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分度器のない文具店

2024/9/10(火) AM10:07記 

昨日は重陽,菊の節句でしたね。

中国では奇数を「陽数」と呼び(偶数は陰数),縁起の良い数だと考えられてきました。

一桁の中で最大の陽数が重なる日,9月9日は多大な影響力があるため,特別に重陽と呼ばれている訳です。

何となく良い日,おめでたい日というイメージでしたが,実は陽気が強過ぎて不吉なことから,それを祓うための行事だったという謂れがあるようです。

何れにしても現在では他の節句より,馴染み深いものでは無くなってしまったように思いますが,我が家では特別な日。

特別な存在,ヴェルタースオリジナルな長男の誕生日です。

約束通り,プレゼントの分度器を買いに息子と2人で文房具屋へ。



昨今,スーパーやコンビニ,ドラッグストアで一通りの物が手に入る世の中ですが,敢えて老舗の文房具屋へ。

創業1906年(明治39年)。

118年も続く文具店が身近にあったなんて。

因みに,日本鉄道が国有化された年だそうです。

創業年が刻まれた重厚な看板は正に威風堂々。

それに反して店内はスタイリッシュ。

テンアゲなラインナップ。

文房具屋って懐かしさも相まって,とても気分が上がります。

これは小洒落た分度器が置いてありそうだな。

2人で店内を捜索。




……ない。

まさか。

こちらのお店は創業明治39年の老舗ですぞ!?

古からのロングセラーである分度器を置いてないなんて言わせないよ絶対♩

そんなはずはないと店員さんに確認。



「すみません。品切れで。お急ぎでしたか?」



大誤算だ。
ハチロクを手足のように扱う藤原 文(房具)太から,テクニックを叩き込まれた拓海の力量を見誤っていた。

まさか。
買い占められているとは。

分度器の相場上がるの?
投機の対象なの?


不吉な予感……。
これが重陽の効果なのだろうか。


「息子の誕生日プレゼントにと思ってお邪魔したんですが……。」

二日酔いの後遺症で頭が働かず,言わなくても良いことを口走ってしまった。

「それは大変申し訳ございません。」

丁寧に対応してくれた彼女のすまなそうな瞳の奥が,何で誕プレに分度器?という疑問で埋め尽くされた瞬間を私は見逃さなかった。

逆に申し訳なくなってしまったので,万年筆のインク交換用カートリッジを注文した。

海外製なので取り寄せらしい。

これが,できるのが文具店の良さ。

正直に打ち明ければ,ここに寄ったのは実はこれが主目的。

他にも色々,物色して分度器に変わるトキメキをくれる商品があれば,それにしようと息子に持ちかけたが,意思は固い。

何故,そんなに執着するのか笑


ここになければ他の店でも買い占められているかもしれない。
長期戦を覚悟して,最寄りのドラッグストアへ。


あった。
10個くらいあった。
あっけなく発見。

何かスピードメーターに見えてきた。

コンパスや三角定規とのセットになっているお得商品もあった。

この短時間で相場が値崩れしたのだろうか。

結論,welcia最強。

フロントについているWのバッジは看板の健康神話のWだ‼︎
俺のWについて来れるか!?

そう叫びながら,店員さんがアクセル全開でワゴンを押していたような気がする。

でも

老舗の文具店でうろうろする奴が一番かっこいいんだ
イケてるぜ息子

そう返しておきました。


以上,Dの意思が受け継がれていきますように。

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