パン屋日記#39 大きゅうなりました
片手で抱っこするには大きすぎる男の子を
片手で抱っこしたお父さんが入店しました。
わたしには、
子どもの年齢の目安が
よくわからないのですが
手足がすっかり長くなっており、
おそらく7~8歳頃だと思います。
お父さんは
右肩にのっぺりと子どもをのせたまま
購入するパンを取り集めましたが、
お会計時になるとさすがに困ってしまい
「起きなさい。ほら、起きなさい」
と言って、
子どもの腰をぺしぺし叩きました。
男の子は、ずっしりと右肩にのったまま。
「大変、ですね」と声をかけると、
お父さんは、まるで親戚に言うように
「いやー、 大きゅうなりました!」
と言って笑いました。
大きゅうなりましたね、と、
パン屋も一緒に笑いました。
無事に会計を済ませ、
出口の方へくるっと向き直した
お父さんの背中には
眠ってなどいない
「大きゅうなった男の子」が、
パッチリと目を開けて
こちらを見ているのでした。
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