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オーストリア、ウィーンに関する歴史、文化、旅行記事を執筆する、ウィーン在住フォトライタ…

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オーストリア、ウィーンに関する歴史、文化、旅行記事を執筆する、ウィーン在住フォトライター。ここでは主に、掲載期間の終わった過去記事を復刻しています。ペンネーム:ひょろ、御影実

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    阪急交通社で連載していた記事を復刻します。

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ウィーンの宮殿内にある、ヨーロッパ最古のオークションハウス「ドロテウム」

音楽の町ウィーンは、美術品好き、骨董好きな人にもとても魅力的な街です。ウィーンのオークションハウス「ドロテウム (Dorotheum)」は、世界的に見ても最古かつ最大のオークションハウスの一つとして数えられ、ドイツ語圏最大、中欧では最も規模の大きなものです。 今回は、意外に誰にでも開かれていて、豪華でノーブルな雰囲気を味わえる、ドロテウムの内部をご紹介します。 この「ドロテア宮殿」そのものがオークションハウス「ドロテウム」です。 女帝マリアテレジアの叔父ヨーゼフ1世の時

    • ウィーンの街歩きのお供に、美味しいアイスはいかが?お勧めアイス屋さんと注文方法

      オーストリアは、実はアイスクリームがとっても美味しいことでも有名です。夏の日差しが暑いウィーンでは、この時期多くのアイス屋さんが軒を並べ、お客さんがテラスやベンチでアイスを食べています。 ウィーンで食べられているのは、国境を接するイタリアから持ち込まれたジェラートで、本場イタリア人が働いている店も多くあります。それなのにオーストリア人は、もうアイスは国民食と言わんばかりに、アイスが大好き。ランチ帰りのビジネスマンから親子連れまで、欲しいと思ったらすぐにアイスを買って、その場

      • オーストリア最大の巡礼地、宝石のような町マリアツェル

        ウィーンから南に2時間ほどの距離に、マリアツェル(Mariazell)と言う小さな町があります。山間の静かな町なのですが、教会は町の規模に似合わないくらい大きく荘厳です。 それもそのはず、マリアツェルは、オーストリアだけでなく周辺国からも多くの人が訪れる、歴史ある巡礼の町なんです。街の中心で存在感を放つ教会はバジリカと呼ばれ、多くの巡礼者の目的地になっています。 マリアツェルの巡礼教会 中央の塔はゴシック様式の14世紀のもので、両側の塔は17世紀のバロック様式。荘厳さと

        • 春の到来!イースターの時期に食べる、オーストリアの焼き菓子

          冬時間が夏時間に切り替わり、春らしい陽気になってきたウィーンです。春と言えばイースター。クリスマスの次に重要な祝日です。 キリストの復活を祝うお祭りとされているイースターですが、本来はキリスト教の伝来の前から、春の到来を祝う土着のお祭りでした。日が長くなり、緑が芽吹き、花が咲き始めるこの季節、日本人がお花見を楽しむのと似たような感覚で、オーストリアではイースター前後の時期に、春を満喫します。 イースターのシンボルと言えば、卵とニワトリ、ウサギ、ネコヤナギの木などがあります

        ウィーンの宮殿内にある、ヨーロッパ最古のオークションハウス「ドロテウム」

        • ウィーンの街歩きのお供に、美味しいアイスはいかが?お勧めアイス屋さんと注文方法

        • オーストリア最大の巡礼地、宝石のような町マリアツェル

        • 春の到来!イースターの時期に食べる、オーストリアの焼き菓子

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          原始人?白雪姫?謝肉祭の風物詩、地域密着型のファッシング仮装パレード

          イースター前のカーニバル(謝肉祭)の時期は、ウィーンのドイツ語ではファッシングと呼ばれ、様々なお祭りや伝統があります。カーニバルと言えば、ベネチアの仮面や、リオのカーニバル、ケルンの仮装パレードなどを思い浮かべる方も多いかもしれません。 これらの伝統は根っこは全て同じで、基本的には羽目をはずしてお祭り騒ぎをするという共通点があります。キリスト教的に言うと、キリストの復活を祝うイースターの前に、磔を悼む断食期間があります。その断食間が始まる前に、飲めるだけ飲んで食べられるだけ

          原始人?白雪姫?謝肉祭の風物詩、地域密着型のファッシング仮装パレード

          凍りついた美しき「白き」ドナウ!寒波のウィーンの氷と雪景色

          近年珍しく寒波に見舞われたウィーン。3週間近く気温が氷点下を超えることのない日々で数年ぶりにドナウ河が凍り、スケートができるようになったというニュースが世界中で報道されました。 凍ったアルテドナウ 流れているはずのドナウ河がどうして凍るの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は、ウィーンにはいくつかの「ドナウ」があります。今回凍ったのは、その中でも人工的に川から切り離した三日月湖アルテドナウや、洪水対策のために川をせき止めたノイエドナウです。ドナウ本流のほうも寒波

          凍りついた美しき「白き」ドナウ!寒波のウィーンの氷と雪景色

          ここでもベートーベンとクリムトに会える!元宮殿内のウィーン演劇博物館

          ウィーン市内には50以上の美術館・博物館がありますが、その中から今日は、観光に便利な好立地にあるのに、なかなかマニアックな響きのする「演劇博物館」をご紹介します。 よほどの演劇好き、オペラ好きでなければ足を踏み入れない専門的な博物館のように見えますが、実は内部にはベートーベンが指揮棒を振ったコンサートホールと、クリムトの絵画があり、演劇ファン以外が素通りしてしまうにはもったいない建物です。 演劇博物館はオペラ座のホーフブルクの間に位置する貴族の元宮殿内にあります。17世紀

