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大学時代に900万円の借金(奨学金)を背負った話

私は裕福な家庭の育ちではなかったので、大学進学にかかる費用を返済型の奨学金でまかなう必要があり、大学卒業時には借金は900万円になりました。
若くして途方もない借金を背負って、というと可哀想な話に聞こえますが、私は学生時代に借金をして本当に良かったと思っています。
ここで書いた内容は、お金のことで大きな不安を抱えていた大学生当時の自分に伝えたいことです。
また、同じような境遇の人に読んでもらい、お金がないという理由で色々なことを諦める人を少しでも減らすことができれば嬉しいです。


1.  生い立ち〜高校まで


私は、けっこうな田舎の高卒の両親の下に3人兄弟の次男として生まれ育ちました。
中学までは、「ガリ勉ダサい」と思っていたので、ほぼ勉強しておらず、適当に推薦で入れそうな高校に進学しました。
田舎の偏差値54の高校で、卒業生の約半数は専門学校に進学する、エリートとは無縁の環境でした。


高二の夏くらいにうっすらと将来を考え始め、自分はバンドマンで成功するのも無理そうだし、メンノンモデルになってから俳優デビューするのも今世では難しそうだなと思い、勉強を頑張って早慶を目指すことに決めました。
高一の時は地理と世界史で学年最下位、国語の成績は10段階で1だったところから、一気にスパートをかけ、何とか早稲田大学の理工学部に現役合格しました。(さらっと書いていますが、それまであまり勉強してこなかったので実際はかなり大変でした・・・)


2.  志望大学に進学するも世の中の不公平さに心が折れる


めでたく志望していた早稲田大学に入学するも18歳だった当時、お金に関して大きな挫折を経験します。
まず、私大の学費と都内の家賃の高さを痛感しました。
卒業までにかかる費用はざっくり1000万近くなるため、私の家庭ではほとんど半分も払うことはできず奨学金を借りることになりました。
当時満額の月12万円借りましたが、これでも足らずバイトと親にさらに銀行で学費ローンを組んでもらい工面しました。

一方で、大学の友達の話を聞くと、自分のように奨学金を借りている人は少数派でした。
実際、早稲田のようないい大学に行くような人は多くの場合育ちがよく、小さい頃から塾通いで中学受験をしている人も少なくありません。
小さい頃から莫大なお金をかけて、田舎の公立の先生とは比べ物にならないほど優秀な先生と、環境の整備された学校・予備校に通って、優秀な親の考え方を常日頃から吸収することができて、それは勉強もできるようになるのも当たり前だ!と思いました。
(これは自分の想像でしかないため、裕福な家に生まれたからみんながみんなこのようになるわけではなく、私のコンプレックスもあると思います...)

加えて、実家が東京近郊の人が多く、彼らは実家から通えるのでひとり暮らしの費用もかかりません(これも年間100万円近くかかります)。
このように自分にはコントロールできない生まれや育ちによって、人生がかなり決まってしまうということに大きな憤りを感じました(10代の自分には簡単に受け入れられるものではありませんでした)。

3.金銭的に恵まれない自分にとって最善の戦い方を考える

お金がとにかくなかったのですが、苦学生がよくやりがちなとにかくたくさんバイトをして学費を稼ぐということをしませんでした。
また、都心から離れた駅の家賃の安い家に住んだりすることもせず、大学院にも進学し、アメリカに留学にも行き、そのための英語の勉強にかなりお金をかけました。

お金のない多くの人がとにかく出費を抑え、お金を稼ぎ、収支を合わせようとすると思いますが、私は真逆のことをしました。
もちろんただ贅沢をする等はしませんでしたが、趣味や友人との飲み会や遊びにはできるだけ行きました。

しかし、毎月収支が何万円(月によっては何十万円)も赤字が続き、借金が増えていく状況に流石に恐怖を感じました。
感情的に考えたら怖いですが、論理的に考えたら、数百万円の借金をしてでも大学院や留学にいった方が長期的には圧倒的にプラスだと思いました。
なぜこのように考えたかというと、

