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「辞書を読む」という話

割引あり

「辞書を読む」という話
"dictionary"

むかしは時間があれば電子辞書を開いて読んでいました。

辞書の言葉には、個人の雑音がないので疲れていても読めますし、そうした風につくっています。「絶望」という字を引いてみてください。淡々と書いてあります。誰の責任だとか書いていませんよ。

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ようこそ。門松一里です。静かに書いています。

いつもは、
「あまり一生懸命になるな」という話
https://note.com/ichirikadomatsu/n/n081dd28c9a6c
とか、
【「沈黙」という話/「東アジアの思想」という話】リスト(16+36+号外1)
https://note.com/ichirikadomatsu/n/n416e39d84b94
という話を書いていますが、本当はノワール作家です。

という話(ik)

という話(ik)を連載しています。

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辞書には、言葉の意味が書かれています。読み方はもちろんのこと、その言葉の由来なども書いていたりします。

〈個人の雑音〉と表現しましたが、静謐(せいひつ)の書を読んでいるときに、個人の言葉は不要です。
※静かで穏やかなこと。

『精選版 日本国語大辞典』(小学館、2006年)で、「絶望」を引いてみましょう。

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希望や期待がまったく失われること。望みがなくなること。望みを捨ててあきらめること。失望。

漢字から「望みが絶(た)たれた意味」であることは想像できるでしょうけれど、より深く書いています。

ただし、誰の責任だとか、誰かの罠・策略だとかは書いていません。それらは別の言葉だからです。

『春秋左氏伝』の襄公(魯)については、別の機会にしましょう。

いろいろなことを学ばないと、どうしても先入観や自分の感情だけで判断してしまいます。

たとえば、冴えない風貌の中年が『鬼滅の刃』の我妻善逸のグッズを買ったとしましょう。

単純に考えれば"ヘタレ"オタクです。けれど、家には眠る病気の子供がいて「病魔を滅する」ためだったとしたらどうでしょう。
※我妻善逸(あがつまぜんいつ)は眠ったまま鬼を一刀両断しますが、ふだんは私同様ヘタレです。
(『布団』クンカクンカ田山花袋もヘタレです。)

また、映画『晩秋』(Dad)では、病に倒れた父(ジャック・レモン)を息子(テッド・ダンソン)が献身に看病し、回復します。

医師は「薬が効いたんです」と言いますが、つづけて「あなたの看病が実を結んだんです」と個人の感想を述べます。

事実と感情と結果は別なところにあるのです。

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「始めに言葉ありき」は『新約聖書』の「ヨハネによる福音書」の冒頭の言葉ですが、長くなるので別の機会にしましょう。

「沈黙」という話で書きますね。

さて、辞書といえば三浦しをんの作品に『舟を編む』があります。

「西行」という言葉を辞書に載せるのですが、いろいろな意味があり、またそれは西行(さいぎょう)の魅力でもあるのですが(人造人間をつくったりしています)、別の機会にしましょう。

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