子ども食堂を始めてみて思ったこと vol.3
この記事のVol1、Vol2では、子ども食堂を始める経緯を書きました。2019年11月に子ども食堂の前身である「みんなの食堂」を開催し、色々な方にお越し頂き、大学生を含むボランティアスタッフも活躍してもらえました。
そしていよいよ2019年12月から子ども食堂として活動を開始しました。
そこから様々な試行錯誤が始まります。
やってみるまで誰が来てくれるかわからない
最初の子ども食堂は12月18日に開催しました。その日は平日(水曜日)でした。開催時間は、17:30と19:00からの2部制としました。
周りのメンバーからは平日は仕事があって手伝いにいけないから休みの日にしてほしいと言われたが、平日に子どもを受け入れる方が共働き家庭や、シングル家庭にとって助かるのではないかと考え、平日開催にしてもらいました。
実際来てくれた方たちは、両親と子どもの家族連れもしくはお母さんと子どもの親子連れでした。子どもは小学生前の子がほとんどでした。子どもだけで来ることはありませんでした。
翌月の2月も水曜日の夕方から開催しましたが、来てくださる方は前回と同じ層でした。
子ども食堂は地域の「居場所」
上の図は年代別の人口を示したグラフです。
これを見ると、ベトナムなどの新興国のグラフを見ているようですが、実はこれは東京都中央区が発表している2020年12月1日現在の住民基本台帳による数値を元に作成したグラフです。小さな子どもが多いことがわかります。
小さなお子さんを抱えたお母さんたちは、行く場所が限られているため、子ども食堂のような場所で休息したいという思いがあるのかもしれません。私たちが運営する子ども食堂は、子育てしている方たちの居場所として地域に受け入れてもらえた気がしました。(私の会社では子育て中のママさんたちが働く会社のため、子育てしている方たちのお役に立てることはとても嬉しいことでした。)
ボランティアをする人を大切にしたい
子ども食堂を平日の夕方に開催に間に合わせるためには、15時くらいから準備をする必要がありました。
普段から一緒に活動している運営メンバーのほとんどが仕事をしている人でしたので、最初から手伝うことができませんでした。そのため、2月の開催から休みの日の昼に開催することになりました。
子ども食堂の開催日や提供する内容は、運営メンバーだけで集まって話あったり、子ども食堂が終わってから話し合って決めました。
子ども食堂をやっていると、手伝いたいと言ってくださる方が結構います。
私はできるだけたくさんの人にボランティアをしてほしいと思っています。なぜなら、運営団体である「勝どき枝豆プロジェクト」を立ち上げた時からのビジョンが助け合いの社会をつくることにあるからです。
1日15人程度しか受け入れることのできない子ども食堂に、ボランティアスタッフが10人以上いることもあります。
子ども食堂は、支える側も支えられる側も温かい気持ちになれるそういう場所になっています。
ボランティアできる環境を作る
私の仕事は、ボランティアしたい方がボランティアできる環境を作ることにあると思っています。
料理教室に2年も通っていた私ですが、運営スタッフの仕事を取らないように、直接料理を作らないようにしていました。
私がいつもやっていることは、子ども食堂開催の告知(人集め)、行事保険への加入、問い合わせ対応が主ですが、これもいずれ誰かがやってくれるようになると思います。私しかできないことはなくなるのが一番良いと考えています。最近は30代くらいの若い人たちもボランティアスタッフとして増えてきているので、色々とお願いしていきたいです。
本当に助けが必要な人に届けたい
子ども食堂をやっていると、貧困な家庭の子どもにご飯を無料だったり原価で提供していると思う方がいます。私も最初は子ども食堂とはそういうものだと思っていました。
実際はそうではありません。子ども食堂は誰でも来て良いところです。
貧困という定義の話はさておき、「貧困家庭の方」に限定してしまうと、ここに来た子どもは貧困家庭の子どもだと知られ、学校でいじめにあってしまう可能性があるそうです。
とは言っても、やる側としては、ボランティアとしてやる以上、本当に助けが必要な人に届けたいという思いはあります。
私たちの子ども食堂では、受け入れられる人数にも限りがあり、事前に募集をかけるとすぐに一杯になってしまいます。そんな状況に嬉しい気持ちを持ちつつも、本当に必要な人たちに届いているのか?という不安もありました。
私の通っている鍼灸院の先生の話になりますが、以前ボランティア活動として無料で治療をしていたことがあるそうです。そこに来た患者さんと話を聞いてみると、その方は鍼灸院に通うお金がないはずなのに、ライザップに通っていると話していました。それを聞いてとてもショックを受けた鍼灸院の先生はそれ以来ボランティアはやめてしまいました。
ボランティアをしていると、それに似たような話(議論)になることがあります。
子ども食堂の休止と再開しなかった理由
2020年3月以降、新型コロナウィルスの感染拡大によって、子ども食堂の活動を休止しなければいけなくなりました。
