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PE投資の極意

 こんにちは!identity academy2期生の岡です。
今回は、本アカデミーの中でスマートキャピタル代表の重光孝司さんに講義をいただいた「PE投資の極意」で学んだことを皆さんにご共有させていただければと思います。

(画像出典先:https://gaishishukatsu.com/archives/150401)

1. PE投資とは

 近年、学生間の会話の中でも聞かれるようになったPE投資。この記事を読んでいる方の中にも、一度は耳にしたことがあるという方は多いのではないでしょう。他方で、PE投資とは何かと聞かれて正しく説明できる方は少ないのではないでしょうか。そこで、まずはPE投資とは何かを説明していきます。

 PEとは、Private Equity(未公開株式)の略称です。これに投資という言葉がつくので、PE投資とは、未公開株式を対象とした投資、ということになります。
 PE投資の中でも、投資対象企業の規模や成長段階によって呼び名が異なり、大きくはベンチャー・キャピタル投資(売上のない初期段階から、商品の開発に伴い売上が立つようになるまでの段階の企業への投資)、グロース・キャピタル投資(商品開発から、商品がどれだけ市場で受け入れられるかにリスクが移行する段階の企業への投資)、バイアウト投資(通常、キャッシュ・フローがプラスになっている企業への投資)、ディストレスト投資(業績が低迷、破綻している企業への投資)に分類されます。

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(出所)「PE投資の意義と課題」マーサージャパンより引用

 一般的にPE投資というとバイアウト投資のことを指します(そのため、ここから先はPE投資=バイアウト投資としてお話ししていきます)。投資銀行や戦略コンサルティングファーム等の在籍者の転職先として人気の高いPEファンドは、バイアウト投資を行うファンド運営会社のことであり、今回講義を行って下さった重光さんが所属されていたユニゾン・キャピタルもこれに該当します。

 バイアウト投資の特徴は、投資家が投資対象企業の発行済株式の過半数以上を取得することで、当該企業の筆頭株主となり、マネジメント陣とともに経営を遂行していくことにあります。投資といわれて一般的にイメージされる公開株式や債券、不動産等への投資においては、投資家は投資対象の価値が今後どのように推移するか予想を行うのみですが、バイアウト投資では、投資家自身が投資対象の価値向上のために働きかけを行うのです。この点が、バイアウト投資の最大の魅力であり、難しさであると言えるでしょう。

2. PE投資のプロセス

 では、PE投資とはどのようなプロセスで行われるのでしょうか。PE投資のプロセスは、投資実行、投資管理、投資回収に大別されます。ここからは、それぞれのプロセスの中で具体的にどのようなことが行われているかをご紹介します。

 投資実行段階では、投資対象企業のソーシング、デューデリジェンス、バリュエーション、資金実行を行います。
 ソーシングでは、主にM&A仲介会社や売り手FAからの売り案件の紹介やリファラル等により投資候補となる企業のリストアップを行います。これらの企業のオーナーに対し、企業譲渡の検討に係る交渉・意思確認を行い、これが認められた場合、デューデリジェンスに移行します。

 デューデリジェンスでは、投資候補企業の事業や財務、法務体制の精査を行います。この段階で、投資実行後にどのように企業価値を向上させるかについての計画(=バリューアッププラン)の策定を行います。 

 バリュエーションでは、各種デューデリジェンスで得た情報から、当該企業の企業価値の算出し、これを基にオーナーと企業譲渡に係る交渉を行います。オーナーが譲渡に合意した場合、実際に当該企業の株式を買収します(=資金実行)。

 投資管理段階では、買収後の組織体制の整備及び前段で策定したバリューアッププランに基づいた経営遂行を行います。このフェーズでどれだけ企業価値を向上させられるかが投資回収段階で獲得するキャピタルゲインの多寡に直結します。

 投資回収段階では、他企業へのM&AやIPO、MBOにより投資先企業の株式の売却を行います。ここで得られた金額と投資金額の差額が投資家の利益となります。一般的に、投資実行から回収までには5-7年程度の期間を要します。

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(出所)「投資ファンドとは」株式会社コトラより引用

3. 投資家に求められること

 ここまで見てきたPE投資のプロセスの中で特に重要となるのが、バリューアッププランの策定とこれを基にしたオーナーとの企業譲渡に係る一連の交渉です。これを成功させるために、投資家には以下のようなことが求められます。

 バリューアッププランの策定においては、投資候補企業の状況や当該企業が事業を展開する市場の環境をつぶさに分析し、勝ち筋を描くことが必要です。これを行うためには、経営や事業に対する深い理解が求められます。PEファンドが投資銀行出身者と並び戦略コンサルティングファーム出身者を好んで採用するのはこのためです。バリューアッププランの策定が上手くいかなかったにも拘わらず投資が成功する(=期待していた水準と同等かそれ以上のキャピタルゲインが得られる)ことなどあり得ません。どれだけ筋の良いバリューアッププランを描けるかが、投資全体の成否を分けると言っても過言ではないでしょう。

 オーナーとの企業譲渡に係る交渉では、投資家の「人間力」が試されます。企業への投資と言っても、その主体はあくまで人です。企業にはそれぞれのストーリがあり、これを創ってきたのは当該企業のオーナーであり、経営陣であり、従業員です。彼らの思いを蔑ろにするような姿勢では、企業を譲渡してもらうことなど到底できません。投資家が、企業がこれまで成長してきた背景を読み取り、ステークホルダそれぞれの思いを最大限尊重することで、PE投資は成り立ちます。投資家には、高度なビジネススキルを備えていることだけでなく、人間として成熟していることが求められるのです。

4. おわりに

 今回の講義の中で最も印象的だったのは、重光さんが「PE投資においては、投資先企業のオーナーの思いを汲み取ることが重要である」ことを強調されていたことです。
 「PE投資の極意」とは、投資先企業の買収・売却時の財務的なテクニック等をイメージしていましたが、その本質はやはり人であるということに気づかされると共に、自身の考えの浅はかさを感じました。これから始まる社会人としての生活では、ビジネスマンとしての成長だけを追い求めるのではなく、一人の人間として成長し、魅力的な人材となれるように精進していきたいと思います。
 この場を借りて、このような貴重な学びの場を設けてくださったidentity academy代表理事の森山さん、理事の居松さん、重光さん、各務さんに深く御礼を申し上げます。

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