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私は、原田マハに言葉の魔法をかけられた

「言葉」とは、なんのために存在するのか。原田マハ著『本日は、お日柄もよく』(徳間書店、2010年)を読んでハッとした。

昨今、言葉に対する人々の意識は軽くなってきている。
SNSやメッセージアプリでは、思いついた言葉やスタンプがポンポンと投げられている。そこに求められているのはテンポの良さだ。
しかし、そのボールは相手に受け止められ、響いているのだろうか。

本作は主人公の二ノ宮こと葉が、かつて片思いをしていた幼馴染の結婚式で、恐ろしくつまらないスピーチと、心を鷲掴みにされたスピーチという、両極端な言葉に出会うところから始まる。
こと葉が感動したスピーチの主、久遠久美、そして彼女の職業である「スピーチライター」との出会いは、普通の幸せを望みつつぼんやり過ごすこと葉の人生を徐々に変えていく。

高速で流れる文字の表面を流し読みする現代人には、小説を時間をかけて読むことさえもじれったい世の中かもしれない。
だが、そんな生活を続けて私たちは幸せなのか。

この本は言葉が人と人をつなぐ最強のツールであることを教えてくれる。

この本を読んだ日から、あなたは言葉の魔法にとりつかれるだろう。

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