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あいうえおのショートショート

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お はよう おやすみ

廊下に続くドアが開く音がしたので、スマホの画面から目を離した。

ボサボサになった髪と、まだ半分も目覚めていないだろう顔。だっさい部屋着。週末の朝を十二分に堪能したようだ。

さむい… さむい…

と、なんとか聞き取れるくらいの声量でモゴモゴ言いながらこっちに歩いてくる。

あ、力尽きた。

人をダメにするソファー(クッション?)に倒れこんだ背中から気配が消えていく。

ダメだこりゃ。

よいしょ

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え てして

自信がないんだ、

暗い顔をした男が小さく呟いた。

自信がないんだよ、全てにおいて。
見てくれがいいわけでも、頭がいいわけでも、ましてや要領がいいわけでもない。なんの取り柄もないんだ。僕は何も持っていない。

一息に吐き出して口をつぐむ。少し目線を下げた男の表情を、伸びっぱなしの前髪が隠した。

そりゃ努力もしたさ。
暗くなるまで公園で逆上がりの練習したことだって徹夜で勉強したことだってあるよ。

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う わさの

見覚えのあるマフラーが目の端をかすめたのは、お袋が買い忘れたコンソメを買いに行く途中の交差点。弾かれるように振り返ると、いつもの後ろ姿が遠ざかっていくところだった。

ピョコピョコ跳ねるように歩くあいつの隣に俺と同じ制服の後ろ姿
たぶん俺より背が高い、その首元には揃いの、

右肩に軽い衝撃を受けて我にかえる。迷惑そうな顔をして歩き去っていくおっさんの背中に小さく、謝罪の言葉を投げた。空中で歩行者用

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い いかげん

きみの嫌いなところ

寝癖を直さないところ。これからデートだっていうのに。しかたないからワックスをつけてあげると、くしゃっとなるその目。手のひらいっぱいに感じる、ちょっとだけ硬めのその髪の毛。

きみの嫌いなところ

犬派なところ。そのくせ、なんでわたしより猫に好かれるのよ。ずるい。

きみの嫌いなところ

コーヒー派で、だけど牛乳がないとヘソを曲げるところ。わたしは紅茶派だし、お砂糖があればいい

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あ のこと

その日のことをとりとめもなく思い出しながら、時系列を整理する暇も惜しんで口に出す。話題ごとに驚いてみせたり、声を出して笑ってくれたり。

目が覚めたのは朝の3時すぎ。秒針の音が耳につく。

古い夢を見た。

飽きもせず毎日毎日よく付き合ってくれたよなあと、今になってしみじみと思う。自分には到底できそうにない。

小さな頭の中身を洗いざらい話しきると、明日はなにがあるかな 楽しみだね、笑ってくれた。

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