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偽物の天才の悪あがきでも、きっとその「熱」は届くから ー私が花海咲季担当になった理由ー【学園アイドルマスター】

注意:
この記事は「学園アイドルマスター」特に花海咲季、花海佑芽、葛城リーリヤについてのネタバレを含みます


プロデューサーやってます

 始めて以来ずっと学園アイドルマスターにハマっています。スマホゲームでここまで安定して遊び続けている作品は久しぶりです。

 インディーゲームの一大勢力であるデッキ構築型ローグライクを取り入れたゲームシステムの中毒性や、シンプル過ぎず重すぎないちょうどいい感じの対戦要素、それぞれにかなり癖がありつつも成長物語の熱さとアイドルもののかわいさを兼ね備えたストーリーが楽しく、毎日空き時間や寝る前を使ってデイリーミッションは必ずクリアする程度には続けています。楽曲やライブシーンも非常によくて楽しみです。

 さて、学園アイドルマスターには現在プロデュースできるアイドルが10人います。調べればすぐに見ることができるでしょう。
 この記事を読まれている方には私のことを知っている人も知らない人もいるでしょうが、私のことを知っている方なら、きっと「これは日向日影は葛城リーリヤ推しだな!?」と思われるだろうと思います。

 ショートヘアー好きを公言していますし、素直に見た目はかなり好きです。あーでも見た目なら麻央さんなんですけどね…。

 それ以上に、私がアイマスの765ASで担当している萩原雪歩に姿、担当カラー、弱気で決して才能に恵まれているわけじゃないけど勇気を振り絞ってアイドルの道を踏み出すというベースのストーリーが重なります。意識もしているのでしょうし、実際にリーリヤにはとても惹かれます。強いて言うなら「雪歩Pのみなさんはこちらでーす!」ときれいに導線が引かれているように見えてしまうところに天邪鬼な私は少し引っかかったりもしますが。

ただこのセリフは痺れますよね


 でも、私が一番惹きつけられたのは、この学園アイドルマスターというブランドにおいてセンターである赤色を担当する花海咲季でした。正直アイドルでもなんでも、センターや主人公ポジが推しになることはほとんど初めてではないか?というぐらい記憶にありません

今回どうしても私が彼女に感じる魅力を描き、伝えたくてこの記事を書きました。

なぜ花海咲季に惹かれるのか


まずは

彼女のシンボリックな曲である「Fighting My Way」を聴いてください!

 とんでもなくかっこいいですよね……!
 ある種の正統派であることが求められるセンターの曲にこの攻撃的な曲を当てたことに衝撃を受けました。アイドルの歌らしからぬ、と思う人も多いでしょう。

でも、この一見つよつよな曲は彼女を知るとイメージが変わるんです。ただでさえ最高なのに、もっと強烈な意味を持ってくるのです…。

 なのでまずはこの曲を聴いてからこの先の語りを読んでいただければと思います。単純に強いだけじゃない、だからこそ本当に強く気高い、この曲の、そして彼女の重層的な魅力が伝わるんじゃないかと思います……!


推したい点①運命に抗う泥臭い姿

 私の担当アイドルである花海咲季は学マスの舞台である初星学園の1年生です。彼女は非常に優秀な存在です。入学試験は主席で合格、アイドル経験はないものの元アスリートであることもあり運動能力が高く、また飲み込みも早く、負けず嫌いで努力を惜しまず、どんどん成長していきます。

 こう見るといきなり最強系の主人公に見えるかもしれません。実際に彼女はアイドルを始めたばかりなのに非常に強い存在です。


しかし、これは彼女の表面的な姿でしかありません

花海咲季は二つの悩みを抱え、苦しんでいます。

 一つは、何をしても超早熟型であること
 アスリート時代、最初はいいもののすぐに伸び悩み、最終的にはそこそこの選手として止まってしまうことを繰り返していました。

 そして、もう一つの悩みが姉を追ってくる妹の花海佑芽に追い抜かれてしまうという不安と恐怖です。 

超早熟型で、妹に追い抜かれることを恐れている。

彼女は「最初から強い」のではなく「最初だけ強い」のです。

 最初は一見天才のようになんでもすぐこなしますが、「真の天才」である妹に追いかけられる。
 花海咲季は、まで主役である花海佑芽を引き上げるためにいるかのような存在です。一般的な青春ものや成長物語のライバルキャラにありそうな。
 実際開発途中まで学マスの主人公は佑芽で、咲季はライバルキャラとして作られていたそうです。今までのアイドルマスターならそちらの方が非常に納得いきます。でも、学マスにおいては絶対こっちの方がよかったです。二人を入れ替える決断をした小美野プロデューサーは銅像を建てられたうえで肖像画がしかるべき場所に額装されるべきだと思います。

