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読了!石田衣良「池袋ウエストゲートパークXIII,裏切りのホワイトカード」

《粗筋》
真冬の池袋で、超高給短期バイトの情報が駆けめぐる。たった半日で報酬は10万円以上。怪しすぎる誘惑に浮き足立つ若者たち。隠された目的は何なのか。そして、募集に使われた闇サイトの運営をめぐり、マコトのもとにはある財団から依頼が持ちこまれる―。表題作ほか3篇収録、快速IWGPシリーズ第13弾。対談,朝井リョウ

《感想》
石田衣良と朝井リョウの対談がクッソあつかった。俺得すぎた。朝井リョウのエッセイも読んでみよっ

あとは虐待で使ってたのが定規だったのは軽くフラッシュバック発動した。俺の親の得物もものさしかハンガーだった。ハンガーは飛び道具にもなるから強かったね、得物の形に合わせてミミズ腫れになるんだよね、懐かしい(笑)

ちなみにこれはマジな話なんだけど暴力は本当にやめた方が良い。男とか女とか世代とか"昔はこれが当たり前だった"とか愛とか関係なしに良くない。どんなエクスキューズも暴力の前では無力。平和じゃねえよ。

子供の頃みんながどんな風に育てられたかは分からないけど、自分が嫌だったと感じてたことを、自分が子供の頃はこうだったって繰り返すのかどうかは自分次第。これは部活や仕事あらゆる事に当てはまると思う。良くない流れ(伝統的な?)があるならどっかで断ち切れば良い。もう一回だけ言うけどどうするかは自分次第。心の大きさが試されると思う。


《引用》
おれたちが生きているのは、即決裁判が許された情状酌量のない時代だ。みんな考えるのが面倒で、善悪をさっさと悩まずに決めてしまいたいのである。とくにネットで見かけた他人のトラブルについてはね。不倫は悪、経歴詐称は悪、ギャンブルは悪(国家公認のやつ以外)。最近の炎上パターンはお決まりの形ばかり。集団で寄ってたかって袋叩きにして、社会的に葬り去る。ご清潔な人の道から、わずかでもはずれてしまえば、数の力を頼りにした恐怖のバッシングが待っている。キュウクツで息苦しい時代だよな。(P9)


おれは街のトラブルに何度も首をつっこんでいるので、ごく普通の人間がブチ切れてモンスターに変身するところを何度か目撃したことがある。切れた素人が一番怖いというのは、本職の組員サルが漏らした台詞だ。(P28)


理由はなんでもいいのだ。有名人や名もしらぬ誰かがやらかした不正に、徹底的な正義の断罪をおこなう。ネットができてから、おれたちは正義の力を行使するのに酔うようになった。誰もが指先ひとつで裁判官になれる時代なのだから。(P37)


自分の子どもと新しい男。究極の二者択一を迫られて、子どもを捨て、男を選ぶ女は多い。おれたちが期待をもって想像するより、母性なんて強くも立派でもない。(P43)


なにせ若いやつらにとって、覚醒剤なんて時代遅れのオールドファッションなドラッグである。もうお呼びでないのだ。(P65)


「おれ、タカシが初めてラブホにいったときのこと覚えてるよ。あれは北口のシャレードだったかな。おまえ、高二だったよな。練馬の商業高校のすごい女とさ」
「マコト、すこし黙れ」(P102)


『朝井リョウ』 短期的に結果が出るものにばかり手を伸ばす風潮がありますよね。本は、人生の中で長期的に効いてくるものだと思うんですが、今はそういうものにお金と労力を注ぎづらい印象があります。(対談 P286)


『石田衣良』  比喩は小説の華だからね。何ページかに一回は入れたい。
『朝井リョウ』 たまに鮮やかな比除が入ると小説がピリッと引き締まりますよね。でも自分は、まだ八年目とかなのに同じ比除を繰り返し使ってしまったりして、そのたび床をのた打ち回りたくなります。(対談 P291)


『朝井リョウ』 ニュースとかで気になる話題があって「これ、もう誰か書いてるかな」と思って調べると、大体「こち亀」か「IWGP」がすでに書いてるんですよ!ユーチューバーが2015年の春に「IWGP」に出てきていて驚愕しました。(P293)


『朝井リョウ』 怖いから、SNSで「今日はカフェで勉強、インプットの時間も大事!」とか言わないと耐えられないんです。僕の年代だと、そろそろ社会人になったころのモチベーションが一旦落ち着いて、次の目標ややりがいを見出している人と、そうでない人で分かれます。でも、次の目標が見つかってないなんて周りに思われたくないので、「今こんなことをして自分の糧にしてます、してますよ!」ということを発信したくなるのかなって。(対談 P296)

(2021/6/13)

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