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とあるインテリアショップのオーナー兼バイヤー

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記事一覧

ドイツ人夫婦-9

午後からの図書館での初めての英語教室。 僕はここで今でも忘れられない 大失敗をおかしてしまう。 少し早めに教室に入り先生に挨拶を済ませた。 30代くらいの女性で 笑顔…

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2か月前
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青・春 #8

ボスの前職は、猟師。 なので、家には自分が捕らえた 熊や鹿の剝製がすらっと並んでいる。 たまに夜になると獣害対策の為 猟銃を持って飼い犬の小型犬(ティッツ) を連れ…

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2か月前
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思春期真っ只中 #7

ボスの家では、 散髪は家族揃って庭で行う。 だから皆んな前髪がバッサリ揃っている。 散髪してあげるからいらっしゃいと 僕も声を掛けられたのだけど それにだけは、かな…

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2か月前
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将来何になりたいの? #6

YUTAという名前は ここでは覚えやすい名前で アメリカのユタ州を連想するらしく 自然に僕の名前もユウタでなく ユタになっていて 街のショッピングセンターに行けば 伝言…

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2か月前
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郷に入っては郷に従え #5

大学生もこの街を去り 僕の家の食糧も底をついてきたので 久しぶりに一人歩いて街へ出てみることに。 この日は、以前ウェインと ホームセンターで買った短パンにビーサン …

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2か月前
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英会話 #4

僕がオーストラリアのこの地に住み始めた頃 僕の英語は酷いもので、、 単語にPLEASEさえ付ければ何とか通じる。 そんなものでした。 そんな僕の英語の先生は、歯のないミ…

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3か月前
6

デニムにトレーナー #3

競馬場の解体の仕事は、 変わらず土に埋まった 何百本の木の杭を抜く作業。 木の杭にチェーンを引っ掛け 車で引っ張り抜いた後に それを二人で持ち上げて 車の荷台に積んで…

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3か月前
7

運転免許証 #2

月日は流れ 競馬場のフェンスも剥がし終わり 数百本はあるであろう 競馬場の木の杭を抜く作業に入った頃 いつも家から歩いて通勤する 僕を見兼ねたボスが 使っていないモ…

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3か月前
9

辺境の地で #1

私にとってオーストラリアは、 ちょっと思い入れのある国で 実は、中学を卒業した16歳ぐらいの頃から オーストラリアの山奥で一人暮らしをしておりました。 当たり前です…

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10か月前
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ドイツ人夫婦-9

ドイツ人夫婦-9

午後からの図書館での初めての英語教室。
僕はここで今でも忘れられない
大失敗をおかしてしまう。

少し早めに教室に入り先生に挨拶を済ませた。
30代くらいの女性で
笑顔が素敵な先生だった。
先生は、楽しい授業にしましょう!
と、優しく僕を迎えてくれた。

教室には既にドイツ人夫婦が席についていて
どうやら生徒は僕を含めた3人らしい。

授業の最初に自己紹介を済ませ
先生からの幾つかの質問に答えた。

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青・春 #8

青・春 #8

ボスの前職は、猟師。
なので、家には自分が捕らえた
熊や鹿の剝製がすらっと並んでいる。

たまに夜になると獣害対策の為
猟銃を持って飼い犬の小型犬(ティッツ)
を連れて猟に出かける。

僕にはどこに獲物が居て
どこを狙って撃っているのか全く分からないが
毎回一撃で仕留めティッツがそれを運んでくる。

いつもは可愛い小型犬のティッツも
猟の間は野生の顔になり
牙をむき出しにして立派な猟犬となる。

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思春期真っ只中 #7

思春期真っ只中 #7

ボスの家では、
散髪は家族揃って庭で行う。

だから皆んな前髪がバッサリ揃っている。
散髪してあげるからいらっしゃいと
僕も声を掛けられたのだけど
それにだけは、かなり抵抗があった。

別に仕事の往復だけで
誰も見てはいないのだけど
そこは、僕の最後の砦の様な気がして
絶対に譲れなかった。
そう、僕は思春期真っ只中だった。

だから次の週末に
街の床屋さんに行ってみる事にした。

街の床屋さんは、

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将来何になりたいの? #6

将来何になりたいの? #6

YUTAという名前は
ここでは覚えやすい名前で
アメリカのユタ州を連想するらしく
自然に僕の名前もユウタでなく
ユタになっていて

街のショッピングセンターに行けば
伝言掲示板にボスの奥さんやミックの奥さんが
もしユタが街に居るなら何時にここで拾うわよ。
なんてメッセージが貼られていて
お陰で大量の買い物をしても
この頃には歩いて帰る心配はなくなっていた。

僕がいつも買うのは、
お米(ボソボソし

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郷に入っては郷に従え #5

郷に入っては郷に従え #5

大学生もこの街を去り
僕の家の食糧も底をついてきたので
久しぶりに一人歩いて街へ出てみることに。

この日は、以前ウェインと
ホームセンターで買った短パンにビーサン
オーストラリアと文字の入った
サーフブランドのパーカーを着て出かけた。

家から街までの道は、ただの一本道で
左手には数軒の牧場がずっと広がっている
ただ、あまりにも広すぎて何を飼っているのか
オーナーは誰なのかも良くわからない。

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英会話 #4

英会話 #4

僕がオーストラリアのこの地に住み始めた頃
僕の英語は酷いもので、、
単語にPLEASEさえ付ければ何とか通じる。
そんなものでした。

そんな僕の英語の先生は、歯のないミック。
ミックは寡黙で感情を面に出さないのですが
突き放されているという感覚もなく
一緒に居てとても心地がいい。
仕事中の殆どの時間をミックと過ごしました。

ミックの話す英語は簡潔でとてもシンプル。
だから覚えやすく理解しやすい

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デニムにトレーナー #3

デニムにトレーナー #3

競馬場の解体の仕事は、
変わらず土に埋まった
何百本の木の杭を抜く作業。
木の杭にチェーンを引っ掛け
車で引っ張り抜いた後に
それを二人で持ち上げて
車の荷台に積んでいく作業を1日中。

その木の杭は、週末にチェーンソーで切り
暖炉用の木として持ち帰ります。
暖炉は本当に暖かく
眺めていると時間が経つのを忘れてしまい
僕の一番の癒しとなっていました。

ある日、仕事を終え
いつもの様にボスの家へ

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運転免許証 #2

運転免許証 #2

月日は流れ
競馬場のフェンスも剥がし終わり
数百本はあるであろう
競馬場の木の杭を抜く作業に入った頃

いつも家から歩いて通勤する
僕を見兼ねたボスが
使っていないモトクロスバイクを
通勤用にと貸してくれる事になりました。

バイクの運転は好きだったので
これは僕にとっては、かなりの出来事。

お昼休憩に試し運転をさせて欲しいと
ボスに打診すると

OK、道の左側だけを走れよ、とボス。

オースト

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辺境の地で #1

辺境の地で #1

私にとってオーストラリアは、
ちょっと思い入れのある国で
実は、中学を卒業した16歳ぐらいの頃から
オーストラリアの山奥で一人暮らしをしておりました。

当たり前ですが
インターネットなんて存在せず
携帯もテレビなんてものもない。
これぞ、山の中でポツンと一人暮らしです。

窓から外を覗いても人が見える訳もなく
家の外に出ても人が歩いている訳でもない。
数日間、人を一人も見なかった、
誰とも喋らな

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