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読了!村上龍「69」

#村上龍 #69 #sixtynine

《粗筋》
1969年、東京大学は入試を中止した。人々はビートルズに熱狂し、世論はベトナム戦争に揺れていた。僕は長崎県佐世保市、基地のある町に暮らす高校三年生。なにか面白いことをしたい、みんなを驚かせたい、女の子にモテたい!ただそんな気持ちから、僕は仲間たちと一緒に学校をバリケード封鎖した―。爆発しそうな衝動と真っ直ぐな心をあわせ持った高校生たちを描く、青春小説の金字塔。


《感想》
みんな、どうせ卑猥な内容なんだろ?って思ったでしょ?俺も最初はそう思ったよ笑

楽しかった!愉快な青春小説!
村上龍自身の、高校時代を元に書かれた話だった。村上龍のアンサー。ヒップホップだと思った。

バダサイが「限りなく透明に近いブルー」に食らったのは文章の純度なんだろうけど、こういう村上龍の精神にもやられたんだと思う。村上龍はロックでヒップホップだった。

《引用》
楽しんで生きないのは罪なことだ。私は高校時代に私を傷つけた教師のことを今でも忘れない。数少ない例外の教師を除いて、彼らは本当に大切なものを私から奪おうとした。彼らは人間を家畜へと変える仕事を飽きずに続ける「退屈」の象徴だった。そんな彼らへの唯一の復讐の方法は、彼らよりも楽しく生きることだと思う。楽しく生きるためにはエネルギーがいる。戦いである。私はその戦いを今も続けている。退屈な連中に自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう。(P237〜 村上龍あとがき)

1969年。大学などを目指してはダメで、マリファナを吸う方が良い、というようなムードがあった。(P10)

「そういうことは、大学へ行って、就職して、結婚して、子供を作って、ちゃんとした大人になってから言いたまえ」
バカ野郎。何が、言いたまえ、だ。
「大人にならなきゃ戦争に反対してはいけないんですか?じゃあ戦争で、子供は死なないんですか?高校生は死にませんか?」(P44)

不幸は常に知らない間に発展している。虫歯のようなものだ。(P112)

美少女は、男達の爆笑を止める力を持つ。ブスはその逆だ。爆笑の源である。(P122)

何かを強制されている個人や集団を見ると、ただそれだけで不快になるのだ。(P128)

(2021/4/13)

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