ボランティアのメンバーの中には、高齢の方や、基礎疾患を抱えるような方もいましたので、「今年はもうできないね」という話になっていました。
4月から5月の緊急事態宣言の終了後、他のボランティア団体が活動を再開する中、何度か再開するチャンスはありましたが、私たちは再開せずに自粛していました。(枝豆などの作物を育てる活動の方はずっと行っています。)
正直なところ、コロナを理由にしていましたが、私の子ども食堂に対するモチベーションが落ちていたことも、再開しなかった原因になっていました。
モチベーションが落ちていた理由は2つあります。1つは、私たちの活動が役に立っていないとは思っていないですが、本当に助けが必要な人に届いているのか?という疑問を持っていました。私自身が2019年12月に東京都中央区から横浜に引越ししたことも影響しています。横浜には、明らかに貧困を感じさせる町があります。そんな横浜と比べて、タワーマンションが立ち並ぶ東京都中央区で本当に助けが必要な家庭がどれほどあるのかわかりませんでした。(ただし決してゼロではないと思います。)
もう一つの理由は、コロナ禍で仕事の方が大変になってしまったことです。残念ながら私の会社でもコロナによる仕事への打撃はありました。また、コロナ禍では、電車に乗ることを避けたため、東京に行く機会も減りました。
地域の人たちからの寄付が背中を押す
2020年の秋ごろに知らない方から私宛に電話が鳴りました。
電話に出ると、その方は子ども食堂に自分がもらった給付金を寄付したいと言ってくれました。その時は子ども食堂の活動を休止していましたので、受け取りを断りましたが、後に活動が再開時に頂きました。
その後も別の方から子どもたちのクリスマスプレゼントにしてほしいと、ぬいぐるみなどを寄付してくれた方がいました。
こういう方たちの存在が、私に子ども食堂の再開を後押ししてくれました。寄付してくれた方たちの想いを大切にしたいと思ったのです。
そして子ども食堂の再開が決まりましたが、もちろん高齢の方や、基礎疾患を持っている方などは、お手伝いはできません。
頼りになるコアなメンバーが欠席する中で、12月に私も含め5人で子ども食堂を再開することになりました。
ところがその後、当日お手伝いしたいという方が増えていき、最終的に当日は12人までボランティアが増えました。(初めて会う方がほとんどでした。)
テイクアウト形式でお弁当を提供
当初、クリスマス25日に子ども食堂を再開するつもりでした。
25日開催にしようと思ったのは、クリスマスを少しでも子供たちに楽しんでほしいという思いもありましたが、実はお金持ちの家庭ならクリスマスにわざわざ子ども食堂でお弁当を貰って食べないはずとも思ったからです。その家にはごちそうを用意しているはずだからです。
クリスマスと言えばチキンですが、私はあえて唐揚げというクリスマスには少し地味なメニューを選びました。
上の写真は当日配ったお弁当の写真です。
唐揚げ、フライドポテト、バケット、ニンジンの素揚げ、ミニトマトです。
あとクッキーも付けました。
当初予定していた25日は、コロナの影響もあってか仕事納めの方が多く、ボランティア側も、お越しになる方もバタバタしているのではないかということで、24日のクリスマスイブの夕方に開催することになりました。
テイクアウト形式は初めての試みで、どれだけの人が来るのか想像できませんでした。当初20食分を想定していましたが、最終的に30食分用意することにしました。
12月24日の当日、用意した30食分のお弁当は、あっという間になくなりました。ただ30食分作ることは想像以上に大変な作業でした。スペースの問題もあり、料理にメインで携わって頂いたのは3人ほどです。ボランティアメンバーの中に調理士経験のある方がいたため、とても助かりました。
(私が子ども食堂を始める前に見学させてもらった二子玉川で開催されていた子ども食堂では1度に100食の料理を作られていました。それだけ作るには訓練が必要とのことです。)
活動を通じて助け合いの社会をつくる
コロナの感染状況にもよるとは思いますが、1月以降も活動を継続することになりました。今だからこそ本当に助けが必要な方たちがいると思います。
元々地域の居場所づくりを目的としていたため、子ども食堂に来てくれる家族同士や家族とボランティアスタッフとの交流を大切にしてきましたが、コロナによってテイクアウト形式になったことは、より多くの方に食事を提供できるようになったという面では良かったと思います。
また、子ども食堂は、手伝ってくださるボランティアスタッフにとって、活動を通じて地域の居場所として感じてもらえる機能を持てていると思います。今回の子ども食堂では多くの新しいボランティアの方たちとつながることができました。
この活動を継続していくことで、支える側も助けが必要な支えられる側も子ども食堂というプラットフォームの上に集まることで、私が目指す「助け合いの社会つくる」ことが実現できると感じています。
最後にこの活動に興味をお持ち頂けた方はぜひ「勝どき枝豆プロジェクト」のホームページをご覧ください。
https://www.edamame.group/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?