渋谷の麒麟

渋谷の麒麟

最近の記事

職務質問

大学1年生の時の出来事である。 部活帰りでお腹が空いていた僕は、家路に向かう途中にコンビニによった。 肉まんを片手にコンビニを出たその時、警察官2人組から声をかけられた。 「かばんの中を見せてもらってもいい?」 どうやらこの近くで、大学生の違法薬物所持の問題があり、その取り調べだという。 もちろんそんなものとは一切縁がないが、ひとつ問題があった。 僕は、思いっきりTENGAを所持していたのだ。 スタンダードな赤いタイプのものと、少し小さいエッグタイプが2つ。 授業の

    • 4月金曜の渋谷の昼

      この時期の昼間の渋谷は、スーツ姿の若い男女がおおい。 新入社員は4.5月あたりは、研修で会社に行くことが多く、基本みんなスーツだ。 たぶんスーツって決まりは無いのかもしれないが、初めのうちだから一応スーツ。 みんながそうだから、っと大衆総意を尊重するが故のスーツ。 6月に配属が決まったりするため、同期みんなそろうタイミングが今なのだ。 若い男女4人は店を探してる。 「どっか入れるとこないかな〜」 「あっちの方とか、いいのあるんじゃない?」 言っておくが、13時過ぎに4人

      • タイムカプセル

        10年ぶりに、中学のグループLINEが動いた。 「10年前に書いた自分への手紙が届いてない人は僕に連絡ください!」 なんのことだ? それは埃をかぶったというレベルではなく、僕の脳内から完全に忘れ去られた記憶だった。 どうやら、中学3年生の卒業期に、10年後の自分にむけて手紙書いていたらしく、それが手元に届いているかの確認が、当時の学級委員長から来ていたのだ。 振り返ればこの10年、本当にいろんなことがあった。 高校、大学を卒業し、社会人となり、国内様々な場所に転勤し

        • 好きな食べ物

          好きな食べ物:エビフライ この一文を、生まれてきてから何回書いただろうか。 しかし、これはあくまで”おもてむき”の答えであって、周りからの反応を気にせず、本当に好きな食べ物は何かと聞かれたら、僕は「てりやきマックバーガー」と答える。 忘れもしない「てりやき」との出会いは、僕が6歳の時だ。 月に一回あるかないか程度の頻度で、父親と2人で出かけることがあった。 トイザらスにいってトミカを買ってもらい、帰りは必ず、母親に内緒でマクドナルドに寄る。その一連の流れが僕は堪らなく好き

          サウナ童貞卒業の日

          友達の家でなんとなく集まっていた帰りの出来事。その中の1人が僕にこんなことを提案してきた。 「サウナいかね?」 サウナといえば、小学校の時通っていたスイミングスクールで、レッスンが終わった後に身体を冷やさない為に入っていたものという印象しかない。当時の僕にとっては非常に暑苦しく煩わしいものであり、実際に5秒くらいで誤魔化してすぐでていた。 変なプライドから、サウナの気持ちよさがよく分からないと言えないまま、僕は赤坂の「サウナリゾート オリエンタル」に向かうこととなった。

          サウナ童貞卒業の日

          悔やみきれぬ一生の抜かり

          何も予定がない土曜日。 元々ショートスリーパーな僕は、休みの日でも平日の名残で、8時頃には既に動き出している。 ごみを出し、洗濯物を回し、軽く部屋を掃除する。 無性にカフェインが欲しくなり、近くのコンビニへ。 それにしてもまだ10時だっていうのに、これでもかとばかりに太陽が照り付けている。 「ほんと元気だねぇ」 そんなことをアブラゼミに言いながら、Lサイズのアイスコーヒーを一口。 味の違いなど一切わからないけど、何故かファミリーマートのやつが1番好きだ。 少し歩

          悔やみきれぬ一生の抜かり

          ひっくり返した砂時計

          貯金している人がえらい 結婚はするべきだ タバコは吸わない方がいい これらはあくまで一例でしかないが、この世には漠然とした模範解答みたいなものが存在する。 しかしなにをもってそれが正解なのか? 判断するそもそもの基準に、時に疑問を感じることがある。 貯金してない人は、その分のお金を何かしらに費やしているし。 パートナーがいない人は、その分一人で、あるいは誰かと時間を過ごしている。 タバコを吸う人は、喫煙者にしかわからない感情や空気感を知っているのだ。 何を人生の

          ひっくり返した砂時計

          必殺技

          必殺技。 それはその名の通り、ここぞという場面で勝負を決める究極の大技。 ナルトなら螺旋丸 ウルトラマンならスペシウム光線 孫悟空ならかめはめ波 かく言う私も、必殺技をもっている。 その名は「逃げニー」である。 日々の厳しい鍛錬により生み出されしこの究極奥義は、人並み外れた強靭な精神力を必要とするが、誰にでも習得可能な為その全てをここに残す。 まず初めに、「逃げニー」は無性に風俗に行きたくなった際に発動する必殺技である。 ふと携帯を見ている時に出てくるHな広

