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藤原
2023年5月11日 07:54
それはハイライトブルーのような夏だった。その夏は僕に「薄い」という印象を思わせた。そしてそれがどういったことなのか考えるにはあまりに暑かった。僕はアパートに空調器具を持ち合わせていなかった。金銭もなかったし、その類の作り出す独特で近代的な空気が苦手だった。僕は部屋中の窓を開けて、汗を吹き出させながらひたすらハイライトを吸い、十代の内に浴びるように読んだ文庫本を読み返した。昼は大抵蕎麦を茹で