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朱野帰子「わたし定時で帰ります」

《粗筋》
絶対に残業しないと決めている会社員の結衣。個性豊かな同僚たちに揉まれながら働く彼女の前に、無茶な仕事を振って部下を潰すというブラック上司が現れて…新時代を告げるお仕事小説、ここに誕生!


《感想》
過労死を英訳すると「karoshi」

ハッピーエンドに胸がアツくなった。

育休を使わずに働くことが凄かったり、残業するのが偉かったり、上が有給や育休を取らないから下も取れない雰囲気があったり、自分を磨くのではなく他人を蹴落として上に行こうとしたり、これらの価値観を無理矢理人に強要したり。読んでいてモヤモヤした。

なんだろうね。みんなが気持ち良く働けるそんな企業、職場が増えていってほしいなって思う。仕事は大事。でも過労死とかブラック企業で病んでとか、そんな理由で誰にも死んでほしくない。俺をおいていかないでほしい。働き方改革?俺は推す。

人それぞれキャパが違うし、得意不得意だって多分ある。タフな人間は他人にそれを強要してしまうこともあると思う。仕事に対する熱量が違うのはやりにくいけど、そこらへん上手く考えられる人になりたい。優しくなりたい。


《引用》
有給は必要だ。誰にだって体や心バランスが崩れる日がある。心身の悲鳴を無視して働けば回鍋肉のおじさんのように死ぬことになる。(P45)

疲れる。ほんとに疲れる。なぜみんな疲れるほうへ行きたがるのか。(P98 無理な残業、フラフラになりながらの出勤、育休を取らないことの美化に対して)

「自分の生産性には改善の余地があるということから、目をそらしていたい奴らのほうがずっと多い。そういう奴らに変われと言っても無理だ。無駄な努力だ」(P180)

「愛が深ければ深いほど、その人が死ぬなんて思わないものよ」(P305)

もう誰も死なせない。そのためには誰も独りにしない。どんな小さな不安でも吐き出させ、抱え込ませない。現場にいる人間にしかできないことを自分がやらなければ。(P324)

気づいた時には脳の奥から霧のようなものが噴射されていた。文字を打ち込みすぎて強ばった指に痛みと一緒に快感が走る。体の芯が痺れ始める。信じられないくらい気持ちが良かった。これが脳内アドレナリン。足の指がビクビクする。足りない。もっとほしいと思った。自分を追いつめれば追いつめるほど、傷つければ傷つけるほど、霧は噴射される。(P335)


※今回は起業すれば良いじゃん?は無しでお願いします🙇‍♂️
(2021/3/22」

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