          リーグ戦について

          リーグ戦はすごい。 僕は生まれてこの方、メジャースポーツをしたことがない。 サッカーや野球など、地上波で皆が追っかけてるスポーツに本気で取り組んだことがなかったのだ。 それでももちろんスポーツ観戦は好きだ。 Jリーグも、プロ野球も、ある程度好きなチームがあって、どこが勝っているか程度はニュースで追いかけていた。だがリーグ戦をフルで視聴するほどの熱意はなかった。 そんな僕が、麻雀のプロリーグ、「Mリーグ」を観るようになった。 月、火、木、金。仕事を早く終えて、リアルタイムで観

          リーグ戦について

          心理テスト

          あなたはある森の中を歩いています。 聴こえてくる小鳥のさえずり。 踏み締める地の感覚。 葉の間から差し込む光。 自然の中をあなたは闊歩しています。 枝のない歩きやすいところを歩いていると、 少し開けた場所が見えました。 そこに足を進めると、木の近くに何やら人影が見えます。 近づいてみると、木に背中をつけて項垂れている酔い潰れたサラリーマンがいました。 異様な光景にあっけにとられながら、あなたはサラリーマンに問いかけます。 あなた「おじさん、、なにしてるの? 、、」 サラリ

          あなたは自分のことが好きですか?

          プルルルッ ガチャッ 「お電話ありがとうございます、アリスマリオン目黒店です。」 「今から30分後からって行けますか?フリーで、」 「はい、大丈夫ですよお名前教えてください。」 「あ、ジュンです。」 「ジュンさんですね、30分後の16時にお待ちしております。」 私の家からamまではドアtoドアでちょうど30分 恵比寿の乗り換えで山手線 3号車がちょうど目黒の改札前の階段だ 「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」 「ありがとうございました、またのご来店をおまして

          あなたは自分のことが好きですか?

          煙草についての話

          好きなものを聞かれたとき、様々なものが思い浮かぶ 漫画、麻雀、サバイバル形式のアイドルオーディション番組、タルタルソース、デパ地下、はじめてのおつかい、大きめのヨドバシカメラ等 なかでも「煙草」は絶対にはずせないものの一つだ。 時代に逆行しているといわれても関係ない。価格が少し上がっても我慢する。周りからくさいといわれてもいい。 煙草を吸ってる人はカッコいいと思っているし、これからもやめるつもりはなかった。 この4月に異動となり、大阪から東京に配属となった。 煙草を

          煙草についての話

          DREAMS COME TRUE

          「やりたいことの為の資金がたまったら、この仕事やめようとおもってるんだよね」 缶の烏龍茶をテーブルにそっと置き、その人は言った。 いまの仕事でも十分成功している彼女をみて、少し勿体無いなと思いもしたが、そんなこと口にするのはあまりにも野暮だと思い、そんな気持ちをおさえこむように僕は、少しだけ冷えたお茶を飲んだ。 平日働いて、土日は遊んでの繰り返しであっという間に新年を迎えた。 Twitterをみていたら、彼女が呟いていた。 「今月いっぱいで引退します!最後に絶対会い

          DREAMS COME TRUE

          絶対にそうだよ

          一人でお酒を飲んでいた帰りのこと。 家に着き、ベットにボスンっと飛び込んだその時俺の携帯が震えた。 「めっちゃいい風俗あるからいかね?」 友人からの一通のLINE。ボーナスが入っているのもあり決断するのにそう時間はかからなかった。 店舗に電話で予約を取り、待ち合わせ場所で嬢と合流、そのままホテルでプレイを行うホテヘルスタイルだ。 ドライバーさんから電話があり、指定されたコンビニまで移動。風俗の醍醐味ともいえるご対面だ。 綺麗な人だな。 率直にそう思った。 しかし

          絶対にそうだよ

          フェチについて

          共通の話題で盛り上がれる人がいいなぁ〜 いつも通りのテンプレートの流れで、趣味の話になった。この流れになった時の僕は滅法弱い。 自分の好きなものを頭に思い浮かべる。 漫画、麻雀、お風呂、アイドル 男3人兄弟だったというのは要因として大いにあるかもしれない。しかしあまりにもおわっている。 スポーツも好きだが、ながら見で良い。 料理も好きだけど、面倒くさい。 服も好きだけど、そこまで拘りはない。 ゲームも好きだけど、すぐ飽きる。 何に惹かれる人間なのか真剣に考え

          フェチについて

          蜘蛛の糸

          仕事で嫌な事があった。 得意先にめちゃくちゃ怒られて、自分の情けなさ、惨めさに腹がたった。 そんな時でもまた次の仕事が降ってくる。最悪の水曜日だ。 「だめだ。やってられない。」 まぁまぁの量の仕事を残し、事務所を後にした。 一階までが無限にも感じるエレベーターをでてすぐイヤホンをつけた。 大好きなアイドルの曲が妙に薄っぺらく感じる。 すれ違う人の人生が気になったり、妙に肌寒い夜風にすら腹を立てていた。 なんとなく早歩きで駅のホームに向かう最中、ひとりのおばさん