 この二人は姉妹なんです。センターとして準備していたのは、元気で明るい王道アイドル。対してライバルは、物語の最後に立ちはだかる敵に相応しい、とてもかっこいいアイドルでした。
 そんな二人のアイドルを見た小美野さんから、「この二人の立ち位置を入れ換えましょう」と提案をいただいたんです。打ち合わせをした結果、とても面白くなりそうでしたので、キャラクターの設定を調整し、ライバルをセンターに、元のセンターをライバルにすることが決まりました。

 改めて考えると、花海咲季という存在はアイドルマスターシリーズ、ひいてはスポ根やバトルもの作品の構造に対してのメタな要素があるのでしょう。

普通なら、花海咲季は負けることが運命づけた存在かもしれません。

 主人公の成長を促す壁となり、最後には乗り越えられ、美しい敗者としての姿が最大の見せ場となる、そんな運命を背負わされたキャラクター。そんな存在をアイマスシリーズを含むあまねく作品で誰もが見て来たでしょう。私ももちろん見てきました。

しかし、「学園アイドルマスター」は、その先を描きました。

 ストーリーの中で、花海咲季は一度佑芽に明確に追い抜かれます
「運命」通りに乗り越えられるのです。

 その彼女が乗り越えられたところから、その「運命」にもう一度抗ってなんとか勝利を掴もうとするのが、現状の花海咲季のストーリーのクライマックスとなります。
 決して天才や最強キャラが華麗に勝つとかではありません。花海咲季は泥にまみれながらでもなんとかその手を伸ばし、食らいついていきます。「アイドル」という夢だけは捨てられないとばかりに。
その「運命」に逆らう姿が、作劇の構造やメタ要素の展開が大好きで、そして勇気を振り絞る展開が好きな私に全力で刺さりました
 話は変わりますが、現代においていわゆるスポ根や熱血ものをやるにはあるあるな構造に対する「捻り」が必要なんじゃないかなと考えたりもします。 

  そんな彼女が「伸び悩み、追い越される」という運命に抗うことを改めて決心した言葉がこれです。

こんなの好きになるでしょ……! 


推したい点②私自身にも当てはまる、「逃げ」からの向き合い

 花海咲季は、妹に追いつかれそうになるたびに別の競技に「逃げる」ということをしてきました。

 この姿が、見る度に指数関数的にぐさぐさ刺さるようになっています。

 ここから少しだけ自分語りをさせてください。
お前の自分語りなどいらないって人は飛ばしてください。

ー自分語りここからー

 私はもともと小説を書いていました
 Vtuberになってからも続けていましたが去年の4月に当面引退することを発表しました。

 他の創作活動にも関わってはいるのですが、どんどんクリエイター的な面はなくなっていき、配信者・ライターとしての姿が強くなっています。
 それ自体はいいことだと思います。

 でも、やっぱり、創作から逃げたんですよね。

 特にここ何年は、様々なジャンルのクリエイター・作家の方と関わりを持ち、いかに私が創作活動に必要な「何か」を持っていないかを実感することがありました

 もちろん私も当時は全力で小説、創作に向き合っていたつもりです。

 でも、創作の世界で作品の質も結果も開花させていく、そんな方々は明らかに私にはないものを持っていました。

 一言で言うなら、花を開かせるのに必要な「熱」です。

 この「熱」は自分からは出なかったし、この熱が出るかどうかがきっと決定的なのだろうと思わされました。それは才能と呼んでもいいのかもしれません。きっとこの「熱」に耐えられなくなって、私は創作の世界から距離を置いたのでしょう。

 もちろん今Vtuberになったことに後悔などありません。素晴らしい時間を過ごさせてもらっています。
 書く文章がノンフィクション寄りになったのもよかったです。

 Vtuber活動をしている時、文章を書いている時、「もしかしたらこれが『熱』なの?」と思う瞬間はあります。
きっと、今やっていることの方に私の適性はあったのでしょう。

 でも、あの時、創作から逃げた自分というのは、どこかでまだ自分を締め付けていないかと言ったら嘘になります。


ー自分語りここまでー

 花海咲季も、きっとこの「熱」がここまでは出なかったんじゃないか?と勝手に想像しています。花海佑芽が発する巨大な「熱」にあてられていたのではないかと。

 だからこそ、逃げた先であったはずのアイドルにまたやってきた妹に、「今度こそ逃げない」と前を向き直し、怖がりながらも向き合い、あくまで先を行く姉として迎え撃つ姿が本当に尊いのです。そして、アイドルというのはその尊さこそが価値に、「熱」になるものだと思っています。だから「頑張れ…一緒に頑張ろう……、君が勝つ姿が見たい……!!」となるのです。


