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シナノキ(モワダ)の繊維の採り方


イントロダクション

「シナノキという木から、繊維が採れる。それを方言でモワダというんだ」
と、福島県三島町で聞いて、草だけじゃなく木も使うのか!と驚いた一昨年の夏。

実は湯西川でも、その昔、山仕事する人々が太く紐縒りしてロープとして使っていたというシナノキ繊維。また、一つ山を越えれば会津(檜枝岐村)なので、会津から買ったというシナノキで作られた”蓑”なんかも蔵から出てきます。

ちなみに湯西川では、梅雨時期あたりに皮をべりっと剥いて、そのまま強引に縒ってロープにして使っていたそうで、その採り方は荒々しくざっくり。

一方、福島での採り方は、水の中で腐らせて一枚一枚剥いで洗って…と、丁寧でキレイに採っていて、色も「木の皮」らしい薄い黄色~オレンジ色の薄い皮のみ利用しているそうです。

今回、「シナノキ繊維採ってみたいなぁ…」という私のつぶやきに、湯西川のおいちゃん達が協力してくださり、シナノキ探しから伐採、腐敗場所の提供までしてもらい、無事!どうにかこうにか採ることが出来ました。
結構頑張ったので、備忘録代わりに情報置いておきます。

本当に、めちゃくちゃ大変だったので、欲しい人は、大人しく福島県三島町の特別町民になって、三島町生活工芸館で購入すると良いですよ。私のところでは、あそこまでキレイに採れなかったので、恥ずかしくて売れませんwww

シナノキとは?

植物学的な話はwikipediaをご覧ください。
実は私も、シナノキの判別ができません!(ドヤッ)

葉っぱがハート型というのだけが分かるのですが、提供してくださった方に「これだよ」って教えてもらっても、木が大きくてさっぱりわからない。
とりあえず、8本ほどニョキニョキ出てるうちの1本を切ってもらいました。

繊維の採り方(写真少ないので文章のみ!)

(NOPHOTO:作業がいろいろと大変だったので写真ありません!)

まずはシナノキを伐採します。季節は6月中旬から7月の上旬ぐらいまで。
この時期は皮が剥げるんです。
1.5m~2mぐらいの幅で切って、チェーンソーで縦に傷を付けてもらい、そこからバールでガガっと皮と幹に間を作って剥ぐ…
うん。なんかもう山仕事!って感じで、2名でやる作業じゃなかった…orz
(一応私は女性です)

幹の太さは一番細い20cmぐらいのものを選んだのですが、思った以上に皮も採れてしまい、運び出すのも一苦労(T_T)

その後、紐で束ねて、川へ沈めて腐らせます。

川の中にブルーシートで包んで腐らせる。
どこにあるかわかるかな?

湯西川の川の水は超冷たいので、なかなか腐らなくて。
結局2ヶ月ほど水に沈めておきました。
目安はこんな感じで、内側にある皮がペリペリ自然にめくれるようになるまで。外側は固くてOK!

2ヶ月ほどおいたら、皮がペリペリめくれる!!!

したらば、内皮を剥がして、川の水で束ねてガンガン洗う。
木の腐った匂いがすごいけれど、水で洗うとすぐ取れます。
表面が汚れているものなどは使えないなーと思うのだけれど、もったいないから取っておけというので、それも保存。
途中でおいちゃんが来て「硬いところも勿体ないから採れ」ってことなので、追加作業で硬いところも保存。

美しい繊維が採れた!色が濃いのは表面の汚れている部分。
薄い繊維が大量に採れる。アイヌの人達は布にしたという

とにかくいっぱい採れるので、川の中が繊維だらけになる。
これを絡まないように束ねて、そこらへんの柵などに干して乾燥させれば完了!

1枚1枚剥がすのが面倒で、とりあえずガシッとね

ただ乾燥させた後の仕分けが結構大変。
とにかく大量の繊維が採れるので、硬い・やらかいで仕分けする他に、ちょっと色が黒いのとか弾かないといけないし(でも勿体ないので捨てれないし…)、1日作業で頑張りました(T_T)

あまりに大変な作業だったので、当時、こうやって記事にまとめる気にもなれず、写真を撮らなかったことを深く反省します。。。すみません・・・

シナノキ繊維の特徴

さてさて採れた繊維ですが、木の皮という感じで、薄いオレンジ色の、きれいな繊維が採れましたよ~

ちょっと硬めの繊維を縒ってみる

湯西川の使い方は、「木の皮をべりっと剥いで、そのまま太めの紐に縒る」とのことなので、バッグの編み込みに使えなさそうな、硬い繊維で縒ってみました。
意外と縒りやすく、いいじゃん!と思ったのですが、木の繊維が手に刺さってチクチク痛くて、、、(T_T)
山の人は手の皮が厚いんだよなって。
でも強度は申し分なく、しっかり縛りたい時には良さそうなので、くるみ皮細工などに合わせて使ってみたいなって思いました。

1本切ったら、かなりの量を確保出来る

一番細い直径25cmぐらいの木を一本切ってもらったのですが、3年ぐらいは使えるんじゃないかぐらいの量が確保出来ました…
なのでもし、枝ぐらいだけでももらえたら、ちょっとだけ試してみてください。その場合、「煮て柔らかくして採る」ってことも出来るそうですよ。お試しあれ。

これは採れた半分

ただ、硬いものや色の変色があるものなど取り除くと、編み込みに使えるきれいな繊維は、この中の3分の1程度。

苦労に見合う量は採れたものの、マジで疲れました!
でも妙な達成感を味わうことができますよ~もし出来る方はぜひ\(^o^)/

最後に…

今回、腐敗と干し場所を提供してくださった、湯西川温泉に「安ヶ森キャンプ場」には本当に感謝しかないです。ありがとうございました!

そして最後まで読んでくれた奇特な方!
全然わかんないよ!!って思っていると思います。
なので、「シナノキ繊維 採り方」などで検索してみてください。
個人的には『浅間・吾妻エコツーリズム協会』さんの

http://ecotourism.or.jp/pdf/monodukuri/manual_sinanawa20140713.pdf

↑ この、”シナノキ樹皮で縄を作る”がとても参考になりました。

もし、梅雨時期にシナノキがもらえることになったら、採ってみてね。

私もせっかく大量に採ったシナノキで、作品を作り上げなくては…

- ichico -

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