【短歌一首】 親族の盆の宴で吾を呼ぶ義母唐突にどこの子と訊く
毎年、お盆の頃にはいろいろ昔のことを思い出す。
もう20年近く前、ある年のお盆の親族の集まりの時のこと。
多くの親戚が参加する宴の最中、義母が私を呼ぶので行ってみたら、唐突に「あなたはどこのウチの子供?」と尋ねられた。
世の中でよくあることであることは頭で十分に分かっていても、いざ自分がその場面に直面するとさすがに驚いた。
このとき、子供の頃からずっと付き合いのあった親友の話を思い出していた。親友のお母さんのことはよく知っていたが、本当に世話好きの面倒見の良いしっかりした人で、幼少から大人になるまで本当にお世話になった人だった。
ある時、大阪での法事で親友とお母さんが新幹線に乗っていた時、唐突に親友に対して、「○○はどこの子だっけ。」と訊かれたそうだ。
親友はびっくりして、「あなたの息子でしょう。」と応えたと言っていた。
義母はこの辺りから15年近く、症状はどんどん進行していった。
もう数年前に亡くなってしまったが、とてもゆったりした柔らかな声と優しい眼差しを今でもよく思い出す。
猫間英介
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