マガジンのカバー画像

小説 氷磨と王子

8
2022年4月4日本編完結した連載小説です。 ファンタジーというか、少年の成長物語というか、架空の国、架空の二つの民族の二人の少年のお話。
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

小説「氷磨と王子」第二章

小説「氷磨と王子」第二章

第一章(振り返りなので不要な方は飛ばして下さい)​ 第一章をまだお読みでない方はぜひ第一章からお読みください。

と言いつつ、振り返りにあらすじを書いておきますと、第一章では、この物語の主人公で、なんだか無気力な「王子」、そしていつも側にいる気の利く、混血の「侍従」、この国で絶対的な存在である「王」、物語を語る「老人」、そして回想に「鬼の子」が登場しました。王子もメロメロの美しいヒロイン「沙耶」も

もっとみる
小説「氷磨と王子」第三章 前半

小説「氷磨と王子」第三章 前半

これまでのお話(不要な方は飛ばして下さい) 西の国の王子とその侍従は、「成人の儀」のため、東の山へと向かいます。それに際して王子の父である王様は、王子の成人を祝う宴の夜、響いた不思議な笛の音について、成人の儀でその正体を確かめるように命じました。

 東の山で出会ったのは、「氷磨」と名乗る少年。彼は今は亡き東の王の子だと名乗ります。侍従は彼の存在を知っていました。侍従は、東の王と西の王を繋ぐ存在で

もっとみる
小説「氷磨と王子」第三章 後半

小説「氷磨と王子」第三章 後半

これまでのお話(不要な方は飛ばして下さい) 「成人の儀」のため向かった東の山で、「氷磨」 ー西の王が滅ぼした、東の王の一族のたった一人の生き残りの少年ー に出会った、王子と侍従。満月の夜に聞こえる不思議な笛を吹いていたのは彼でした。王は滅ぼしたはずの一族の笛が、十年を経て復活したことを訝しく思っているようでした。

 侍従は、氷磨の存在を王には知らせるまいと、笛を吹いたのは自分である、と名乗り出ま

もっとみる