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日本の住宅文化の課題とは? ~経年進化という新たな価値観へ~

こんにちは。アイジーコンサルティング メンテナンス事業部の責任者をしております村木寿光です。
私たちは、ビルダー様の建築後のアフター点検の代行やその後のメンテナンスを通じて、お住まいの方々の安心をアップデートするお手伝いをしています。
今回は、日本の住宅環境の社会課題と私たちの目指す課題解決の考え方についてご紹介します。


もったいない!日本の住宅寿命の短さ

日本の住宅は世界的にみると短命と言われます。
取り壊された住宅の平均築年数は38年余り(令和5年時点)と、アメリカやイギリスなどと比較して短いものとなっています。

参照)令和5年度 住宅経済関連データ - 国土交通省より

気候風土,地震発生頻度,国民性や歴史的背景など、様々な違いはあるので単純比較はできませんが、少なくとも諸外国と比較して日本は住宅を短命に扱っていると言えるでしょう。
30数年で家を使い捨てている!?と言っても過言ではないと思いますが、皆さんはどう感じるでしょうか?『MOTTAINAI』の精神の国と言いつつも、住宅についてはもったいない使い方をしているようで、私はこの現状にずっとモヤモヤしています。

※短命な日本の住宅事情になった経緯について、詳しくはこちらで記事にしています。

日本の住環境の課題


 新築を建てる(買う)
 → メンテナンスしない
 → 長年経って住み継げない状態に
 → 建物としての価値がなくなる
 → 使い捨て壊す
 → 次の世代も同じ繰り返し
この負の永久スパイラル。しかも、これを多くの人が毎世代のように大きな額の住宅ローンを抱えて繰り返しています。たしかに日本国憲法にある『健康で文化的な最低限度の生活』は十分に満たしているかもしれませんが、本当にこれで物心ともに“豊かな暮らし”と言えるでしょうか?

さらに、上記の負のスパイラルにはもうひとつ大きな課題があります。
 新築を建てる(買う)
 → メンテナンスをする
 → 長年経っても十分に住み継げる状態に
 → でも建物としての価値はなくなる
 → 使い捨て壊す
 → 次の世代も同じ繰り返し

つまり、メンテナンスしてもしなくても、住める家でもそうでなくても、住宅の価値は大きく低下してしまうため、住宅を大切に使って長持ちさせる金銭的インセンティブはほとんどありません。

課題をまとめるとこのような感じです。

[日本の住環境の課題]
 長持ちしにくい家が存在している

 住宅をメンテナンスして長持ちさせようという意識文化が薄い
 住宅のリセールバリュー(再販価値)が著しく低い

アイジーコンサルティングが目指す課題解決

私たちはこれに対して、誰の営みをも壊さない“ゆるやかで・やさしく・あたたかな”社会課題解決を目指しています。

[わたしたちが目指す課題解決]
・地域にも環境にも人にもやさしく、長持ちしやすい“いい家”を建てる

住宅メンテナンスを通じて造り手と住まい手の双方に関わり続けること で、より永くより良い状態を維持し愛着をはぐくむ
住まいに新たな価値を吹き込むことにより、愛着を紡いで次世代に住み継いでいく

まず機能的に優れて長持ちしやすい家であることも重要ですが、「大切にしたい!」「長持ちさせたい!」と思える家かどうか、そしてそれは環境にやさしく地域にも愛されるものであるかどうか、これらもだいじだと思うんです。そうした“愛着ある家づくり”を目指しています。
そして、どれだけいい家を建ててもメンテナンスしなければ良い状態で長持ちはできません。そして住宅の維持管理は何十年もの長期に渡り続けていくもので、それを造り手の建築会社ともに住まい手にずっと寄り添い続ける。手塩にかけてきたものに対してはおのずと愛着って沸きますよね。さらにそこには月日を重ねただけの住まい手の想い出がたくさん折り重なっていきます。
物質的な価値で考えれば時間とともにモノは劣化していくものかもしれません。しかし、その物質的価値をメンテナンスして維持し、そこに愛着や想い出といった心理的価値が加わっているのであれば、これは『経年劣化』ではなく『経年進化』と言って良いのではないでしょうか。
そしてリフォームやリノベーションをして新たな価値を住まいに吹き込み次の住まい手に引き継ぐことで、“これまでの愛着”と“これからの愛着”とが紡ぎ合って進化した価値が芽吹いていく
これをしかも、ただの綺麗ごとだけではなく、ビジネスとして成り立たせ、持続可能なかたちで社会に価値を生み出していく

これがわたしたちが生み出していきたい経年進化の循環です。
効率的で生産的で合理的なことだけを追求していく社会ではなく、
モノもココロも・人も社会も・地域も環境も、より永く、より丁寧で、より大切にする社会を創りたい、そう願っています。
わたしたちは、この『経年進化』という美学を世界に投げかけていきます。

いかがでしょうか?
そのような社会となったら、いまよりもちょっとステキな未来になるような気がしませんか?

このような社会を目指し、そこに一歩でも近づけていく。これがわたしたちの挑戦であり、ある意味で壮大な社会実験かもしれません。
このわたしたちの挑戦を、あたたかく見守っていただければ幸いです。


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