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【学校教育とICT】#01文部科学省が求めるICT活用と現場で整備が遅れた理由

こんにちは。ICT教育推進研究所の所長です。

私は2018年にICT支援員をしつつ通信制大学で教員免許を取得しました。
その際、「ICT活用」をテーマに卒業論文を書きました。
今回は卒業論文から、文部科学省が求めるICT活用と現場で整備が遅れた理由について書きたいと思います。

●情報教育(情報活用能力の育成)について

文部科学省は2012年、『教育の情報化ビジョン』を示し学校教育の情報化に関する3つの側面を

①情報教育
②教科指導における情報通信技術活用
③校務の情報化


として示しています。

授業における情報化については①と②が該当します。

まず情報教育については以下の3観点が設定されています。

(1)「情報活用の実践力」
課題や目的に応じて情報を適切に活用し、主体的に収集・判断・処理・編集・創造・表現して発信伝達できる。

(2)「情報の科学的な理解」
情報手段の特性理解と自らの情報活用を評価改善するための理論や方法を理解する。

(3)「情報社会に参画する態度」
情報や情報技術が社会に及ぼす影響を理解し、望ましい情報社会の創造に参画する。

そして教科指導における情報通信技術活用については

(1)教員が任意箇所を拡大表示したり動画や音声の再生等を通して学習内容を分かりやすく説明したり、子どもたちに学習への興味関心を高めたりすることができる。

(2)くり返し学習で活用することにより子どもたちの知識定着や技能習熟を図ることや、子どもたちが収集した情報を文書や図表にまとめて表現すること。

(3)教員と子どもたちが相互に情報伝達をしたり子ども同士で教え合い学び合う授業を行ったりする場合に効果をもたらす。

とあります。

それを学校教育でバランス良く関連付けさせて身に付けさせることが求められていますが・・

小学校は教科として独立しておらず、主に総合的な学習の時間を使っています。
中学では技術家庭科の情報分野として数時間行う程度。
高校でようやく情報科として独立しますが、現行の学習指導要領では中学レベルの延長なのでより深い学びとは言えないようです。
この部分からも、正直現場丸投げの状況が伺えます。

●現場で整備が遅れた理由

文部科学省からこのような謳い文句は出たものの、実際学校現場では地域によるICTの環境格差が大きく、即時性のある環境に程遠い自治体も多く存在しています。
この背景には日本における情報教育導入の経緯に問題があったものと推測しています。

1987年、教育課程審議会から初めてコンピュータ等の情報手段を活用する能力と態度の育成が明記されました。
そして1989年の学習指導要領で小学校は「コンピュータ等に慣れ親しませる」、中学校では技術家庭科の選択科目として情報基礎を設けるなど基礎的な能力の育成を図るよう明記され、そのスタートが切られました。

しかし現場では
・コンピュータやICT活用についての具体的な活用方法や指導方法が文部科学省から示されなかった
・機器を導入しても校内に数台程度と環境面の整備が遅れた
・コンピュータが当時多く用いられていたOHPのような手軽で即活用できるような機器ではなかった

ことから、結果的に授業で使用する教員は操作を得意としたごく一部に限られてしまったのです。

加えて授業で実践したノウハウや教材等は他の教員に共有される機会も少なく、活用されていないと判断され環境整備の予算分配も後回しになりました。

●まとめ

今回は学校教育とICTについて文部科学省の見解と、当時の現場はどのような動きをしていたか、について書きました。

日本の学校教育でのICT活用が世界から大きく遅れを取った原因は、おそらく日本特有の「得体のしれないものを受け入れがたい」という無意識的な感情が大きかったのかと思います。

現在は新型コロナウイルスの流行により休校措置や部活動中止など、従来どおりの学校運営が難しい状況になっています。
GIGAスクール構想もこうした背景を踏まえて前倒しで実施されています。

いよいよ新しい教育が求められています。

今こそ、ICTが効果を発揮します。

最後までお読みいただきありがとうございました。

シェア等ぜひともよろしくお願いいたします!

参考文献
文部科学省 教育の情報化ビジョン

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