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「人それぞれ」がさみしい〜「やさしく・冷たい」人間関係を考える〜②

こんにちは。やまりです☺️

本日は、「人それぞれってなんかもどかしい」と感じている方に向けての記事です。

先週のこちらの記事に引き続き、今回は『「人それぞれ」がさみしい〜「やさしく・冷たい」人間関係を考える〜』の第2章・第3章の内容を取り上げます。


第2章 「人それぞれ」のなかで遠のいていく本音

「一人」になれる条件が整い、人びとの選択や決定が尊重されるようになった社会では、誰と付き合うか、あるいは、付き合わないかは、個々人の判断にゆだねられています。

人と無理に付き合わなくても良いつながりは、ふとしたことで解消されてしまう不安定なつながりとも言えます。

そこで私たちは、弱まってきた関係をつなぎ止める新たな補強剤として、つながりに大量の「感情」を注ぎ込むようになりました。

関係を継続させるには、つながりのなかに「よい」感情を注ぎ続けねばならず、マイナスの要素を徹底して排除する必要があります。

私たちは、人間関係を円滑に進めていく行動様式がはっきり見えないまま、相手の心理に配慮しつつ、コミュニケーションを行う厄介な状況にされされているのです。

この厄介な状況に対処するにあたって重宝されてきたのが、「人それぞれ」を前提としたコミュニケーションです。

「人それぞれ」という言葉を使っておけば、自らの立ち位置を守りつつ、相手の意思を尊重することが可能です。

「個を尊重」し、人と人をつなぎ止める材料が少ない社会では、争いや対立は、関係の存続を脅かしかねません。

そこで私たちは、「人それぞれ」という優しさの呪文を唱えて、お互いの干渉を回避しています。

しかし、この言葉は、一度発せられると、それ以上に踏み込んだ会話を行うのは、難しくなります。

それに加え、それぞれが選択したことの結果を、自己責任に回収させる性質もあります。

「人それぞれ」の優しさに包まれた気遣いの関係は、気遣いをしなければ崩れてしまうもろい関係でもあるのです。


第3章 「人それぞれ」では片付けられない問題

この章では、「人それぞれの社会」の矛盾や厳しさを取り上げます。

ある物事に対して「人それぞれ」の原理を適用するには、「多様な選択肢」と「多様な選択を許容する寛容さ」という2つの条件が重要です。

選択の自由は、個人の希望を叶えるという意味ではとても魅力的に見えます。

しかし、私たちの希望には、一人だけでは叶えられないものもたくさんあります。

「人それぞれの社会」で誰かと何かをやるときには、むしろ、以前よりも調整の手間がかかってしまいます。

その結果、人びとは、「人それぞれ」に自由に選べるようになったけれど、対人関係では少しの我慢と寂しさを重ねるという矛盾を抱えます。

また、私たちは「人それぞれの社会」を生きているといっても、他者の選択の影響をたえず受けています。

多くの人がスマホでコミュニケーションをするなか、それを無視するのは、簡単なことではありません。

人びとが自らの利益を優先して、自由に行動した結果、社会としての損失が大きくなる現象は「社会的ジレンマ」と呼ばれ、その例として環境問題への取り組みや社会による武器の所持の規制が挙げられます。

そして私たちは、さまざまな出来事について「人それぞれ」と言いながらも、心のどこかで、世の中は「それぞれ」に平等なのではなく、序列があることを知っています。

人間関係を「人それぞれ」に選べる社会とは、同じように「人それぞれ」の選択肢をもつ相手から、自らを選んでもらわなければならない社会とも言えます。

このような社会では、相手の気持ちを満たすことのできる資源に恵まれた人ほど、豊富な関係を手にするようになります。

人間関係のコスパ化が進んだ社会では、自らもコストと見なされてしまうリスクを絶えず背負うことや、誰かがコストとして切り離されていることを忘れてはなりません。

「人それぞれの社会」は、「人それぞれ」に選択した結果として生じる格差には、あまり目を向けず、むしろ、引き起こされた結果の責任を、当事者の選択に帰することで、格差を正当化する性質があります。

一見、寛容な「人それぞれの社会」は、結果としての不平等を見過ごす冷たい社会でもあるのです。


最後に

今回は、『「人それぞれ」がさみしい~「やさしく・冷たい」人間関係を考える~』第2章「人それぞれ」のなかで遠のいていく本音第3章「人それぞれ」では片付けられない問題、について取り上げましたが、いかがでしたか?

第4章以降は、次週(でおそらく完結)更新予定ですので、フォローの上、更新をお待ちいただけると嬉しいです☺


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「この記事を読んで良かったな」
「『人それぞれ』という言葉に含まれるモヤモヤ感に共感した」
と少しでも思っていただけたら、
「スキ♡」やコメントで教えていただけますと幸いです☺

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