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個別最適な学びと協働的な学びとICT


学校の授業

文部科学省が打ち出している個別最適な学びと協働的な学び、各学校で授業改善に取り組みながら実現を図っていると思いますが、現実的にはどうなんでしょうか?

自分が現役のときも、個に応じた学習ということが叫ばれたが、現実には困難であった。
採用当時は45人という生徒数に対して教師は一人、今のように学習支援員がいるわけでもなく、学習についていけない子どもは放課後に残して補習ということもあったが、少なからず学習についていけない、当時の言葉で言えば教師が落ちこぼしていた現実があった。

現在は学習支援員が学習支援に入って、少なからず子どもを支援する体制はできつつあるが、それでも全クラスに配置されているわけでもなく、やはり、個々を支援する教育環境にはなっていない。また、支援は学習の困難な子どもに対しての支援であり、学習意欲の高い生徒のさらなる支援というのは当然ながらない。

さて、そこでICTはどこまでできるかということであるが。まず、個別最適な学びから。

個別最適な学び


個別学習

個別最適な学びは、「指導の個別化」と「学習の個性化」にわけて考えるらしいが、「指導の個別化」についていえば、先ず子どもの学習の実態把握から始まるだろう。
子どもの学習実態がわからなければ、どの指導が最適なのかわからない。従来であれば、毎日の小テストや、授業メモ、単元テストや定期テストなどで分析を行っていたわけであるが、果たしてどれだけの先生方が個々の子どもの学習分析をしていただろうか。自分を振り返ってみても、授業以外の仕事も多く、学級全体の学習分析や教材研究は行うけれども、個々の実態把握まではできていなかった。多くの先生方もそうなんじゃなかたったのかな。

データで子どもを分析

さて、そこでICTの登場。

ICTの多くのドリル学習には学習分析できる機能がついており、教師が分析をする必要はなく、あとは、その分析結果をもとにどう指導していくかに時間をさくことができる。そういう点では、本当に便利な時代になった。

でも、でも現実はどうなんだろう。分析の手間も省略でき、あとはどう指導すればいいかなのだが、その分析に基づいてどれだけ指導方法を変えているかは疑問である。というのもそんな時間あるのっていう壁につきあたる。

じゃあもうすべてICTに任せたらっていう発想も出てくるのだがどうなんだろう、最近のドリルソフトはAI分析が進んでではいるが、AI分析の結果、あなたはドリルでもう一度復習してください、あなたは学習が進んでいるのでどんどんドリルやユーチューブで学習してください。または、あなたはタブレットドリルよりは先生にじっくり教えてもらったほうがいいですよなんていう、指導方法までアドバイスしてくれるものまで出てくればおまかせでもいいかもしれないが、それはまだまだ先の話だろうし。

もうひとつ「学習の個性化」については、ICTは最適かもしれない。しかし、今の学校教育では大きな発想の転換をしないと難しいかもしれない。

今の多くの学校は全員が決まった時間に、決まった教科を、学級担任や教科の担当の先生が教えるのが一般的である。


学びたい授業で学ぶ

子どもが今日は算数を徹底的に学習したいとかニュースで見た地震のことについて今日は調べ学習してレポートにまとめたいとう意欲があったとしても、今の学校はそんな学びは認めていない。

これを発想の転換をして、子どもに時間割を作成させて、学びたい教室に移動して学ぶ。または同一教室で各々が違う学習を行っているなんてことは、ICTを利用すれば可能である。ネット上には多くの教材があり、子どもはそれを選ぶことも現実的に可能である。
ICT支援員として小学校にも入っているが、ネット動画で子どもたちは内容を理解し、ドリルソフトで定着を図られている場面を見る機会がある。十分今の子どもはそうした学習に適応できるだろう。当然教科にもよるが。

さて、問題はそうした学習で単元の目標を達成できるかということと、そんな子どもの学びに教師が耐えうるかという疑問である。

教師は基本教壇に立って、自分の教材研究した教材で授業をして、その授業で子どもが分かった、面白かったといってくれることが基本やりがいだと思う。だから子どもたちの笑顔が欲しくてさらに教材研究を進める。時には、これだけ教材研究したのに全然だめだったなって落ち込むことも多々あるが、時にはヒットする。そんな日々を繰り返しながら教師としてやっていく。

でも、その楽しさをICTに奪われたらどうなんだろう。ネット上には優れた授業教材も多くあるが、今日はこの先生の授業をみてもらいますなんていう授業をやっている先生は少ないんじゃないだろうか。やはり先生方にもプライドがある。

教材研究ばりばりで授業

昨今、教師は支援者だとかコーディネーターだとかいわれることも多くなったが、なかなかそう簡単に指導者の座を渡すことはないだろう。

総合的な学習の時間がもしかしたら「学習の個性化」を活かせる絶好の場なのかもしれないが、昔ほど総合的な学習の時間に力を入れている学校は現在そう多くないのではないだろうか。
ICTが入った今こそ、総合的な学習の時間が「学習の個性化」を生かせる時間になるし、もう一度多くの時間を割いて学ばせる必要があるのではないだろうか。

一日1時間は子どもの興味ある学習を確保する学校があれば、子どもたちにとって学校は学びたい場所になるのでは。体育の好きな子は体育を。そして、技能をさらに伸ばすためにICTを利用する。危機管理上の問題はあるが、様々な場所で子どもたちが自分の興味あることを自由に学べる。そんな学校だったら楽しいだろうな。まだまだ学校はやらされる学びの場でしかないような気がする。
課題は色々あるだろうけど、このICTを使って一歩踏み出す学校ができても不思議ではないと思うのだが。

次回はICTと協働的な学びについて。(続く)


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