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読了!平山瑞穂「あの日の僕らにさよなら」

《粗筋》
桜川衛と都築祥子。共に17歳。互いに好意を抱きつつも、一歩踏み出せずにいた。ある夜、家族不在の桜川家を訪ねた祥子は偶然、衛の日記を目にする。綴られる愛情の重さにたじろいだ祥子。何も告げず逃げ帰り、その後一方的に衛を避け続け二人の関係は自然消滅に……。あれから11年。再会を果たした二人が出した答えとは─。交錯する運命を描く恋愛小説。『冥王星パーティ』改題。


《感想》
再読。
急に何を言い出す。って感じだけど"再読"って良いよね。過去に自分が良いなって思った本ならほぼ確実に間違いないわけだし。

ところどころパンチラインは散りばめられていたけど、意外と退屈な内容でアレ?前読んだ時はめっちゃ良かった印象あったのに…と読みながら不安だった。

でも最後15ページ分くらいの爽快感で納得した。これをまた味わいたかったんだ。道を踏み外してきた二人が前を向いて正しい方向へ進もうとする展開は最高にあがった。

めちゃくちゃ元気をもらえる。
過去を受け止めて、一歩前に踏み出そうって思わさせてくれる。


《引用》
「知識なんてものは…後からどうにでもなる。大事なのは知識じゃない。進もうとする意志だよ。自分がどこかに向かってるっていう感覚。立ち止まってるだけじゃなくて、ここではないどこかに行こうとしてるっていうその感覚が常にあるかどうかが大事なんだよ」(P155)

意識して「自己改造」を始めた。異性を惹きつける能力はその過程で副産物的に身につけた物だった。(P246)

自分がつけてきた足跡を消すことなんかできない。そのときどきに自分が取った選択全てが重なり合って、今の場所に自分を立たせてるんだ。だから…そこから改めて足を踏み出すよりほかにないのだ。(P377)

誰だって自分を堕落させようと思って堕落するわけじゃない。そのとき、そのときはいつだって、自分をもっと良くしよう、こうすればもっと良くなるはずだと信じて歩を進めできたはずだ。(P377)

(2021/4/2)

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