一流大学でなくても、大卒であれば生涯賃金が平均2.4億円、高卒は2億円です。
その差、4000万円です。
大学に進学するということは、みんな大学にそれだけ投資する価値があり、将来十分に回収できると思っているからです。(そもそも学費数百万円が将来回収できないような大学なら行くべきではありません)

また、私としては、両親が高卒なので、1000万借金したところで、高卒よりはいいじゃん。あとは最悪、車を買うのをやめるか、住む家を少し狭くすればいいじゃんくらいに思ってました。

また、大卒と高卒の賃金差が4000万円もあるということは、大学の過ごし方次第でこの差分は大きく変動すると考えました。
多くの学生は、かなりの時間をバイトに費やしますが、バイトの時給はせいぜい千円台です。バイトから学ぶことも沢山あるという意見には反対しませんが、いくらバイトを極めても優秀なフリーターにしかなれません。
お金を稼ぐためには、バイトよりも学べきことはたくさんあります。
そのため、バイトは週1~2までにし、社会勉強やサークル程度と思ってやりました。
(留学前と大学院入学後は勉強に時間を割きたかったのでバイトは一切しませんでした)


4.その結果

やったことは、大学の勉強や研究に加えて、英語の勉強、留学、本を読んだり、仕事で活躍している人が何を考えているのか、本質的なエッセンスは何かをとにかく考えるようにした。
TOEICは975点まで伸ばしました。
留学したり、ビジコンに挑戦したり、将来に繋がりそうなことには何でも取り組みました。
(もちろん遊びや趣味にも打ち込みました)

志望理由については別の記事で書きましたが、無事新卒で第一志望の総合商社に入社することができ、今はそれなりに充実した社会人生活を送れています。
ちなみに奨学金も有利子の約700万円は3年ほどで繰り上げ返済し(無利子の分は20年かけてゆっくり返します)、今は完全に自由の身です。


5.今思えば当時の自分の判断は合理的だった

思い切って900万円の借金をした時、自分としては合理的だと思える判断をしたつもりでしたが、学生の自分には分からないことだらけで完全に正しいという100%の自信はありませんでした。
今は何年か社会人を経験し、答え合わせができるようになり、仕事で使っているファイナンスの理論から見ても正しい決断だったと思っています。

お金を調達して(銀行から借りるか、投資家に出資してもらう)、それを何かの事業に投資して(何かの商品を開発する、アプリを作る等、色々なパターンがあります)、収益を上げるというのが、ビジネスの本質です。
ビジネスにおいて借金は呼吸するのと同じくらい当たり前です。

当時、大学生だった自分自身が投資先の事業で、900万円のお金をその事業に投資したわけです。
それによって、大卒の平均年収よりもかなり多くの給料を貰えていますし、何より自分の将来に繋がるような高度で面白い仕事が出来ています。
当時借金をして、思い切って色々なことに挑戦していなければ、間違いなく今のように充実した社会人生活は送れていません。
もちろん、全員が全員同じように借金をしてそのように満足な結果が得られるかと言うとそうではないと思います。
しかしながら、前述した通り奨学金をすることのリスクは、最悪将来の家が多少狭くなる程度です。
それに引き換え、一流企業に入れば大卒の平均生涯賃金2.4億円を5億円にする等、アップサイドはかなり大きいです。
根性論はあまり好きではありませんが、借金をすることで絶対に回収してやろうという気持ちが芽生えるのもプラスだと思います。
逆に大学生がバイトに費やす数百〜数千時間という膨大な時間を勉強等に投資したら、そうしなかった時と比べてさすがに結果は変わっているのではないしょうか?


さいごに

昔の自分と同じようにお金で悩んでいる人に向けて書きましたが、少しでもお役に立てば幸いです。

お金を稼ぐことが目的ではありませんが、自分で何かやるときには多くの場合お金が必要になりますし、お金があれが時間を買うこともできます。
1000万貯金があれば丸2年は働かなくても暮らせます。お金=時間=命です。
1000万円あればお店を開くこともできます。

大学生のうちにお金と向き合うということも大切なことだと思うので、ぜひ今のうちに考えてみてほしいです。

もしお悩み等あればコメント等してください。


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