Yumiko Igarashi /小児精神科医

小児科専門医/精神保健指定医/ボディートーク施術士ほか。 勤務医&健康相談(育児発達…

Yumiko Igarashi /小児精神科医

小児科専門医/精神保健指定医/ボディートーク施術士ほか。 勤務医&健康相談(育児発達相談/予防/栄養:病院では聞きにくいことOK @港区南青山:はりまる開鍼堂)。茶道/西洋占星術/オカルト/スピ/猫いけます。 公式;http://citrus-co.jp/

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失敗しにくい糖質オフ②実践編

前稿での失敗パターンを踏まえて、失敗しにくい糖質オフの方法を考えます。 ※なお、糖尿病で治療中の方は、薬との兼ね合い等で注意点があるので、このまま取り組まないようにお願いします。 糖質オフの進め方理論 前稿にも書いた通り、一言でいうと、「糖質オフとは、たんぱく質を消化吸収代謝できるようになったら、少しづつエネルギー代謝を糖質から脂質にシフトしていくこと」となります。 *まず、たんぱく質、脂質を消化できるようになる “そもそも糖質を減らせる状態じゃない”人の多くは、低た

    • 失敗しにくい糖質オフ:その① 失敗のパターン

      こちらの記事の続きです。 糖質はオフしたほうがよさそう…とは思うものの、糖質制限は危険だ、続かない、痩せないetc、様々な反対意見があります。 それらの懸念を解きほぐしながら、安全な糖質オフの導入を考えてみます。 糖質オフ(糖質制限)のよくある失敗パターン 糖質オフが“危険だ”と言われる背景には、この食事法が失敗しやすいことと関連していると思われます。 どちらかと言えば、食事法が間違ってるのではなく、移行の仕方がうまくない=それ以前の食事に合わせて丁寧に導入したほう

      • 糖質の悪影響な面

        前稿(↓)の続きです。 糖質は身体のエネルギーになる重要な物質ですが、摂取しすぎると脂肪になりやすいことを見てきました。 また進化の経緯で、身体は糖質をコンスタントに過剰に摂取することが想定されていないため、過剰な糖質には思わぬ悪影響があることも知られます。 血糖が高いことの影響血糖が高い際の不利益を考えます。 短期的には、人体は高血糖にはある程度耐えられます。太古の人類も、果物の結実期など大量の糖質を一気に食べることはあったでしょう。 なので、糖を摂ったらすぐ危険が

        • 糖質オフの考え方

          「糖質制限」、今では知らない人はいない言葉となっていると思いますが、どのようなイメージをお持ちでしょうか? ある人は常識だといい、ある人は危険だという… ネットで見ても、両極端な言説がならんでいるようです。 おそらく体質(遺伝と育った環境)の影響をうけるため、全員が同じではないからいろんな説が出ているように思えます。 正直なところ、私にも正しさを判定することはできないのですが、現在わかっている生化学学説での糖質の立ち位置を知り、自分の身体と糖質の付き合い方を探ることはでき

        失敗しにくい糖質オフ②実践編

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          本当は怖くない鉄分②:フェリチンは危ないという誤解

          本当は怖くない鉄分;鉄分の摂り方記事のつづきです。 貯蔵鉄フェリチンの基準値についてはこちら(鉄分・貧血に関わる検査データのよみ方)を参照ください。 貯蔵鉄;フェリチンは細胞の中にあり、さまざまな鉄利用にそなえて貯蔵されています。 一番の鉄利用先は赤血球(ヘモグロビン)です。 なので、フェリチンは赤血球づくりへの利用が優先され、低フェリチンになっても、見かけ上貧血とならないという現象が起こりえます。 巷では、貧血のない鉄欠乏を「隠れ貧血」と呼んだりもしています。 つま

          本当は怖くない鉄分②:フェリチンは危ないという誤解

          本当は怖くない鉄分;鉄分の摂り方

          鉄分について、 につづき、鉄分の摂取の考え方を書いてみます。 また、一部ネット言説で「フェリチン値が高くなるのは危険だ」というのを見ますが、これは誤解です。フェリチンの意味についても解説します(後半こちらへ)。 * 結論から言うと… ● 月経のある女性と成長期までの子どもは、積極的に鉄分補給を考えた方がよいでしょう。 鉄分入りの食品や、鉄剤の利用も考えます。 同時にたんぱく質もしっかりとる必要があります(参考;親と子のたんぱく質の盛り方、同実践編)。 ● 成人男性

          本当は怖くない鉄分;鉄分の摂り方

          鉄分・貧血に関わる検査データのよみ方

          身体における鉄分の重要性に続いて、鉄分・貧血に関わる検査データの読み方を見てみます。 また、貧血に関するデータの男女差を例示します。 前稿はこちら  ↓ この記事は、公式ブログ(2021.06.04)のものを、一部改変し転載しています。 検査データの読み方 貧血・鉄欠乏に関連する検査データの読み方です。健診などで測った際には参考にしてみてください。 1) 血算;赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)値 血算とは、血液中の白血球(WBC)、赤血球(RBC)、血小板(

          鉄分・貧血に関わる検査データのよみ方

          鉄分の重要性~「貧血」だけではない必須ミネラルです

          鉄分は貧血予防になるミネラル分だという事はよく知られていると思いますが、実は鉄が重要なのは赤血球(貧血)だけではありません。 当たり前ですが、鉄分は身体の中で“金属の鉄”として存在しているわけではなく、“鉄イオンとたんぱく質が結合した状態”で存在しています。 たんぱく質とは、ヘモグロビン、トランスフェリン、ヘモジデリン、ミオグロビン、チトクロム、そしてフェリチンなどの種類があります。 これだけたくさんの種類のたんぱく質と結合し様々な働きをしているということから、鉄分の大切

