日本の小さな新興メーカーで、いま非常に元気である。これまでの伝統で培われた技術をもとに、「単機能」「低価格」で市場を席巻し始めている。

「サムスン」や「LG」も低価格ではあるが、やはり日本人は日本の技術を信頼している。その伝統を持つ小さなメーカーが低価格品を出してくれば、そちらを選ぶのは必至である。

これは、家電業界そのものの“進化”と捉えることができる。伝統を守ることしか考えなかった大手メーカーは、消え去る時が来たのかもしれない。

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