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主に分析哲学・行為論の文献のメモ。会社員。日曜哲学(2022~) https://re…

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主に分析哲学・行為論の文献のメモ。会社員。日曜哲学(2022~) https://researchmap.jp/ttsushima

記事一覧

ポール「行為は構成的目的を持つか?」(『行為の哲学』第7章)

Paul, S. 2021. Philosophy of Action: a contemporary introduction. Ch. 7 "Does Action Have a Constitutive Aim?" 節構成 7.1 善の相〔The Guise of the Good〕 7.2…

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1年前

シャピロ「道徳理論における行為の三つの捉え方」

Schapiro, T. 2001. "Three Conceptions of Action in Moral Theory". Nous, 35: 93-117. https://philpapers.org/rec/SCHTCO-13  倫理学における功利主義 vs. 義務論の…

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1年前

行為論(行為の哲学)に関連する記事(スタンフォード哲学事典)

SEP(スタンフォード哲学事典)の行為論関係の記事。分類&ピックアップのバランス感覚や論理(MECEかどうか、など)にはあまり自信がないが、まずは(1)の4項目からあた…

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2年前
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ハイデガー『存在と時間』前半(スタンフォード哲学事典)

スタンフォード哲学事典「マルティン・ハイデガー」 2節「存在と時間」2.2節「第一編」(執筆者Michael Wheeler/執筆年2011) 〈目的/モチベーション〉 ・行為や行為者…

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2年前
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アンスコム「実践的推論」

アンスコム「実践的推論」 門脇俊介+野矢茂樹編『自由と行為の哲学』所収 『インテンション』の新訳の訳注(62)から導かれ、こちらに。 行為を導く「実践的推論」につい…

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2年前
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ウィギンズ「思案と実践理性」

Wiggins, D. 1975/76. "Deliberation and Practical Reason" Needs, Values, Truth 所収(邦訳に該当論文は収録されていない) ウィギンズはこの論文で、アリストテレス『…

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2年前
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フランクファート「我々が大事にすることの重要性」

Frankfurt "The importance of what we care about" 同名の論文集(1988)に収録。6節構成。以下は3節までの内容。 1(導入:問題意識) 哲学の伝統的な探究 ①何を信じる…

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2年前
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永井均「『私』――現実を構成する虚構」

永井均「Ⅱ 利己性ーー『私』の倫理学」 『〈私〉のメタフィジックス』(勁草書房、1986年)所収。(利己性にはエゴイズム、倫理学にはエシックスとルビがふられている。…

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2年前
1

フランクファート「最終目的の有用性」

Frankfurt, Harry. G. "On the Usefulness of Final Ends" Necessity, Volition, and Love (1999) 所収。 5節・9節のあたりの、一定の最終目的を採用し、それを目指して特…

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2年前
1

ポール「行為は構成的目的を持つか?」(『行為の哲学』第7章)

Paul, S. 2021. Philosophy of Action: a contemporary introduction.
Ch. 7 "Does Action Have a Constitutive Aim?"

節構成
7.1 善の相〔The Guise of the Good〕
7.2 自己理解という目的〔The Aim of Self-Understanding〕
7.3 自己構

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シャピロ「道徳理論における行為の三つの捉え方」

Schapiro, T. 2001. "Three Conceptions of Action in Moral Theory". Nous, 35: 93-117.
https://philpapers.org/rec/SCHTCO-13

 倫理学における功利主義 vs. 義務論の論争の背後にある、行為やその価値の本性に関する捉え方を整理した論文。
 世界を〈行為の文脈〉として理解したうえで、

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行為論(行為の哲学)に関連する記事(スタンフォード哲学事典)

SEP(スタンフォード哲学事典)の行為論関係の記事。分類&ピックアップのバランス感覚や論理(MECEかどうか、など)にはあまり自信がないが、まずは(1)の4項目からあたりをつけて、興味のある主題を掘っていきたい気がする。

(1)【総論】行為・意図・理由
・行為 Action
・行為者性 Agency
・意図 Intention
・行為の理由:正当化・動機付け・説明 Reasons for Act

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ハイデガー『存在と時間』前半(スタンフォード哲学事典)

スタンフォード哲学事典「マルティン・ハイデガー」
2節「存在と時間」2.2節「第一編」(執筆者Michael Wheeler/執筆年2011)

〈目的/モチベーション〉
・行為や行為者の理解のための洞察や啓発を得る
・門脇俊介、池田喬、高井ゆと里らの著作を読む準備
・care/Sorge概念の理解 (+Frankfurt的なcareとの(非)関係性の見極め)

〈節構成〉
2.2.1 問い〔Th

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アンスコム「実践的推論」

アンスコム「実践的推論」
門脇俊介+野矢茂樹編『自由と行為の哲学』所収
『インテンション』の新訳の訳注(62)から導かれ、こちらに。

行為を導く「実践的推論」について、前提(理由)と結論、及び両者の関係がどのようなものかを、理論的推論との比較も踏まえながら明らかにする論文。
4節構成。節のタイトルは本ノートの執筆者による。論脈を追えていないところがたくさんあるが、とりあえずのメモ。

1節:実践

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ウィギンズ「思案と実践理性」

Wiggins, D. 1975/76. "Deliberation and Practical Reason"
Needs, Values, Truth 所収(邦訳に該当論文は収録されていない)

ウィギンズはこの論文で、アリストテレス『ニコマコス倫理学』(三巻と五~七巻)の解釈を通して、実践理性に関する日常に即した描像を提示しようとしている。
・前半では主に、ニコ倫の「思案〔英delibera

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フランクファート「我々が大事にすることの重要性」

Frankfurt "The importance of what we care about"
同名の論文集(1988)に収録。6節構成。以下は3節までの内容。

1(導入:問題意識)
哲学の伝統的な探究
①何を信じるべきか〔what to believe〕(認識論)
②何を為すべきか〔how to behave〕(倫理学)
上記に加えて、何らかの事物が当人にとって重要であるような種類の動物〔c

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永井均「『私』――現実を構成する虚構」

永井均「Ⅱ 利己性ーー『私』の倫理学」
『〈私〉のメタフィジックス』(勁草書房、1986年)所収。(利己性にはエゴイズム、倫理学にはエシックスとルビがふられている。)
下記の4節構成。
 一 『私』ーー現実を構成する虚構
 二 行為の正当化
 三 「道徳哲学」の問題
 四 人生の作品化
今回は、一・二・四節について、主に「行為者とは何か」という(本記事の)筆者のテーマに関連する観点から重要と思われ

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フランクファート「最終目的の有用性」

Frankfurt, Harry. G. "On the Usefulness of Final Ends"
Necessity, Volition, and Love (1999) 所収。

5節・9節のあたりの、一定の最終目的を採用し、それを目指して特定の活動パターンにコミットする、ということ自体が実は人生を有意味なものにしていて、内在的価値をもっている……というのが、この論文のメインの洞察。

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