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【ロシア・ウクライナ戦争が解る】ヘブンリー・エルサレム計画

こんにちは。いつもお越しくださる方も、初めての方もご訪問ありがとうございます。

今回は「ヘブンリー・エルサレム」についての記事となります。


ヘブンリー・エルサレムとは

今回解説するヘブンリー・エルサレム(天国のエルサレム)という言葉には二つの意味合いがあります。ヘブンリー・エルサレムについて言及すると陰謀論として批判されることがありますが、これは親ロシア派が作った概念でも、陰謀論者が作った概念でもないということを先ずは念頭に入れてもらいたいと思います。

イホール・ベルクトのヘブンリー・エルサレム計画

ヘブンリー・エルサレムはウクライナ人でありシオニストでもあるイホール・ベルクト(ゲッコー)という人物が発案したプロジェクトの事を言います。彼自身はユダヤ人ではないとしています。

ベルクトによると、ヘブンリー・エルサレム計画は2014年から始まるプロジェクトで、3つの期間を経て完成されるとしています。この計画はウクライナにおいて実行されるとし、最初の5年で既存のシステムを崩壊させ、次の5年で破壊・分割し、最後の5年で再形成するというものです。2019年の完成を視野に入れたプロジェクトのようです。

このプロジェクトが実際に進行していると仮定すると、2014年のマイダン革命以来、完全に一致しているとは思えませんが、部分的にプロジェクトとの一致点を見出すことができると思います。

ここまで説明してもいかがわしい情報と感じられる方もいらっしゃると思いますのでここで情報のソースを提示したいと思います。

ベルクトのヘブンリー・エルサレム計画はYouTube上のРАССВЕТ(日本語で「夜明け」を意味します)というチャンネルにНебесный Иерусалим(ヘブンリー・エルサレム)というリスト名で公開されています。著作(ウクライナの本当の歴史)も出版されています。

このリストに入っている動画の概要欄にはいくつかの画像が公開されています。ヘブンリー・エルサレム計画の詳細を示す資料やヘブンリー・エルサレム計画を具体的に表現した絵画などもあります。これらの動画や画像資料は、ロシア・ウクライナ戦争が勃発する以前にアップロードされたものです。

概要欄に公開している画像の一例
ウクライナ南部に設定されたヘブンリー・エルサレムの領土と国旗
荒廃するウクライナの様子
公開は2019年2月4日で
ロシア・ウクライナ戦争を予見しているかのようです

YouTube動画ですので、ウクライナ語が解らないとしても自動翻訳でおおよその内容を掴むことはできます。今後もしかすると自動翻訳の精度が向上し、内容がほとんど完全に近い形で理解できるようになるかもしれません。

イホール・ベルクトについて

さて、計画の立案者であるイホール・ベルクトですが、彼はルハンスク州で生まれ、モスクワ陸軍士官学校を卒業後にアフガニスタンに出征しています。その後アメリカで金融を学び、帰国したのち政治家となって偉大なるウクライナという政党の党首として活動していました。ただし、この政党は議席を獲得したことのない政党です。

ベルクトは自分の計画に反対する人間はいないと動画内で述べています。彼はそこで「ウクライナの大統領はユダヤ人であり、首相もユダヤ人(当時の首相はフロイスマン)、富裕層のオルガルヒもユダヤ人だ」と嘯いています。

ヘブンリー・エルサレムの歴史的・宗教的意味とは

次にヘブンリー・エルサレムにはベルクトの計画とは異なる歴史的かつ宗教的な意味合いで用いられてきた点について説明したいと思います。

ヘブンリー・エルサレムとはユダヤ教やキリスト教で用いられてきた概念で、ベルクトの計画も宗教的な文脈から構築されたものと言っていいでしょう。

宗教に基づくヘブンリー・エルサレムという概念は別名新しいエルサレムともいいます。最初に登場するのは旧約聖書の三大預言書のひとつであるエゼキエル書で、いずれ訪れるメシア王国の首都とされています。更にこの新しいエルサレムは他の三大預言書であるザカリヤ書イザヤ書でも登場し、より詳細に描写されています。

