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読了!石田衣良「池袋ウエストゲートパークⅧ,非正規レジスタンス」


《粗筋》
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシ。悪徳人材派遣会社に立ち向かう決意をした彼らユニオンメンバーが次々襲撃される。「今のぼくの生活は、ぼくの責任」と言い切る彼をマコトもGボーイズも放っておけず、格差社会に巣食う悪と闘うことに。表題作他3編収録。大好評IWGPシリーズ第8弾。


《感想》
日本の格差社会についてが2編、親子の話が2編。
全話涙腺崩壊。どっちの話題も刺さりまくり。

親子の話には本当に弱い。
きっと俺の親も死ぬ程悩んだと思う。私の育て方が悪かったからって…(実際悪かった部分もいっぱいある笑)

格差社会の2編もかなり響いたね。そりゃ稼がない奴、行動してない奴が悪いって切り捨てれば楽だけど、俺はもうちょい底上げしても良いんじゃないかなと思う。悪いのは普通に働いただけじゃ金が足りない今のこのシステムじゃね。この意見を言うだけで甘えとか言われるならもう知らん笑 

俺は願ってる。
誰もがラブアンドピースを胸に生きていける世界を。



《引用》
日本中にいるシングルマザーは、おれたちの手でなんとかできるはずなのだ。自立支援の名のもとに、自由落下にまかされた母と子たち。格差社会のコンクリートのどん底に無数の家族がクラッシュする音は、誰にもきこえない。どんな家庭で育とうが、子どもは宝なんだろ。あの子どもたちが、この国の未来を背負うのは確かなのだ。あの子たちのためにもっと金をつかってやってくれ。頼むよ。(P10)

「子どもは大事だし、愛してるよ。でも、自分の全部をささげても、それであたりまえだといわれるだけなんだよ。夜も寝ないで働いて、昼は育児で、ちょっと遊ぼうとすると、母親失格といわれる」(P56)

子どもたちが日本の未来だというなら、おれたちにはきっと打つべき手があるはずだとおれは思う。(P61)

「悩んだもんだよ。マコトが中学高校と荒れて、警察に呼ばれるたびに赤ん坊のときのあたしとのスキンシップが足りないせいでこんなふうになったのかなあって。親ってのは、損な役だよ。子どもがなにをしでかしても、自分のせいだと思っちまうんだよねえ」(P63)

「世のなかには、いろいろな趣味がある。ベッドのうえくらい人間は自由でいいと思います」(P181)

子どもの育てかたほど、困難で未来が予測しがたいものもない。(P183)

うらまない。人と自分をくらべない。どんなにちいさくてもいい。自分の幸福の形を探そう。キレない。怒りを人にむけてはいけない。今のぼくの生活は、すべてぼくに責任がある。(P224)

自分が苦しいときに伸ばされた助けの手を、別のもっと苦しい人間にまわしてやれる。それが勝ち負けを超えた人間の尊厳というやつだ。やせっぽっちで、ひと晩千円のネットカフェに泊まるこのガキが、おれのランキングでは最高に立派な人間のひとりなのだった。(P239)

(2021/5/31)

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