大学以外で心理学の研究者を続けられる道?イデアラボってこんな会社です。
はじめまして。イデアラボと申します。自称、知る人ぞ知るニッチベンチャー企業ですが、アカデミックとビジネスの世界を繋いでいる会社があるよ!ということをもっと知っていただきたくnoteをはじめました。
この記事はサイエンスコミュニケーション活動の立ち上げに奮闘している社員の井原が書いています。
サイエンス?心理学ってサイエンスなの?と思っている方にも、イデアラボや心理学のことを知っていただければ幸いです。
①どんな仕事なのか
イデアラボは、心理学の研究者による研究開発のコンサルティング会社です。
心理学といえば「カウンセリング」のイメージがあるかもしれませんが、実はもっと幅広く、ヒトの心や行動の仕組みを科学的に研究する学問です。心理学の分野で博士号を持つ研究員が専門的な視点から、ものづくりやサービス開発のための研究をサポートします。
例えば、これまでやってきたテーマの一部にはこのようなものがあります。
・お酒に酔うとはどういうことなのか
・ロボットとのコミュニケーションをスムーズにするには
・建物の快適性をどう測定するか
・省エネを自発的にしてもらうための効果的なアプローチとは
・観光客を増やすために必要な取り組みとは
こうしたヒトの心理や行動に関するあらゆる各企業の悩みを「リサーチクエスチョン」に落とし込み、科学的な調査や実験を通して解明していきます。
コンサルティングと言っても、アドバイスをするだけの立場ではなく、実際に調査や実験を行う「受託研究」「共同研究」の方が近いかもしれません。
調査や実験に使う手法は、ケースごとに一から設計しています。
質問紙調査(専門的なアンケート)の主観データ、心拍や脳波のような体の反応を測定する生理データ、面接法や観察法などから得られる行動データなどを分析して考察します。
時にはクライアントと併走しながら、時にはこちらでガンガン実験を回しながら、研究を進めていきます。
また、コンサルティングだけではなく講義や講演会などのご依頼もお受けしています。
「正しい質問紙調査について」「心理学×データ分析関連」「研究×ベンチャー起業関連」などが人気です。
②どんなところと仕事をするのか
ヒトに関することはなんでも研究テーマになるので、クライアントの業種は多種多様です。
身近なところでは飲料や化粧品などのメーカーの商品開発に携わることもありますし、ゼネコン、通信、機械などの研究部門や、環境省などの行政機関、国の研究所や大学などから依頼をいただくこともあります。
③学術的なクオリティにこだわる
イデアラボは2020年で10年目を迎えます。ベンチャー企業が10年生き抜く方法についてはまた別の機会でお話しするとして、長く続けるために大事にしていることがあります。
それは、アカデミックな研究(=クライアントがどこに出しても恥ずかしくないレベル)にこだわることです。
当たり前でしょうか?
当たり前に聞こえるかもしれませんが、アカデミックな研究にこだわるというのはビジネスとしてお金を稼ぐことを優先にした場合、ストレートなやり方ではありません。
ビジネスと研究の世界では、時間軸も、予算も、求められる結果も違います。ビジネスの世界に合わせて「早くアウトプットしてたくさん案件を回す」「無茶振りでも仕事を請ける」という方が一時的な売り上げは上がるでしょう。
しかし、イデアラボにはスピード感よりも大事なことがあります。私たちのスタンスは「現状のリソースでできないことはしない」「遠回りに思われても、真面目にこつこつと研究をする」「研究への姿勢をご理解いただけるクライアントと研究する」ということです。
イデアラボの研究員は全員、大学での研究や教育を担う現役の研究者でもあります。アカデミックな世界から「怪しい会社」と思われてしまうと、会社だけでなく社員のキャリアの未来を奪うことになります。
私たちは、イデアラボを日本で唯一の「アカデミックな心理学をビジネス場面に応用できる会社」だと自負しています。スピード感のあるお仕事は心がけていますが、原則としてクオリティが優先です。できない約束もしません。
④ 大学以外で研究者になる道を作りたい
心理学などの人文科学系分野では、大学院(博士課程)を修了した人の2割程度しか正規雇用で就職できないというデータがあります(文科省「学校基本調査」2018年度参照)。運良く研究職に就くことができても、数ヶ月〜数年の任期つきの仕事であったり、保険料などを自分で負担する業務委託契約であったりと、研究者の雇用環境は厳しい状況です。
また、化学や工学の分野とは違って企業のR&D部門にもあまり心理学の研究者はいません。そもそも、企業内研究者は収入が保証される一方でテーマを自分で決められないとか、他の仕事で忙殺されるとか、そういった理由で「自分の研究は諦めざるを得ない」イメージもあるかもしれません。
こうした状況を少しでもなんとかするために、イデアラボには自身の研究を続け、安心して能力を最大限発揮できるような社内制度があります。
・働く時間&場所は完全に自由(裁量労働制)
→リモートワーク推奨、出社しないでOK
・正社員としての雇用
・副業自由(非常勤講師などを続けることができる)
・博士学位手当
・論文投稿時の英文校閲と投稿料を会社負担(個人の研究継続を支援)
・サバティカル制度(大学などの任期付きの仕事に就くために退職した場合、任期終了後に退職前と同じ待遇でイデアラボに戻れる)
この働き方について、「そんな都合の良い条件あるかい!」と私は入社後半年くらい疑っていました。この世の中、そんないいことばかりのはずがない…いつか絶対何か怖いことがあるに決まってる…と。
しかし、待てど暮らせどどんでん返しは起こらず、仕事も研究もできるし働き方も自由という、素晴らしい会社員生活を送れています。
日本の教育を受けて日本でいわゆる“社会人教育”を受けた身としては、「何かを我慢して頑張っていないと、苦しくないと仕事じゃない」と思ってしまう自分もいるのですが、それは偏狭な価値観だったのかもしれません。イデアラボはそのぐらい合理的で自律的で、“研究と研究者”をリスペクトしている会社です。
今後もnoteでイデアラボの働き方や、心理学について思うところなどを発信していきますのでお付き合いいただけますと嬉しいです。
イデアラボについてさらに知りたいという物好きな方は、公式HPに実際のお客様からみたイデアラボに関するインタビューなど載せているので、ぜひご覧ください。
こんなことできるの?とりあえず話を聞いてみたい、というお問い合わせもHPまたはTwitterDMよりお待ちしています。
・お客様インタビュー(https://idealab.co.jp/category/interview/)
・イデアラボTwitter(https://twitter.com/Idealab7)
この記事が参加している募集
研究の知見を正しくビジネス現場に応用することで、研究で食べていける社会を目指しています。