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バリー・マッギー『TAR PIT. 2021』『Reproduction (stamped edition)』/目は旅をする058(ストリート)

バリー・マッギー『TAR PIT. 2021』(V1Gallery/Eighteen刊)
『Reproduction (stamped edition)』
(Aperture刊)

この間、TABF(トーキョーアートブックフェア)があり、僕も自分が主宰する写真集/アートブックのレーベルG/P+abpで出店していた。アートブックフェアには日本だけじゃなくてパリ、アムス、香港などにも出店してきたが、お客さんとの出会いも楽しいが、世界のアートブックパブリッシャーがどんな「本」を作ろうとしているかがよく分かって、それも楽しみなのだ。
世界のアートブックの流れは、この20年ぐらいの間で、美術図書専門出版社が作るレゾネタイプや作家のモノグラフといった重厚長大な本から、STIDELのような戦略的な印刷屋/出版社やMACKのような新しいセンスのフォトブックパブリッシャーへとシフトしてきた。
そして、それとは全く別の角度からアートブックシーンを動かしているのが「ZINE」である。写真集を出すにはお金がかかるし、企画が通るかどうかという難関がいくつもある。いかに才能があるアーティストであっても簡単には出せなかった。しかし、印刷機ではなく、コピーなどデジタル出力機の進化によって、状況は一変し、セルフパブリッシングが盛んになっていく。これは世界同時多発であり、不可逆な事態なのだ。
「ZINE」は出版の既成概念をどんどん壊していくだろう。さらにいえば、アートや写真の変容にどのように関与していくだろうか?

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ヴィジュアルの旅は、大きな快楽を、与えてくれるし、時には長編小説以上に、人生についてのヒントを与えてくれます。 このマガジン「目は旅をす…

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