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今日もひとしきり叫ぶ

山の家へ帰る日。帰省ラッシュと日中の暑さを避けるために、早朝4時に出発する。外はまだ真っ暗、少しだけ風がある。暗いと余計なものが目に入らないからか、運転中の目の疲れが若干緩和される気がする。途中、3回短い休憩をとり、3時間半弱で到着した。

荷物を家の中へ運び込み、窓をすべて開け放つ。だけど、風がまったくないので、空気がきちんと入れ替わっているのかわからない。ただ、外の熱気を室内へと招き入れただけのような気もする。玄関先に置いていた鉢植えのハーブは完全に枯れてしまったので引っこ抜き、まだ生きているゼラニウムには「ごめんね」と言いながら、水をたっぷりとかけた。

疲れていたけれど、荷物をすべて片付けて洗濯機を回し、近所のMさんに土産の魚のすり身を持っていく。一緒に、頼まれていたモンペの型紙も届けた。Mさんの奥さんは玄関先で花の手入れをしていたところだった。「寝間着姿で…」と恥ずかしそうにしていたけれど、そのまま少しだけ立ち話。まだ8時だというのに熱気がすごい。

帰省前に山で痛めた腰と膝を診てもらうため、行きつけの先生のところへ車を飛ばした。なんとも不思議な施術をされる先生で、週末の待合室は常に満杯。看板も案内もなにもないのに、口コミで患者が集まってくる。予約制ではなく先着順で、長いときには2時間近く待つこともある。県外からやってくる人も多い。初めは胡散臭さを感じていたのだけど、実際に治療してもらうと痛みが俄然楽になるから、月に1度の頻度で通い続けている。

今日もひとしきり「あーーー」「痛いーーーー」と叫び(施術がとにかく痛い)、待合室の人たちもさぞ驚いたことだろう。治療室と待合室の間には目隠しがあるだけなので、声が筒抜けなのだ。やはり体は随分と楽になり、先生にお礼を言って、俯いたままそそくさと待合室を通り抜けた。そのまま、敷地内にあるラドン温泉にゆっくり浸かって帰るのがお決まりのコースだ(先生が温泉のオーナーでもある)。

お盆の間、「保険」が話題に上がった。40代になり、いまの自分に合った保険かどうか、見直す時期がきたよう。保険料がもっと安いものに乗り換えたいと思っていたが、調べてみると保険を変えることで保険料がもっと上がることになりそう、ということもわかった。わたしは生命保険よりも、医療保険やがん保険、就業不能保険などに重きを置いていたほうがいいだろう。やっぱり保険屋さんに相談してみたほうがよさそうだ。

保険のことばかり考えていたら頭がかなり疲れたので、寝転んで本を読む。

インスタントの成功が今日では当たり前だ。「今すぐほしい!」と。機械がもたらした腐敗の一部。確かに機械は自然のリズムを無視してものごとを迅速にやってのける。車がすぐに動かなかったというだけで私たちは腹を立てる。だから、料理とか、編み物とか、庭づくりとか、時間を短縮できないものが、特別な値打ちをもってくる。

『独り居の日記』(メイ・サートン)


晩御飯は自分への土産に買ってきたアジの味醂干しと茹でオクラ、人参と晩柑のサラダ、豆乳スープ、ご飯、梅干し。夕方に残り物のじゃがいもフライを食べたので、ご飯は少なめ。結局、少し物足りなくて、食後にミニアンパンを1つ食べた。膝と腰がもう少し良くなるまで晩酌はお休み。