新しいエルサレムはその後のユダヤ教の聖典にも大きな影響を及ぼし、更にキリスト教の新約聖書のヨハネの黙示録においても終末論的な視点が拡張されました。

宗教的な話には興味がないという方もおられると思いますが、それはそれでごもっともとして、いずれにせよユダヤ教やキリスト教の解釈に従うと、新しいエルサレムは、世界の国々が集まる場所としてイスラエル王国の首都となると見做されている、預言されているということなのです。

ベルクトはこのユダヤ教・キリスト教の預言をもとにこの計画を立てたということをはっきりと表明しています。新しいエルサレムはユダヤ教とキリスト教の最も核心的な預言と言って良いのです。

何を下らないことと感じられるかもしれませんが、私たち日本人が主観的に感じる下らなさが他の国や宗教を背景とした人々にとっても同じように下らないと感じるという論理的妥当性はないのです。

ヘブンリー・エルサレム計画とロシア・ウクライナ戦争

ヘブンリー・エルサレム計画は本当にロシア・ウクライナ戦争に関係しているのかという疑問を持たれる方もいると思います。その疑問はもっともでしょう。しかし、ベルクトの想い描いたシナリオと、マイダン革命からロシア・ウクライナ戦争に至るまでの過程には、実際に多くの共通点があります。

この奇妙な共通点について、偶然の産物であると考えることもできると思いますし、計画通りに進行していると感じる方もいると思います。その中間として、計画は実際にあるのかもしれないけれど、その影響はそれほど大きくないのではないかと感じられる方もいるかもしれません。

他にもベルクトという人物のいたずらや工作と考えることもできると思います。

どの予測についても正当な理由があるとは思いますが、もし仮に、今後数年間、更に数十年間のウクライナ情勢において、更にこの計画との共通点が浮き彫りになったとしたならば、ベルクトのシナリオ通りに動いたとしたならば、私たちは彼の言論を分析し、彼らの計画に対して対策を立てる必要がでてきます。

従って、現時点でも共通点が多い以上は、直感にしたがって陰謀論である、親ロシア派の工作であると断定せずに、この計画をインテリジェンスの方法に従って分析する必要があると言ってよいと思います。

何故メディアはヘブンリー・エルサレム計画を報道しないのか

何故このような計画があるのにほとんど誰も知らないのかと疑問に思われる方もいると思います。確かにメディアが伝えていてもおかしくないほどのスクープとも言えるかもしれません。メディアが伝えないのだから陰謀論や工作に違いないと感じられる方もいるでしょう。メディアの役割は、理想論的に言って、真実を探求するジャーナリズム活動と表現することもできるかもしれませんが、プロパガンダの祖とされるエドワード・バーネイズが定義する通り、エリート層が大衆との関係を構築し、その関係性を維持するためのメソッドとも言えます。マスメディアはこれに該当しないことについては必ずしも公にはしないという性質があると思います。

ヘブンリー・エルサレム計画について

それではヘブンリー・エルサレム計画とはどのような計画なのかを具体的に見ていきたいと思います。

ウクライナ全体から見たヘブンリー・エルサレムと拡大したヘブンリー・エルサレムの地図
前者は現在のイスラエルとの比較がされています

ベルクトの計画によると、ウクライナ南部5州がヘブンリー・エルサレムになるとしています。

対象となる5州はオデッサ州ムイコラーイウ州ドニプロペトロウシク州ザポリージャ州ヘルソン州となります。

この計画が仮に実際に推進されているとしたならば、ゼレンスキー政権はこの計画に沿って戦争を行っていると言えると思います。一方のプーチン政権の立ち位置ははっきりしない部分があります。

しかし現在、戦場がウクライナ南部に固定されている点を考慮すると、ロシア側にもこの計画の賛同者がいたとしても不思議ではないでしょう。

ベルクトは、国家建設にあたりイスラエルから600万人、ヨーロッパ・アメリカから1200万人のユダヤ人を移住させるという考えを示しています。

ヘンリー・キッシンジャーは2012年に「10年後にはイスラエルは存在しない」と発言しています。このキッシンジャーの予測あるいは過度の心配は彼にとって幸いにも外れましたが、イスラエルはパレスチナのハマスからの攻撃により、パレスチナで民間人を虐殺するなど国際社会から非難を浴びています。

