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現在形(と過去形)とは

英語の最も大切な基本構造、現在形Present fromと過去形Past formの全く新しい視点からの解説です。この基本構造で、完了形、助動詞(過去)、仮定法の不可解さが解決できます。どうぞ最後までお付き合いください。

現在形と過去形

貞子と完了形」と「完了形の用法という幻影」でPresent form現在形、Past form過去形を表すのに上図を用いましたが、その中身が下図です。

以下の、英語の俯瞰的視点。舞台を見ている視点は
熊谷高幸著『「自分カメラ」の日本語「観客カメラ」の英語』
濱田英人著『英文法の正体』第1章
佐藤良明著『英文法を哲学する』第6章1節
を参考にしました。


直説法(現在形、過去形)が描く世界観


英語は、自分を登場人物としてその空間に参加させている、いわば話者をアバター“I”として登場させ、いわばメタバース空間を俯瞰した視点で認識している。そうして、聞き手に状況を説明しているのです。話者は世界を提示し、聞き手と話しながら(確認しながら)、現在形なら現在形で、過去形なら過去形で語り、このメタバース空間が、聞き手(読み手)に認識違い描写違いがないように、主語をハッキリさせ、現実か話し手の考えなのか、仮定の話か、複数単数等々事細かく規定し、お互いの認識がズレないように、共通に認識した空間を意識するのです。

以下、宗宮喜代子, 糸川 健 , 野元裕樹 著『動詞の「時制」がよくわかる英文法談義』p7から引用(この一文によって、私を悩まし混乱させていた種々の問題がいっぺんに氷解しました)。
「話者は必然的に現実の現在時にいます。特に英語の場合、話者はその立ち位置から動かない。動く事を英文法が許さない」、同書のp26「話者と聞き手はいつも、どの時間について話しているかという時間の知識を共有する必要がある・・・・略・・・過去時制は定冠詞theの役割に似ていると言われています。たとえば会話の相手がいきなりI saw the manというと「the manって誰?」と訊きたくなる。それと同時に「sawっていつ?」とも訊きたくなるでしょう」
引用終わり。
しかし、一方、日本語では現在形と過去形が文章の中に混在しても、違和感はありません(※例はこの記事の一番最後)。

つまり、現在形で語っているのにいきなり過去に飛ばない。Present formの世界空間からいきなりPast formの世界空間に移動しないと言うことです。このことは、助動詞過去や仮定法を理解するときに重要な原則になります

簡単に説明すると、現在形で形作るこのPresent formに過去形が突然出てきた場合は、以下の三つ

1.丁寧、遠回し(←リンク先の最後。過去形で語っているから、ココとは関係ないよ、断っても影響ないよ大丈夫だよ)。
2.ザラブ星人
3.仮定法過去(IF節を過去形で語っているからココに影響しないよ。従属節で原形だから頭の中の話)。
詳細はリンクをクリック。

現在形で、会話や文章で語ることによって形作る世界Present formの中で、過去形が出るから違和感があり、それはPreset formに影響がない、遠い(一番最初の図参照)ことだから「遠回し、丁寧」になり、Present formの現実に影響しない過去形だから、それは「仮定、空想」になるのに、その一文を取り出して、それだけで意味をくみ取らせようとするのは、推理ゲームと変わらない。
「言外に言いたいことを表現する」完了形だって同じです。
あえて辛辣に言ってしまえば、従来の日本語英語の文法書や参考書は、その推理ゲームで答えを当てるための考えであったり手法であると言っても過言では無いのではないでしょうか。ネイティブの幼稚園や小学生が、この日本語英語の複雑極まりない概念や法則を理解しているとは到底思えないのです。
Present form, Past formが共に無関係で影響しえないことについてはココをクリック


閑話休題。
太陽や天体の運行は、上図、共通認識空間(Present, Past form)の描写であり、水が100度で沸騰するのも電車の運行だって同じ。アバター“I”がいる空間、世界の記述。
I study English.(いつも勉強している)  I’m a boxer.  I’m a car salesman.  I know Dr.Park well.  I live in Kumamoto.etc・・・これら用法すべて、“I”の状況説明、性質描写。My father is a doctor.も共通認識空間の登場キャラ「父」の説明なのです。
現在形には、このように「現在の状態」、「習慣」、「真理」の用法がありますが、単にそれは“I”がいる世界を記述した結果、そのような意味の分類になったに過ぎないのです。時間は関係ありません。ネイティブのT.D.ミントン氏著「ここがおかしい日本人の英文法」p22に「英語の現在形は「現在」とは無関係だ」と断言しています。
文法書の現在形の項目を読んで奇異に感じる理由は、日本語の『現在』、『過去』という概念に引っ張られているから。
そうなんです、つまりは、日本語の現在形、過去形と英語のPresent form, Past formに意味のズレがあり、英語を学ぶ日本人からは二重基準があるという事なのです(もしの二重基準ついてはココ、canの二重基準についてはココをクリック)。

一方、日本語は一人称視点。直接見ている、舞台に参加している視点。私たち日本人には当たり前すぎて認識できませんが、見たままを表現する日本語は独白言葉なのです。だから主語が省略可能で、自分自身がそこにいて判りきっているので事細かく状況を説明しない。現実か自分の考えか、時間の経過さえも曖昧なのです。日本語は、この世に登場した『私』が、一人称視点で世界を認識し、今風で言えばメタバース空間にVRヘッドセットをしてこの世に参加し、見て、感じたままを説明する言語なのです。


ここまで読んでくれてありがとう。
お疲れ様でした。
あなたに幸あれ!

※日本語の現在形と過去形が混在する文章。
刑事はグイッと縄を後ろに引いた(過去形)。
「ングーーーッ!」
犯人は、たまらず、猿ぐつわの奥からうめき声を洩らす(現在形)。だが刑事は、かまうことなく縄をキツく締めあげた(過去形)。ギュッギュッと引っぱる度に呻き声が上がる(現在形)。犯人は、何とか逃れようと暴れるが、無駄なあがきだった。そして最後に、縄尻を椅子の桟に繫いでしまった (過去形)。後ろから見ると、後ろ手で 1本になった腕と、椅子の横棒の桟が90度で交わり、逆T字を形成している(現在形)。

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