「ジェネレーター」としての教師、親、リーダー
「ジェネレーター」(generator)というのは、いまから10年くらい前に、僕(井庭崇)と市川力さんとでつくった新しい概念だ。
generatorという言葉は、「発電機」や、「蒸気や気体の発生器」という意味をもつ言葉で、コンピュータ分野では、「コード・ジェネレーター」というように、変換して出力してくれるプログラムのことを指している。
僕らが言う「ジェネレーター」は、自ら面白がりながら創造・探究を進め、周囲も巻き込んで刺激・誘発しながら、みんなで成し遂げてしまう人のことだ。
教師でいえば、生徒・学生に教える「ティーチャー」や、議論や話し合いを促す「ファシリテーター」でもなく、生徒・学生のなかに入り一緒にプロジェクトや探究に取り組む人ということになる。
親で言えば、子どもに何かを「させる」のではなく、子どもと一緒に取り組み、むしろ自分の方がより楽しんでしまうくらいの人である。
仕事や研究のプロジェクトでいうと、みんなを導くリーダーとしてメンバーを統括したりタスクを割り振ったりするだけでなく、自分もプレイング・リーダーとして、メンバーの一人としてベタな作業もやり、一緒につくっていく側に立つ。
このように、ジェネレーターというのは、人との関わり方であり、物事の取り組み方でもある。しかも、それは、生き方でもある。
この「ジェネレーター論ノート」では、魅力的だが少しつかみづらい概念である「ジェネレーター」について、いろいろな側面から紐解いていく。