イスラエルがハマスに負けるわけがないではないかと批判的に論じられる方がいますが、キッシンジャーの指摘はパレスチナとの対立の次元で言っているのではなく、周辺諸国との関係性において言っている話です。

イスラエルは現在、周辺のアラブ諸国と比較して軍事的・技術的優位性を持ってます。しかし周辺のアラブ諸国も民主化運動や革命運動、アメリカによる度重なる攻撃によって繰り返し大きな損害を被っていますが、近年着実に力をつけてきています。

いつイスラエルの軍事的・技術的優位性がなくなり、またイスラエルに友好的なアラブ国家も、いつ反イスラエルに転じるか分かりません。

ベルクトの提示した画像の中には、ヘブンリー・エルサレムからエジプトイラクイランヨルダンシリアトルコを攻撃している地図がありますが、イスラエルにはこれらの国々が(もちろんこれに更に多くのアラブ諸国が加わるでしょうけれど)強固に団結した状況への恐怖心があるのは間違いないと思います。

人口で言うとイスラエル850万人に対して周辺のアラブ人は1億人にも及びます。

ベルクトの論点ではヘブンリーエルサレムはイスラエルを支援すべく、
エジプト・イラク・イラン・ヨルダン・シリア・トルコを背後から攻撃する役割があります

あるヘブンリー・エルサレムについて紹介している記事によると、ベルクトがイスラエルの60%は砂漠であり、都市は過密であり、気候や環境は非常に劣悪だと指摘しているとしています。

短期的に見てイスラエルがハマスを打倒し、パレスチナ人自治区を植民地化するのは容易です。しかし長期的にみれば、イスラエルという劣悪な土地で周辺のアラブ人を相手に戦い続けるのは限界があります。

数百年後にはどこか別の土地に移らなければならないとベルクトは述べています。イスラエルと比較すると、ウクライナは肥沃な土地であり、気候も良好な地域です。また周辺は温厚なスラブ人に囲まれているわけです。

ロシア悪玉論が唱えられている昨今ですが、歴史的に見れば、スラブ人はスレイブの語源にもなっているように、周辺民族から支配される地位に甘んじざるを得ない時代も長く続いていたわけです。

さて、またこの記事によると、ウクライナはかつてユダヤ教を公式宗教としていたハザール王国が存在した国であると指摘しています。

ヘブンリー・エルサレム計画はハザール陰謀論から派生したものと指摘する人がいますが、実際はベルクトによるヘブンリー・エルサレム計画の中にハザール王国が念頭に置かれているといった方が正確です。

先ほど紹介した地図を詳細に見ると、ベルクトはウクライナのザポリージャをハザルスクというハザール王国と関連する名称に置き換える計画を立てていることが解ります。ほかにも興味深い名前が多くあります。

ハザール王国を示すハザルスクやアメリカ・ユダヤ人共同配給委員会を示すジョイント、修正主義シオニストのゼエヴ・ジャボチンスキーを示すジャボチンスクなどがあることが興味深い

ロシア十月革命はユダヤ人共産主義者が主導した革命だったと言われていますが、その流れからロシア革命直後からウクライナにはユダヤ人のための自治州建設計画がありました。

当時はクリミアを中心としてユダヤ人自治州を建設する計画でした。革命政府の経済学者のユーリ・ラーリンOZETと呼ばれるユダヤ人をその土地に定住させるための労働者協会を組織して、1930年代には30万人のユダヤ人が集まりました。

ソ連ではその後、ビロビジャンへのユダヤ人定住計画が優先され、クリミアへのユダヤ人自治州の計画は廃れていきました。

OZETの活動にはジェイコブ・シフらが創設したアメリカ・ユダヤ人共同配給委員会いわゆるジョイントと呼ばれる組織から多額の寄付がありました。

ジェイコブ・シフはクーン・ローブ商会の会長であり、日本では日露戦争の際に国債を買ってくれた大恩人として紹介されることがあります。

ベルクトのヘブンリー・エルサレム計画にもこのジョイントによる支援は念頭に置かれており、ヘブンリー・エルサレムが建設された暁には、イズマイールをジョイントに改名する計画となっています。