 そして、最後の大勝負に挑む直前の言葉がこれです…。
 この言葉は花海咲季の紹介PVでも締めの言葉に使われていて、これを聴いた瞬間に鳥肌が立った記憶があります。

 
今思うと、私自身にも刺さる言葉だったのですね。
私も、ここで悪あがきを続けなきゃな。花海咲季はそう思わせてくれる存在です。


推したい点③それでも妹への愛を惜しまない、姉として・アスリートとしての姿

 ここまでで、私に彼女が刺さったことは十分伝わったと思います。でも、私が一番射抜かれたのはさらに別の要素です。それは、

「誰よりも追い抜かれるのが怖い花海佑芽の成長をサポートすることに一切のためらいがない」

ことなんです。

 ストーリーの中で咲季は自らが学んだトレーニング、勉強、栄養学など成長するための全てを惜しげもなく全て佑芽に注ぎ込み、彼女の成長を全力でサポートします。これすごいと思うんですよ!咲季もすごいし、これを書くシナリオライターさんも本当にすごいです。
 仮に私がこのような関係性を書くとしたらサポートを一度やめたり、ためらったりとか、そこに葛藤を描かせてしまうと思うんですよね。
 でも、そこに一切の葛藤がないというのは本当に爽やかで好感を抱きます。そしてだからこそ佑芽を恐れる姿がより映えるという意味でも「絶対こっちの方が現代的でいい!!」と読んだ際に思いました。「あんなに妹の前で強く厳しく優しい姉なのに、でもこんなに恐れているんだ…。まじで頑張ってるよ…!」と推す気持ちがさらに強くなります。

これですよ!?

 このあたり、元アスリートという咲季の設定も影響があるのでしょう。非常にスポーツマンシップ的ですものね。特にプロ野球選手が顕著だと思いますが「対戦時はバチバチのライバルだけれど、普段は仲良く助け合い、技術や情報も惜しげもなく交換して互いに向上し合う」という、試合では敵だとしても同じスポーツをする仲間であり友なんだという関係性がここ10年~20年ぐらいで非常によく見られるようになりました。また、ファンもそれをよしとする風潮が広まったのを感じます。ダルビッシュ有選手が翌日の対戦相手にいる仲のいい選手と普通に食事に行っていたのが有名かと思います。私もそのような姿を見て「こういう感じいいなぁ」と思うようになりましたので、そのスポーツ界の風潮を取り入れたのかな?なんて勝手に思っています。

 あと、なぜそこまで佑芽に負けたくないのかがまた最高なのでぜひ皆さんで学マスを遊んでほしいです…!

あと七夕の願い事がこれなのほんと好き。

これを踏まえて…


もう一度「Fighting My Way」を聴いてほしいんです!

先ほどとは聴こえ方が変わってきませんか?

 最強にかっこいいのはそのままに、その上で「最強だと言い張る・意地を張る・恐怖を振り切って前を向く」感じを覚えませんでしょうか?
 曲調・声・歌詞、その強さとかっこよさ全てが、もしかしたら精いっぱいの虚勢であって、そして虚勢だからこそこんなにかっこいいんじゃないかと思わされます。

すくむ足
震える手
目を背けたい
負けたらどうしよう
逃げたい

 その全てを振り切って、前を向いて、敗北の地・死地かもしれないステージに立つ
 もし今日勝てたとしても、この先最大のライバルである最愛の妹に追い抜かされるかもという恐怖と不安にずっと立ち向かい続けなければならない。
 それでも前を向く。

 その強さと気高さ、そしてまるで何かにしがみつくようないじましさを曲を聴く度に感じるようになりました。きっとプロデューサーとしての自分はそのしがみつかんとする手を掴むような存在であるべきなのでしょう。
 「Fighting My Way」、第一印象から好きでしたがストーリーを追ってからは聴く度にアガるだけではなく、同時に胸の奥が少し苦しくなる、私自身を奮い立たせてくれる曲になっています。
 また、本人の物語という文脈込みでより曲のエモーションが高まるのは、それこそでんぱ組に代表される私が大好きなタイプのアイドルソングなんだよな…、ということにもこの記事を書きながら気づきました。アイドルらしからぬ曲のようで、実は本当にアイドルソングらしいアイドルソングなのだな、と。

 学マス、花海咲季以外にも語り甲斐のある一癖も二癖もありつつ、その癖ゆえに王道を歩めるといった感じのアイドルがそろっていますし、ゲームとしても本当に面白いのでぜひみなさん遊んでみて欲しいです。

それはそれとして

真城優もプロデュースしたい………。

おまけ

 アイマスについて書いた記事や今回の自分語りに関わるような記事貼っておきますのでよければ…!


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