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残っていた留守番電話


№199 今回紹介するお話

「結婚式、母のスピーチが始まるも母は喋っていないのに、会場のスピーカーから誰かの声が聞こえた」

今回紹介するのは、自身の結婚式の母(継母)のスピーチ内容を交え、母と同じ思いだったことを綴った女性の投稿です。

投稿時期に関して
投稿日は確認できませんでした。

このお話を元にしたYouTube動画がありましたので、併せて紹介していきます。

投稿内容

私が結婚を母に報告したとき、ありったけの祝福の言葉を言い終わった母は、私の手を握り真っ直ぐ目を見つめながら、こういった。

「私にとって、濡は本当の娘だからね」

ドキリとした。

母と私は血が繋がっていないことは、父が再婚してからの18年間互いにふれていなかった。

再婚当時、幼かった私にとって「母」の記憶は「今の母」だけで、「義理」と言う意味は私にはなかった。

けれどやはり戸籍上私は「養子」で母にとって私は、父と前妻の子なので、母が私のことをどう考えているのか」わからなかった。

気になってはいてもそのことを口にした途端、互いがそれを意識しちぐはぐな関係になってしまいそうで、聞き出す勇気は私にはなかった。

だから、母の突然でまっすぐな言葉に私は驚き、すぐになにかを言うことはできなかった。

母は、私の返事を待たずに「今日の晩御飯、張り切らなくっちゃね」と言い台所に向かった。

私は、その姿をみて、自分がタイミングを失ったことに気が付いた。

そして、「私もだよ、お母さん」

そういえばよかったと後悔した。

結婚式当日、母はいつも通りの母だった。

対する私は、言いそびれた言葉をいつ言うべきかを考えていた。

そして、少しよそよそしかった。

式は順調にすすみ、ボロボロ泣いている父の横にいる母のスピーチとなった。

母は、何かを準備していたらしく、司会者にマイクを通さず何かを喋り、マイクを通して「お願いします」といった。

すると、母は喋っていないのに、会場のスピーカーから誰かの声が聞こえた。

「もしもしお母さん。看護婦さんがテレホンカードでしてくれたの。お母さんに逢いたい。お母さんどこ?迎えに来て。私ね、今日お母さんが来ると思って折り紙をね・・・・・」

そこで声は、ピーと言う音にさえぎられた。

「以上の録音を消去する場合は9を・・・」

と、式場に響く中、私の頭に昔の記憶がなだれこんで込んできた。

車にはねられ、軽く頭を縫った小学2年生の私。

病院に数週間入院することになり、母に会えなくて夜も怖くて泣いていた私。

看護婦さんに駄々をこねて、病院内の公衆電話から自宅に電話してもらった私。

この電話の後、面会時間ギリギリに母が息を切らして会いにきてくれた。

シーンと静まり返った式場で、母が私が結婚報告したときの表情でまっすぐ前を見つめながら話始めた。

「私が夫と結婚を決めたとき、互いの両親から大反対をされました。すでに夫は2歳の娘がいたからです。」

「それでも私たちは結婚しました」

「娘が7歳になり、私はこのままこの子の母としてやっていける、そう確信したとき、油断が生まれてしまいました。私の不注意でむすめは事故にあい、入院することになってしまったのです。」

あの事故は、母と一緒にいるときに私が勝手に道路に出てしまっただけで、母のせいではなかった。

「私は、自分を責めました」

「そしてこんな母親が、娘のそばいてはいけないと思うようになり、娘の病院に足を運ばなくなっていたのです。今思えば、逆の行動をとるべきですよね。」

母は、少し笑い目を下におとして続けた。

「そんな時、パートから帰った私を待っていたのは、娘からの留守番電話のメッセージでした。」

「私は、『もしもしお母さん』このフレーズを何度もリピートして聞きました。

その言葉は、母としてそばにいてもいい、娘がそういってくれてると感じたのです。」

初めてみる母の泣き顔は、ぼやけてはっきりと見えなかった。

「ありがとう」

そばにいる父は、少しポカンとしながらも、泣きながら母をみていた。

きっと私がそんなことを考えているなんて知らなかったのだろう。

私も知らなかった。

司会者がマイクをまわした。

事故は母が悪いわけじゃないことなど、言いたいことはたくさんあったけど、泣き声で苦しい私は、言いそびれた一番大事な言葉だけを伝えた。

「私もだよ。お母さんありがとう」

YouTube

このお話を元に作られた動画がありましたので、一部を紹介します。
※ご紹介する以外にも動画はあるようです。

(2ch)泣き笑いほっこり『LAN』

さいごに

私のnote記事は営利を目的とはしておりません。
単純に涙した話を皆さんと一緒に共有したいと思い記事にしています。

しかしながら「著作権」などの問題がある場合は削除致しますのでお知らせください。

なお、掲載している画像は いらすとや 様、みんちりえ様 から頂きました。

最後までゆっくりお付き合いいただきありがとうございます。


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