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結果が全て ~雷鳴の中の愛~

 これまでのお話で相反するもの(「木」と「森」や「幸」と「不幸」)が自分の中でバランスがとれていること(呉越同舟)が重要なのではないか、という結論に至りました。過去の配信を是非チェックしてみてください。

今回は「企業の結果」のお話。

会社の結果は「決算」である。


 皆さんは「決算」と聞いてどんな印象をお持ちですか?決算セール?赤字黒字?決算賞与?
 企業にとって決算はその1年間の通知表のようなものです。正確には損益計算書(PL [Profit and Loss Statement])が1年間の成績、貸借対照表(BS [Balance sheet])が過去も含めた通算成績を表しています。

 決算書を見ると会社の雰囲気を大まかに想像するとができます。皆さんこれまでにどれぐらいの決算書を見たことがありますか?

 決算書に書かれているものとしてぱっと思いつくのは、
 ・売上
 ・経費
 ・利益
 ではないでしょうか。どれぐらい稼いで、どれだけ経費が掛かって、どれぐらい余裕があるのか、といった具合。

経費

 まずは経費から見てみましょう。

固定費と変動費

 経費には大きく分けて「固定費」と「変動費」があります。

 固定費は売り上げに関わらず発生する一定の額のことで、
 ・人件費(給料、社会保険料)
 ・事務所の家賃、水道光熱費
 ・リース、サービス利用料
 等があげられます。
 これは必ずかかる費用なので会社が最低限稼がなければいけない金額です。特に社会保険料は従業員と企業で折半ですから、単に支払っている給料にプラスして考える必要があります。

 一方の変動費は売り上げによって変わる経費で、
 ・原材料費、外注費
 ・販売手数料
 ・運送費
 等です。
 単に額が一定ということではなく売上と連動するかどうかというところで違いがあるということですね。

利益

 利益には5種類ありますが、それぞれ段階や粒度が違うだけと認識しておけばよいと思います。まずは基本の3つを覚えましょう。

売上総利益(粗利)
 ざっくり利益です。そのため「粗利益(あらりえき)」とか「粗利(あらり)」と呼ばれます。見積もり段階で粗利〇%程度(業種や案件によって異なります)あることが指標となることが多いです。

営業利益
 会社の能力を表す利益です。その企業がいくら利益を出せるかを表します。また先ほどの粗利と組み合わせると以下のようなことが推測できます(パーセンテージは売り上げに対して)
・粗利:30% 営業利益:20% → 経費が少ない
 ポジティブ要素:費用を抑えて効率よくやっている
 ネガティブ要素:人が多い場合、給料が低いかも?ただ働き?家族か?

・粗利:30% 営業利益:1% → 経費が多い
 ポジティブ要素:あまり思いつきません。。
 ネガティブ要素:家賃が高い?役員報酬が高すぎ?無駄遣いしている?安売りしている?税金対策やり過ぎでは?経費に怪しい部分アリ?

 決算書なんてどう見ていいか分からない、という方はまずはここを見てみてはいかがでしょうか。

経常利益(経常)
 一番簡単な会社の指標。3%ぐらいが妥当というのが通説です。その会社が実際に生み出した利益で「経常(けいつね)」と呼ばれます。
 高ければよいかというとそうでもなくて、理想的な割合というものがあります。そこへまとめていくのが経営者の腕の見せ所とも言えます。

 決算はその他の様々な数字をまとめて、成績を出すことを言います。
 例えば3月が決算の会社では3月31日で数字を締め、その2か月後の5月31日までに算出した税金を納め、関係各所へ書類を提出します。最近はe-tax(イータックス)や el-tax(エルタックス)といった電子納付も活用できます。
 提出先は主に3か所で国(国税)・都道府県(都道府県民税)・市町村(市町村住民税)です。

 決算書類はいい加減なものを作ったとしても提出することはできます。各所で大まかなチェックは入りますが、細部まではチェックできませんので利益を操作して税金をごまかしてもその瞬間は分かりません。とくに経費の妥当性などは提出したから終わりというわけではありません。

 ですが何年か経ってから税務調査が入り、過去に遡って書類を確認した場合に、経費と認められないものを経費としていたり、売り上げにあげなければいけないものを上げていなかったりすることが分かると、追徴課税が発生します。

 あまりにも悪質で意図的な事をしていると「脱税」と判断され犯罪となり額が大きいとニュースに取り上げられたりしますね。脱税関連のニュースで金額が大きくなるのは何年もの間脱税をしていたために金額が積みあがっているからですね。

 起業塾でも「神は細部に宿る」の回で「帳簿をつける」という話をしましたが、とても重要なことが分かります。ただ企業買収や資産売却などややこしい処理もあるので、本当に間違ってしまうこともあります。そのため「すごく利益が出た!」となっても「後から修正が入るかもしれない」という意識(塞翁が馬)をもっておくことが大切だと思います。

一人で泣く人は祝福される

 利益がたくさん出ることは良いことですが、そうなると法人税が高くなってしまいます。もちろん決まった税金を納めることは義務ですから最終的にはちゃんと納めます。
 例えばこんな経営をしている会社をどう思いますか?