ヘブンリー・エルサレム計画と共通点のある報道や出来事

2014年のマイダン革命の頃、あるウクライナの将軍がウクライナの政治について情報をリークしている動画があります。マイダン革命によって権力を獲得した、大統領代行のオレクサンドル・トゥルチノフやウクライナの首相となったアルセニー・ヤツェニュクをアメリカ中央情報局CIAのエージェントであると名指しで批判しています。

そこで彼は当時のウクライナのフリーメイソン会長がユダヤ人オルガルヒのヴィクトル・ピンチュクであり、ヤツェニュクが副会長だったと述べています。

2014年にアメリカの駐ウクライナ大使館とユダヤ人であるアメリカ国務省国務次官補のヴィクトリア・ヌーランドとの電話会談がリークされました。この会談のリークによりアメリカ国務省が首相のヤツェニュクを選んだことが暴露されました。

ヴィクトリア・ヌーランドの夫である歴史家のロバート・ケーガンは新保守主義団体のアメリカ新世紀プロジェクトを創設したメンバーであり、この夫婦が民主党・共和党という対立する二大政党を超えて大きな影響力をもっていたということを日本人も知っておく必要があります。

アメリカがマイダン革命を主導し、支援したというのは陰謀論として片づけられることが多いですが、少なくともアメリカが非常に強力に革命派を後押ししたのは間違いないでしょう。

2017年、ウクライナの英雄の称号を持つグリゴリー・オメルチェンコは雑誌のインタビューの中で新しいエルサレム計画について警鐘を鳴らしています。オメルチェンコはウクライナのナショナリストであり、反ロシアで大のプーチン嫌いとしても知られています。

オメルチェンコは2025年までにウクライナに500万人のユダヤ人がイスラエルなどから移住してくる計画があると述べています。

https://kg.ua/news/v-ukrayini-mozhlive-stvorennya-drugogo-ierusalimu-grigoriy-omelchenko

さて、第4代大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィッチが失脚した後、ウクライナのユダヤ人オルガルヒであり、更にドニプロペトロウシク州知事となったイーホル・コロモイスキーは過激なサッカーサポーターから発生したアゾフ大隊などのネオナチ軍事組織に資金を提供し、ロシア側の武装勢力の捕獲に懸賞金を掛けました。

コロモイスキーは更に自身が所有するメディアを使って『国民の僕』と呼ばれるドラマ番組を製作しました。このドラマで主演を演じたのが現在ウクライナの大統領となったゼレンスキーです。

ゼレンスキーはこのドラマで一躍人気を博し、この番組と同名の政党『国民の僕』からコロモイスキーの手厚い支援を受けて大統領になることに成功しました。

ドンバス戦争が悪化し、ロシアがウクライナに侵攻すると、ゼレンスキーはメディアに対して「大きなイスラエル」計画を宣言しました。ウクライナは平和なスイスを目指すのではなく、イスラエルを見習うべきだといいました。

これはイスラエルとゼレンスキー政権の関係がよく解る発言だと思います。ゼレンスキーは更にアメリカのユダヤ系資産運用会社ブラックロックの経営陣と会談し、ウクライナの経済復興を彼らと契約します。

ウクライナではスラブ人が住む家も命も奪われている一方、ユダヤ系大企業はウクライナ復興のための礎を築きつつ、同時にイスラエルのユダヤ人たちもここぞとばかりにウクライナの荒廃した土地を買い漁っています。

https://www.haaretz.com/israel-news/2022-03-10/ty-article-magazine/israelis-ukraine-real-estate-putin-russia-invaded/0000017f-e2a4-d38f-a57f-e6f61c1d0000

私たちがメディアによって、見世物を見せられている間に、ベルクトのヘブンリー・エルサレムを思わせるような活動が活発に展開しています。日本では義侠心に駆られて戦場に向かった若者もいますが、戦場で犠牲になるのはいつも一般市民とメディアの誘惑に騙された若者だけです。

天国のエルサレム(新しいエルサレム)の預言を表現したベルクトが公開した画像

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