ichico-山奥で草を編む人

秋の彼岸前の10日間しか採れない、岩芝(ミヤマカンスゲ)の新芽を使い、民芸品のイジッコ…

ichico-山奥で草を編む人

秋の彼岸前の10日間しか採れない、岩芝(ミヤマカンスゲ)の新芽を使い、民芸品のイジッコ(イチコ)を編んでいます。 イジッコ(岩芝民芸):栃木県日光市の山村に残る伝統の編み技術。湯西川温泉♨でたった一人の継承者から教えてもらい、その技術を残す活動をしています。

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はじめましてのご挨拶 -ichico-

こんにちわ!はじめまして! 現在、日光市の旧栗山村の湯西川温泉(栗山地域)で、地元に残る編み技術を習得して、せっせと草や樹皮を編んでいる【 ichico 】と申します。 ichicoの名前の由来は私の名前が「chio」なのと、この地域で昔使われていた丈夫な草で編まれた背負子「イジッコ(イチコ)」の方言名から取りました。 このイジッコという背負子ですが、実は現在、編める人が県内でたったお一人、湯西川温泉にある民宿男鹿の女将 阿部征子(あべせいこ)氏のみという、超絶滅危惧な

    • 宮古島のアダン細工🌿&月桃👜

      石垣島の次は、宮古島へ✈🏝️ 宮古島の目的は、『あだん細工』です。 カラフルに着色されたバングルづくりなど、岩芝民芸にはない華やかさを持っていて、えぇぇ… なんか超うらやましい… アダンの繊維は本土ではない特殊な亜熱帯的な素材なので、あまり参考にはならないかもですが、最終的には民具というか工芸品繋がりです。よろしければ一読ください。 アダンとは 沖縄の海岸沿いにやたら生えている、パイナップルのようなものがなっていて、葉が超トゲトゲの殺気立ってるアイツです。 現物を知ってる

      • 沖縄のアンツクを求めて(石垣島編)

        沖縄県に「アンツク」なる似たような民芸品がある。 そう聞いたのは、岩芝民芸を始めて3年目になった頃である。 検索してみると、ほほう🧐 かなり空間が空いていて、ざっくりとした作りだけれど、めちゃくちゃ似ている。材料は『月桃』という、沖縄ではそこら辺にいっぱい生えている植物。材料確保しやすく、簡単に作れそうだし、形が今風で超可愛い。 こんな民芸品、沖縄にあったの!? 15年も沖縄住まいだったのに、聞いたことも見たこともなかった。 驚きとともに、これは調べに行かねば!と思い立ち、

        • シナノキ(モワダ)の繊維の採り方

          イントロダクション 「シナノキという木から、繊維が採れる。それを方言でモワダというんだ」 と、福島県三島町で聞いて、草だけじゃなく木も使うのか!と驚いた一昨年の夏。 実は湯西川でも、その昔、山仕事する人々が太く紐縒りしてロープとして使っていたというシナノキ繊維。また、一つ山を越えれば会津(檜枝岐村)なので、会津から買ったというシナノキで作られた”蓑”なんかも蔵から出てきます。 ちなみに湯西川では、梅雨時期あたりに皮をべりっと剥いて、そのまま強引に縒ってロープにして使っ

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          アカソ繊維について

          イントロダクション アカソという植物をご存知でしょうか。 シソのような葉っぱで、茎が赤い雑草。山林の道路脇に見かけるものなのですが、見覚えないですか? 実はこの茎の皮を干すと、茶色の繊維が採れるのです。かなり丈夫で、下記のようにバッグの模様として編み込みに使います。もちろん紐にして、すべてアカソでバッグを編むこともできます(私はやらないけど)。 私は作品のワンポイントに使っているのですが、このアカソ。 廃林道沿いなど、あまり人の手が入らない、草刈りされないような林道に

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          三島町の特別町民と返礼品

          福島県三島町のヒロロ細工教室に通っている方はご存知だと思うのですが、 三島町にはふるさと運動なるものがあり、町外の方向けに『特別町民』という制度があります。 年1万円支払うと(ふるさと納税)、特別町民カードが送られてきて、三島町でいろいろなサービスが受けられます。 ヒロロ細工教室が無料で受講出来たり、材料購入時に割引があったり。 教室は通常1日2,000円なので、5回通えば元が取れます。(私は5回以上確実に行くので、すぐに元が取れてしまう。。。) その他にも温泉や施設割引

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          他県のイジッコ(調査続行中)

          この岩芝を編み始めてから、県内外のイジッコについていろいろ調べています。ichicoの超ざっくり調査ですが、参考にしてください。 福島県三島町 ヒロロ細工 ヒロロとは、ミヤマカンマスゲの方言名。 ヒロロ細工が同じものだと知ったのが、ちょうどコロナ禍真っ只中ということもあり、なかなか伺うことが出来ませんでした。 2年後、やっと生活工芸館に行くことが出来て、そこの作品達に感動! そして誘われるまま、『ヒロロ細工教室』へ通うことに。(令和4年より一般の方も参加OK。日程等

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          三依の岩芝伝統工芸技術について - イジッコを始めたきっかけ -

          イジッコの世界に飛び込むきっかけとなった作品(三依地区センターにて) 私が岩芝工芸(イジッコ)を知るきっかけとなったのは、とある説明会に参加した際、日光市三依地区センターに展示されていた作品を見せてもらったところから。 職員の方に「この地区に伝わる工芸品」と言われて見せてもらったのですが、そもそもどう使うのかまったくわからないこの物体に、とても驚いたことを覚えています。 しかもこの作品。目が非常に細かく、均一にしっかり精巧に編まれていて、かなりの年数経っているのにヘタ

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          イジッコの材料『岩芝』とは?

          イジッコの材料「岩芝」について岩芝とは? 岩芝工芸では、岩芝(いわしば)と呼ばれるミヤカマンスゲの柔らかい新芽を使って編まれています 主に、薄暗い山奥の沢沿いに生育しています。岩場に生育していることが多いので、こちらでは「岩芝」と呼ばれるようになったようです。 草とは思えぬほど、段違いの強度を誇る岩芝 岩芝の繊維はとても強靭で、葉を引っ張ってもまったく切れません。 これは実際に岩芝を触ってもらわないとわからないのですが、藁やススキとは比べ物にならないほど、段違いの

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          日光市北部 山村に残る伝統工芸(イジッコ)について

          イジッコ(岩芝工芸品)とは日光市山村に残る伝統技術 栃木県日光市の山村。三依地区(藤原の北の方の地区)や栗山地域の湯西川温泉地区に残る、丈夫な草で編まれた背負子、今でいうリュックサックのことを言います。 方言名もいろいろあり、栗山地域でも湯西川温泉ではビク、それ以外ではヒグツ、三依地区ではイジッコ・イチコと呼ばれていますが、一般的には「イジッコ」が呼び名となっています。 昔は山仕事の際には欠かせないもので、昭和49年頃に撮影された湯西川の鉄砲隊は皆、このイジッコを背負

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