 利益はたくさん出ているのに、給料が上がらない。
 営業利益の割合に対して人件費の割合が低い

 どういう商売をしているかにもよりますが頑張っている人たちの生活が豊かにならないのは問題ですよね。
 企業とは
 ・利益を得ること
 ・利益を分配すること
 が目的ですので多くの利益が出るのであれば還元すべきです。

 ただし、儲かったんだから従業員へ分配しろ!という単純なものではありません。そうするなら儲からなかったときは給料を下げてもいいのか?という話になります。それでは生活は安定しません。

 そこで大切になってくるのが前回お話した「投資」です。企業も投資をする必要があります。ここでいう投資とは株式や証券というものではなく、教育や設備の事を指しています。

 より働きやすい環境へ移転するとか今後のスキルアップのために研修を受けるなど、先を見通したものへ利益を投資する必要があるのです。

 儲けても税金で持っていかれるだけなのであれば、翌年以降も利益を出せるように、投資をすることが重要。だから何に投資をすべきかという判断は経営者にとって重要です。そのため経営者の価値観が私利私欲に偏っていては会社の未来は明るくありません。

 そんなことをああでもない、こうでもないと一生懸命考えるのですが、そんな苦労や苦悩は誰にも理解できません。そうやって夜な夜な経営者が悶々と考えていることなんて誰にも分からない事なのです。これが経営者の辛さです。。って、

 ほんとうにそうでしょうか?

 ここで心のベクトルを反転します。

 人にはそれぞれ状況や環境、事情があります。誤解を恐れずに言えばレベルがあります。そのレベルの高低と人としての価値の高低は関係ありません。ただし、社会への貢献度合いは違うと思っています。またそれが対価と結びつくかどうかは自分次第だと思います。ノブレスオブリージュです。

 人はだれしも人知れず努力や苦労をしていて、その大小は人の価値とは関係ありません。ですが努力や苦労をしているからすごいとか偉いとかもありません。そして社会に対する貢献度の違いがあるということは認識しておくべきです。自分の傍に自分よりも高い目標へ挑戦している人がいるということを意識しておく必要があります。

 私の好きなB’zの歌にこんなものがあります。

 祝福が欲しいのなら哀しみを知り一人で泣きましょう。そして輝くウルトラソウル!(B'z 「Ultra Soul」)

 哀しみをこらえて人知れず涙する。そんな日は誰にでもありますよね。祝福されたい気持ちもありますが、であればまずは身近な人を祝福するぐらいのゆとりが欲しいです。

「結果が全て」が当たり前という感覚を持つ

 どんなに苦労をしても、どんなに時間がかかっても、結果が出なければダメです。
 例えば資料作成の依頼があった場合、納期までに間に合わなければやってないのと同じことです。やったけど要求を満たせなかったというのは次に悪い。納期に間に合わせて要求を満たすことが求められています。
 そんなことは分かってる?そうですか?一つ条件が不足しているのは分かりますか?それは、

見合った対価であるかどうか

です。そのためにあるものは何でしょうか?

それが見積です。

そもそも見積というものは
・何を
・いつまでに
・いくらでやるか
を示すものです。ですが見方を変えるとこうなります。
・この対価であれば
・いつまでに
・何を
達成することができる、なのです。
 つまり見積は対応する側の決意表明ともいえるわけです。対価は金額であることが多いですが、経験やノウハウも含まれます。

自分のやっていることは誰にも見えない。つまり、

 それは他人がやっていることは自分には見えないということ。つまり他人の気遣いは意識していないと見えないということです。
 常に心のベクトルをあちこち向けながら「雷鳴の中の愛」を見つける癖をつけましょう。

 

具体例

 あなたは大きなプロジェクトを任されました。ですが残念ながらそのプロジェクトは赤字となり失敗してしましました。以下のような状況だった場合あなたはどのように考えますか?
 1.新規性が高く今後需要が高まる案件だった
 2.使っていた技術者にスキルが合わないものがいた
 3.技術者の面談は全て上長が行った
 4.仕様に不透明な部分があり、最終フェーズで問題となった
 5.仕様変更が多発したが納期変更はなかった

こちらはスタエフで議論してみたいと思います。

 決算の内容は従業員には分からないことが多い部分です。単純な数字だけで判断されるものではなく、そこにはいろんな理由や意図があります。なぜそうなっているのかを理解できるように、またもっと良い方法があるのではないか?と提案できることを目指してみましょう。

 今回の内容は2022年6月3日(金)11時からのチャンネルユニコ(stand.fm)にてお話しますので、感想やコメントを頂けると嬉しいです。

 次回の魁!!起業塾は その8「桃栗三年柿八年 遠慮は最大の無礼である」をお送りします。お楽しみに。いよいよ佳境です!


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