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発達障害経営者 10問10答


1. **発達障害と二次障害を抱えながら事業経営をすることに至った経緯を教えてください。**

この質問はとても難しく感じます。
それは一体、今の状態を作る経緯がいつ始まったかを、どの段階から考えればいいのか、とても難しく感じるからです。

発達障害を持って事業経営をする事になったのは、発達障害は生まれつきの障害ですから、起業したタイミング、という事になりますので平成26年から、という事になります。
初めて商売をしたのが、小学校1年生の時で、正式な事業経営という事ではなく、フリーランスを含めた事業主、という事では、そこがスタートになります。

また、そもそも、経営者、というポジションにおさまったというのも、発達障害が関係しているのかも知れません。
私は特性上、誰かと横並びでお仕事をする事があまり得意ではないので、現場ヘルプ的な非正規雇用か、オーナーや経営者か、と言った極端なポジションの方がハマりやすいというのもあります。

極端に組織の最下部か最上部にいる感じです。

事業形態上、下請け事業として動く事も多いので、今でも最下部的でもありながら、その中の最上部にいる、といった形であり、その部分では理に叶っているのかも知れません。

二次障害の診断が下ったのが一昨年の年末で、昨年の頭からは精神病院の閉鎖病棟に医療保護入院で入っていました。
この段階では、その後の事業経営など、考えるのは難しかったと思います。
正直、経営も出来ない史、かと言って、その代替案がある訳でもなかったので、自分に生命保険をかけて死んで、関係各位にお金が回るようにする、というのが、その時の私の頭の中身でした。

実際に退院してからも、その考えはなかなか、拭えなくて、今年に入ってから、やっと代表交代の案を経営会議に出して、プランを立てて実行したのですが、売上が激減してしまって、多額の損失を抱えた状態で私の手元に経営権が戻ってきてしまった形になりました。

それから事業を再生させていきながら、闘病と同時並行で進めて、なんとか、今の形になって、現在では就労制限がある中で、なんとか経営を維持している形になっています。


2. **現在の状況で、特にどのような業務が精神的に負担となっていますか?**

やはり、売上の雲行きが怪しい時や、事業の稼働率が低下した時に、自分が営業戦略を実行出来ないのが辛いです。
私の事業のような小さな事業者は社長が営業を兼ねている事が多く、私の事業でも、それは同じで、今までは私は事業を守る為に仕事を取ってくる事も大きな役割の一つでした。

今は、その役割が病状的に出来ないので、営業戦略を立てて、平常営業の管理委託先に指示を出して、経過管理をするような形式になっているのがもどかしい処ではあります。


3. **大量の情報が脳内に氾濫していると感じるとのことですが、それに対処するためにどのような工夫や方法を試みていますか?**

私の発達障害であるADHDの特性に、うつ病的症状が加わって、このような状況になっていると思うのですが、色々な要素が頭の中に浮かんで取り止めもなく連鎖的に繋がり、しかし、行動や言語化のとっかかりは掴めないような、そんな状況に陥っていると感じています。

治療的な面ではアトモキセチンをADHD治療薬として、思考の空回りを防ぐ為の薬としてクエチアピンやデパケン、ロラぜパムやコントミンを服用していますが、仕事のストレスがかかると、やはり焼石に水、と言った感覚です。

方法論的対処としてはリスト化やスケジュールに落とし込むなどの方法を取っていますが、抑鬱感が強い時には、これらの行動を取る事が出来ずに最終的にパニック状態に陥るまで考え続けてしまう事も多いです。


4. **外注している業務と、自分で行わなければならない業務のバランスをどのように取っていますか?**

外注業務に関しては委託先の専門範囲をお願いするようにしていて、依頼時の心理コストが高くならないようにする事を徹底しています。
結果、平常営業に関する殆ど全ての事は、外注化出来ていると思います。
実際、社員が動いている分はあるので、事業全体で見れば、外注率はそこまで高くないですが、マネジメント業務に関しては、ほぼ100%、平時営業に関しては実現できています。

あとは時々ある、税務、法務に関する事柄などの初動は私が取らなければならないので、ここの手離れを早くすると、更に自分に対する負担軽減が図れるのではないか、と考えています。


5. **障害年金の申請書作成が特にメンタルに負担をかけていると感じる理由は何ですか?**

発達障害者の障害年金申請は障害が始まった段階から書く事になっており、結局、生まれながらの障害なので、生まれた時から書く事になってしまいます。
生まれた時から、今までの辛かった事や、それにより生じた傷病をひたすら書いていく事になるのですが、それが私にはかなり苦痛な作業でした。

社労士さんにお願いする等、方法は色々とあるのですが、元々のエピソードは自分で抽出するしかなく、結局私の場合は自分自身で書く運びとなりました。

エピソード記憶は時系列などをしっかりと記憶したものでもないので、自分の苦痛と苦悩の年表を推敲するような時間となり、取り組んだ1週間の間に随分と疲弊した感じがしました。


6. **管理者としての業務をこなすために、どのようなサポートやリソースを利用していますか?**

まずは、基本的に専門家に頼れる部分は専門家に頼る、という事で、それが大きなサポートになっています。これは仕事の上で大きなサポートになります。
また、出来るだけ精神的負荷の少ない客先を選ぶ事も精神的苦痛を減らす方策になっています。

今後、使っていきたいリソースとしては貸不動産を借りて、私が管理しなくても社員だけで資機材を管理できるスペースの確保なども行っていきたいと思っています。

それと生活に仕事が侵食してくるのを防ぐ為に生活環境整備を訪問介護事業所の方々に手伝って貰う事で、仕事のない自宅環境を作っていく、というのも、大きな助けになっている取り組みの一つです。


7. **神経過敏状態が悪化していると感じるとき、どのように自己管理やセルフケアを行っていますか?**

兎も角休む事を第一に考えています。
ここ数日も兎も角眠る事を最優先して過ごしてきました。

あとは一日3食は必ず食べる事と、事業の状況が精神負担を引き起こしている時も、必ず正直に担当看護師や主治医に話を伝える事を心がけています。


8. **あなたの発達障害や二次障害が事業経営においてどのような影響を与えていると感じますか?**

今現在においては「専門家に頼る」という戦略を徹底する動機として働いている部分が1番大きいと思います。

まだ、徹底できていない部分があるので、どうしても私自身がボトルネックになってしまう部分が存在しているので、今後は出来るだけ多面的に外部リソースを頼って自分自身に業務が溜まらないように心がけていきたいと思っています。


9. **精神的な健康を維持するために、どのような習慣や活動を取り入れていますか?**

まずは兎も角眠る事と1日3食食べる事。
出来るだけ朝日を浴びる事、適度な運動は心がけています。


10. **同じような障害を抱えながら事業を経営している人々に向けて、どのようなアドバイスやメッセージを送りたいですか?**

同じような障害を抱えている人、限定ではないのですが、経営者、管理者は自分に業務を溜め込みすぎてしまうタイプの人がやると地獄を見るのではないか、と思います。
社内外問わず、頼めるものは徹底して頼む、むしろ、頼む事が仕事だと思うくらいが丁度良いのではないか、と感じています。

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