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まいにち無職#12「無職にもご褒美を」

無職12日目、台風接近中。
昨日に引き続き悪天候である。
ただでさえ低気圧で体調が優れないというのに、昨晩は中途覚醒が起き、あまりよく眠れなかった。
睡眠がうまくいかないと、なんだか1日中体調がパッとしない気がする。

もう4年ほど前の話だが、心療内科へ通院していた頃、ランドセンという薬を飲んでいた。
あともう1つ、確かセルトラリン。
不安時の頓服薬は、確かロラゼパムだった。
頓服薬は、使わなくても持っているだけで安心するお守りになってくれた。
そもそもなんで急に飲んでいた薬について思い出したかというと、最近読んだ本が影響している。
今日はそれを少しばかり紹介したい。

この本は、とある女子高生が、高校を卒業してまもなく自殺してしまうまでの日記である。
フィクションではなく、ノンフィクションだ。
心療内科に通う彼女が飲んでいた様々な薬が日記に登場するため、私もそういえば飲んでたっけ、と思い出したのである。
彼女は過度なリストカットや不眠や仮眠、希死念慮に悩まされながらも学校に通う、外から見ればごく普通の女子高生だった。
日記はとてもポップで明るい文体で書かれているため、彼女の心の本当の深いところまでは誰も踏み込めなかったのだと思う。
読めば誰もが彼女のことをどこか身近に感じて、彼女の優しさに触れることができるだろう。
別の本でこの日記をお勧めしている人がいて、興味を持って読んでみたのだが、これはつくづく読む価値のある、重みのある日記であった。

今朝はいつもの野良猫が、庭にある物置小屋で雨宿りしていた。
丸まっている姿がまるでフクロウみたいでなんだか可愛らしい。
雨水を飲んでいる姿を見たことがあるが、衛生面などは大丈夫なのだろうか…。

今日は台風により大雨が予想されていたが、実際はパラパラと小雨が降る程度だった。
予定通り、午前中は母とパン屋へ向かうことにした。
乗りたいバスの時間まで余裕があったため、洗濯物を回したり、汚れたスニーカーをせっせと洗ったりした。

母も私も、ワクワクしながらパンを選んだ。
まだあたたかくていい匂いのするパンを膝の上に乗せ、再びバスに揺られて帰宅した。
塩パン、明太フランス、レーズンミルクフランス、チョコとクリームチーズのベーグル、くるみあんチーズ、豆パン、クロワッサン、クリームパン。
皿に乗り切らないほどのパンたちに、心が躍る。
急いで紅茶を入れ、両手を合わせていただきます。
母と、テレビドラマの話、亡くなった祖母と祖父と話、好きな小説の話など、たくさん話す。
おもちゃ箱からたくさんのおもちゃを取り出して散らかしていくみたいに、話題は次々に変わる。
母と私は親子でもあり、親友のようでもある。
いくら話しても足りないような時もあれば、顔を合わせたくなくてお互いの部屋に篭ることもある。
けれどお互いがお互いを信頼していて、大切に想っているのが、話していて伝わる。
母と美味しいパンを頬張りながらたわいもない話ができることを、心から幸せだと思う。

反省はしている。しかし、後悔はしていない。
〆はアイスだろ、と胃袋が私に話しかけてきたのだから、しょうがないのである。
明日から、いや、これを食べ終わったら切り替えるので、どうか許してほしい。
と言いつつも、誰に許しを乞うているのかわからないのであるが。
ハーゲンダッツには、罪悪感というふりかけがかかっていて、食べ進めるほどその味が濃くなったような気がした。
けれどやはり、美味しいものは美味しいのだ。
無職にも、ご褒美は必要だと思った瞬間であった。

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今日は雨なので、午後は家で大人しく絵を描いていた。
なんだか雨の日は、暗い海の中にいるような気分になる時がある。
それを絵として形にしたくなって、あまり深く考えないまま、ただ手を動かしていた。
そして完成したのが、こちら。

くらげの上って、なんだか柔らかそうで乗ってみたくなる。
しかし、くらげに刺されると腫れたり、アナフィラキシーを起こすこともあるらしい。
美しいものにはなんらかの毒や棘があるものなのかもしれないな、と思った。
それと同時に、小さい頃に観たピクサーの映画の、ファインディング・ニモを思い出した。
確かあの映画にも、カクレクマノミのニモを探す父親の「マーリン」と、たまたま知り合って共にニモを探すことになったナンヨウハギの「ドリー」が、くらげの群れに遭遇するシーンがある。
くらげたちはとても美しかったが、ドリーが触手に刺されて怪我をしてしまうのだ。
そのシーンにはハラハラしたが、ドリーは無事で、再びマーリンとニモを探す旅を続けるのである。
公開年を調べてみると、私が3歳の時だった。
懐かしい。また観たくなった。

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iPadとにらめっこしながら絵を描き、スマートフォンとにらめっこしながらこちらを買いたので、少し目が疲れてしまった。
食べ過ぎたことだし、少し液晶画面から離れて身体を動かして、リフレッシュしようと思う。
明日はお墓参りの予定だったが、悪天候が予想されるために、延期にしようと母と話がまとまった。
天国にいる祖母も祖父も、お盆に合わせてお参りしにいかなくたって、怒るような人ではない。
明日は2人の分もご飯を取り分けて位牌の前に綺麗にお供えし、そのすぐ横で母と2人ご飯を食べようと約束した。
そして、晴れ予報の日がやってきたら、お花とお供えものを持って、きちんとお墓参りに行こうと思う。
地震やら台風やら、頼んでもいないのに日々色んなことが起こるけれど、私たちは朝になれば目を覚まし、1日を始めるのだと思う。
星野源さんのエッセイにも書いてあったが、生きている限り、生活は続いていくのである。

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