          鉄分の重要性~「貧血」だけではない必須ミネラルです

          発達のメカニズム~多動傾向のなりたち②:よくある問題と支援目標

          こちらの記事の、後半になります。具体的な発達支援の方向性を考えます。 この記事は、公式ブログ(2021.04.23)のものを、一部改変し転載しています。 多動症支援の問題は、生理的特徴による行動を含め心理的反応までもが過小評価され、本人の「やる気のなさ」「駄目さ」として見られがちになるところだと思います。 当然そこに、“精神論的指導”がなされても意味がないばかりか害になる可能性があります。 *注意事項* いずれ別記事にしようと思いますが、私は純粋な意味での自閉症と多動症

          発達のメカニズム~多動傾向のなりたち②:よくある問題と支援目標

          発達のメカニズム~多動傾向のなりたち

          過去稿でも触れましたが、私は、日本人はグラデーション的には全員が自閉症の遺伝傾向を持っている、またその中で多動症の遺伝傾向のある人は臨床域で数%、グラデーション的には数十%くらいと考えています。 なので゛普通に”育てても多少の特性が現れるのは当然です。 育ての目標は「特性を消すことではなく、社会に適応しやすい大人になること」が、よいと思います。 それでも、適応するかしないかは本人次第ですし、社会の側の要因にもよるので必ず適応するとは言えないのが難しいのですが。。 発達特

          発達のメカニズム~多動傾向のなりたち

          発達のメカニズム~自閉傾向のなりたち②:よくある問題と支援目標

          こちらの記事の、後半になります。具体的な発達支援の方向性を考えます。 この記事は、公式ブログ(2021.04.23)のものを、一部改変し転載しています。 乳幼児自閉症のよくある問題と支援目標 以上みてきて、自閉症支援の問題点が見えてきます。 心理的反応まで含めて「特性」ととらえられがちで、生理学的な問題(脳の機能)が過小評価されているところです(これはICDやDSMでもそうなので診断としてもそのようになってしまいます)。 このことでおきる問題は、多くの現場で、心理的反

          発達のメカニズム~自閉傾向のなりたち②:よくある問題と支援目標

          発達のメカニズム~自閉傾向のなりたち①

          前稿↓では、健常児寄りの発達のメカニズムを考察しましたが、次に派生して、発達障害のなりたちについて考えます。 まずは日本人のすべてがあてはまる「自閉傾向(ASD傾向)」について。 (多動はこちら→) この記事は、公式ブログ(2021.04.23)のものを、一部改変し転載しています。 自閉のなりたちと支援の方向性 過去稿でも触れましたが、私は、日本人はグラデーション的には全員が自閉症の遺伝傾向を持っている、またその中で多動症の遺伝傾向のある人は臨床域で数%、グラデーション的

          発達のメカニズム~自閉傾向のなりたち①

          自閉症のエピジェネティクス②:環境要因としての妊娠

          前稿では自閉症の発症に対する、遺伝と環境要因について考察しました。 中でさらっと書いてきましたが、自閉症は胎児期の環境の影響をうける、とかなり恐ろしい知見がありました。 二卵性双生児ときょうだいでの比較研究がされていない以上、医学的に「そうだ」と断言はできないのですが、可能性がある以上、できる限りは対応するにこしたことはないと思います。 母胎環境の要因として考えられることは、お母さん自身の栄養状態です。その他には、家庭事情や社会情勢によるストレス因や、身体・精神疾患など個

          自閉症のエピジェネティクス②:環境要因としての妊娠

          自閉症のエピジェネティクス①:環境要因について考える

          前々稿、前稿と『遺伝子と環境の気になる関係』を見てきました。(下記記事) 〈参考記事〉 遺伝子と環境の気になる関係①:エピジェネティクス 遺伝子と環境の気になる関係②-1:環境への適応 遺伝子と環境の気になる関係②-2:体質と発達〉 私たちは、遺伝子にすべて規定されているわけではなく、環境の影響も強く受けて、柔軟に変化しながら生きていると、なんとなくでも理解できたでしょうか? その中で、双子研究に触れましたが、今回は自閉症(ASD:自閉スペクトラム症、自閉性障害などを含

          自閉症のエピジェネティクス①:環境要因について考える

          なぜ「先天障害」ではなく「発達障害」なのか?~発達のメカニズム

          発達障害はあくまで“発達”障害であって、“先天”障害ではありません。生まれつきで「そうなる」と決まったわけではなくて、発達の過程でなりたつということです。 なので、特性に対する支援アプローチも、発達の終わった大人と、発達途上の子どもに対しては違います。 子ども期の発達のメカニズムを知ることで、遺伝特性に合わせた発達の支援ができるようになると思います。 今稿では(健常児寄り)発達のメカニズムと、次稿以降で、発達障害の特性のなりたちと支援目標について考えます。 この記事は、公

          なぜ「先天障害」ではなく「発達障害」なのか?~発達のメカニズム

          野菜の栄養

          野菜について、第3弾です。 第1弾、第2弾では、野菜の栄養素:食物繊維、フィトケミカルについて見てみましたが、従来の野菜のイメージは「ビタミン・ミネラルが豊富」ではないでしょうか? 本当にそのイメージは正しいのか、野菜や果物の栄養について考えます。 この記事は、公式ブログ(2020.09.09)のものを、一部改変し転載しています。 野菜の栄養価は変化している? *野菜の栄養が減っている説 「昔とくらべ、野菜の栄養が少なくなってきている」とは10年くらい前からよく聞くよう