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ちょっぴりおセンチな夜

地下鉄日比谷駅を出て、ネオンが輝く街並みに紛れ込んだらそれは旅の始まりです。

カラカラと小さいスーツケースを引き、軽い足取りで向かう先は東京駅。

日比谷駅から東京駅まで歩くのは、私の中で旅行前の儀式のようになりつつあります。

有楽町で高架線上を走る電車の騒音を聞きながら、仕事終わりに居酒屋をはしごする人たちや足早に帰宅を急ぐ人たち、そして私と同じようにスーツケースを引いて歩く人たちをかき分け、ふわっと雑踏の中に溶け込む、心地よい感覚。

歩みを進めると、すぐに銀座一丁目に差し掛かります。ライトを照らして走る車、人々の笑い声、行き交う足音。

せわしなくも美しいこの街と、しばしのお別れです。

徒歩20分ほどの行程で東京との別れを惜しんだら、目的地に到着。

鍛治橋の駐車場で走り去る新幹線をぼーっと眺めながら、明日はここから何百キロも離れたところにいるんだな、なんて考えたり。

住みなれた街を出る少しの不安とさみしさ、それに勝るドキドキとワクワクを抱えてバスに乗りこみ、シートベルトを閉めたらいざ、出発。

次に外に出る時はどんな景色が広がっているんだろう。

朝がきたら出会える新しい世界に胸をときめかせながら眠りにつく、そんな旅行のプロローグ。

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