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仕込み容器と手作り醤油

今日も数ある投稿の中で私の投稿をご覧いただきましてありがとうございます。ちょっとシリーズでご紹介している「お醤油」についてです。

前回までお醤油の種類と製造方法、生(なま)醤油と生(き)じょうゆ、減塩醤油、原材料の大豆、天然醸造についてご紹介してきました。(文末にリンク貼っておきます。)

また醤油?

って思われちゃうかもしれないですが、調味料って少量ですが毎日使っているので健康への影響って意外とあると思っています。
和食と言えば調味料の”醤油”は欠かせません。

また5年前ぐらいですが国立がんセンターで術後の回復食の講演会に参加したことがあります。
回復食として和食や地中海食が注目されていると講師の方がおっしゃっていました。
ただ、地中海食についてかなり科学的な研究が進んでいてエビデンス(根拠)が多いようですが、和食に関しては科学的な研究がまだまだ進んでおらず、エビデンスが少ないとおっしゃっていました。
令和の時代もこの少ないまま終わるのでしょうか。

2013年に「和食」はユネスコの無形文化遺産に登録されました。
この登録された「和食」について(農林水産省ホームページから一部変更)下記のように定義されています。

「和食」は日本の南北に長く、四季が明確で多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきました。
「自然を尊ぶ」という気質に基づいた「食」に関する「習わし」が「和食」です」

この概念に基づいた「和食」の概念は絶滅の危機に瀕している感じています。
しっかり目の前にある食事に集中し、自分が”何”を食べているか意識を集中した方が良い思います。
その上で和食の要である醤油への理解が深まり、食を通して自然の恵みを感じ、健やかな生活を営むヒントになればと思っています。

日本にいると”そこにある”当たり前”と思っていることも海外に出ることによって自分の価値を再評価できることがあります。
私も幸運にも海外34カ国を訪問してきましたが日本を離れると、日本の”和食”は本当に美味しいなと思います。

もう7年ぐらい前ですが、中東を2週間ぐらい出張し、ドバイで日本食を食べた時、素材は新鮮でしたが醤油が「醤油と呼べるものではなく」残念な思いをしたのは特に印象的です。

前置きだけで750文字を費やしてしまいましたが、今日は

醤油の仕込み容器と手作り醤油

について書きたいと思います。

仕込み容器

量産用しょうゆ諸味容器

仕込み容器と言うとタンクをイメージする方が多いのではないかと思います。実際に量産されるタンクは最初はコンクリート製だったそうですが、鉄製、ステンレス製、グラスファイバー製の容器が使われているようです。
現在は醤油諸味に他の醤油諸味から選んだ優良な乳酸菌や酵母を添加し
つくります。こちらの方が醤油が作りやすいそうです。

参考の本には”衛生的”という表現もありますが、これは醤油の歴史を考えると・・・ちょっと疑問が。

しかし昔は杉の木を使ったしょうゆ諸味容器が使われていました。

木樽のしょうゆ諸味容器

スーパーやインターネットで調べていると”杉樽天然醸造”と書いてある醤油を見つけられるかもしれません。日本の伝統的な杉材を使った5~10㎥の樽が使われいたそうです。
日本酒で杉樽で作られた樽で醸造すると杉の風味が樽酒に移る効用があるそうです。ウィスキーもカシやナラ材の樽に詰めることによって樽材の成分がウィスキーに溶け効用があるようです。

ただし、醤油の諸味には杉の木樽の杉の香りがどのように影響を与えているのか科学的な解明ができていないようです。

杉樽で作られた昔ながらの醤油は微生物である乳酸菌や酵母は添加せず、
醸造場所である蔵や桶に生息している微生物によってつくられます。


蔵や木樽に生息する微生物は、前年度に醤油を作ったその蔵の環境や周囲の自然環境に適応した微生物たちです。

醤油蔵の匠が毎年丹念に諸味の世話をして、良い諸味を作る微生物を残すことによって次の年も良い醤油ができるそうです。このよう歴史を地道に積み重ね実績を積んだ醤油だそうです。

逆にお世話が上手くいかなかったり醤油屋に熱意が無くなったり、失敗作をつくってしまうとその後数年、優れた醤油は作れなくなってしまうそうです。
このように職人と微生物達との共同作業を通して木樽の醤油は出来上がるそうです。

これこそ冒頭で述べた世界無形文化財の「多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきました」和食の概念だと思います。

手作り醤油

市場で流通している醤油は機械化された工場で作られていますが、以前は各家庭でも手作りで醤油を作っていたそうです。
以前は農家で大豆を煮るか蒸して、自家製麹と共に瓶に入れて醸造していたようですが、相当な熟練工でないと作るのは難しいそうです。

市販されている醤油の表示では、以下の条件を満たす場合に

”手作り”

である旨の表示をすることができるそうです。

①天然醸造であること(天然醸造については前回の投稿でご紹介したのでご覧ください)
②麹に麹ぶた又は”むしろ”で製麹し手入れも人手で行われていること
③もろみの攪拌(かき混ぜる)は手作業であること
④本醸造でセルラーゼといった酵素で醸造を促進しておらず、食品添加物が使用されていないもの。

「木樽で製造した手作り醤油」は本当に貴重な技なのだと思いました。
この素晴らしい技法は果たして次世代に継承できるのでしょうか?

今日は以下Webと本の情報を参考に作りました

「しょうゆの不思議」(日本醤油協会)

タイトルの写真は「みんなのフォトギャラリー」から使用させていただきました。
過去のお醤油に関する投稿は以下からご覧になれます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう!次回もお醤油について掘り下げたいと思います。
皆様、よい週末をお過ごしください!

#未来志 #未来史 #noteのつづけ方 #自分にとって大切なこと #木樽 #本醸造醤油 #杉樽 #手作り #セルラーゼ #医食同源

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