          ここでもベートーベンとクリムトに会える!元宮殿内のウィーン演劇博物館

          金ピカ御殿!オーストリアの英雄オイゲン公の冬の宮殿

          ウィーンの中心部シュテファン大聖堂から徒歩3分の便利な場所に、新しく豪華な宮殿が最近公開されました。2007年までオーストリア財務省のオフィスとして使われていたこの建物は、大規模な修復工事を経て、2013年から「冬の宮殿(ヴィンター・パレ)」として公開されています。 この見事なバロック建築は、夏場はベルヴェデーレ宮殿で過ごしていた17-18世紀のオーストリアの英雄オイゲン公が、冬の住居として作らせたものです。フランスのサヴォイ家の貴族の血を引き、レオポルト一世、ヨーゼフ一世

          金ピカ御殿!オーストリアの英雄オイゲン公の冬の宮殿

          皇帝も訪れた?!ウィーンの歴史あるアイススケート協会のスケートリンク

          ウィーンでは、1月になり、クリスマスマーケットの時期が終わると、市庁舎前の広場で仮設のスケートリンクが作られ、夢のように美しい景色の中でスケートを滑ることができます。市庁舎前のリンクは観光客が多かったり、入場料が高めだったりと言うことで、もっとガッツリ滑りたい地元民は、常設の「ウィーンスケート協会」に滑りに行く人も多いようです。 ウィーンスケート協会のスケートリンク。背景はお隣のコンツェルトハウス。 この「ウィーンスケート協会」のスケート場は、市民公園の裏手、ウィーンで二

          皇帝も訪れた?!ウィーンの歴史あるアイススケート協会のスケートリンク

          プレゼントやデコレーションに大活躍!オーストリアのクリスマスクッキー

          クリスマスと言えばクリスマスケーキ。ヨーロッパ事情に詳しい人なら、フランスのブッシュドノエル、イタリアのパネトーネ、ドイツのシュトーレンなどのご当地スイーツもステキですよね。 ところが、ウィーンではこれといった典型的なクリスマスケーキはありません。クリスマスの時期は、ケーキよりクッキーが主役。クリスマスクッキーは11月後半から街にあふれ、子供の工作イベントや、クリスマス前のミニプレゼントなど、いたるところで登場します。 クリスマスマーケットのクッキーを売る屋台 今日はそ

          プレゼントやデコレーションに大活躍!オーストリアのクリスマスクッキー

          ザルツブルク方面の列車の発着駅、ウィーン西駅の今むかし

          ウィーンからザルツブルクやザルツカンマーグート方面への旅にお勧めの、ウェストバーン鉄道が発着する主要駅、ウィーン西駅の歴史と今日の姿をご紹介します。 しかし第二次世界大戦で、その美しかった駅舎は破壊され、戦後新たに駅舎が建てられました。その後、2008年から2011年の間に大幅な改修工事が行われ、今の形になりました。 2013年には「オーストリアで最も美しい駅舎」を受賞するなど、改修後の駅舎の評判はよく、発着ホールが明るく近代的になっただけでなく、巨大なショッピングモール

          ザルツブルク方面の列車の発着駅、ウィーン西駅の今むかし

          レトロな雰囲気が地元民に人気!ウィーン大学キャンパス内のクリスマスマーケット

          毎年ウィーン市内で開かれる様々なクリスマスマーケットをご紹介してきましたが、今回は観光客にあまり知られてない、地元民に人気のマーケットをご紹介します。 ウィーン大学は学科ごとに複数の建物に分散していますが、その中でも最も大きく人文系の学部が入っているのが、アルテス・AKH(旧総合病院)と呼ばれるキャンパスです。その名の通り元総合病院だった敷地を大学として使用していて、敷地内にはあの映画『アマデウス』の冒頭でサリエリが収容されていた精神病院とされる建物もあります。 外から見

          レトロな雰囲気が地元民に人気!ウィーン大学キャンパス内のクリスマスマーケット

          オーストリアの湖水地方を一望する、ツヴェルファーホルン山頂ロープウェー

          夏の間はオーストリアの避暑地、アルプスの湖水地方のザルツカンマーグート地方の記事を中心にお届けしていますが、 今回ご紹介するのは、こんなかわいいロープウェーです。 ヴォルフガング湖沿いのサンクト・ギルゲンは、教会の尖塔が特徴的な小さな町です。モーツァルトの母の生誕の地で、姉のナンネールの嫁ぎ先の村として、モーツァルトゆかりの地でもあります。 サンクト・ギルゲンの教会の尖塔 このサンクト・ギルゲンを出発駅として、後ろにそびえるツヴェルファーホルン山(Zwölferhorn

          オーストリアの湖水地方を一望する、ツヴェルファーホルン山頂ロープウェー

          季節のオーストリア料理とドナウの景色を一石二鳥で楽しめる「ツァ・アルテン・カイザーミューレ」

          ウィーンで美味しいスペアリブを食べたくなったらここ!というレストランが、ドナウ沿いにあります。 地下鉄でウィーンの中心シュテファン広場から10分、駅からすぐの便利な立地ながら、目の前のドナウの景色も季節の味も楽しめる、一石二鳥なレストラン「ツァ・アルテン・カイザーミューレ」です。 ウィーンの人にとってドナウは4つあります。19世紀までドナウ河は氾濫を繰り返し、毎年流れが変わっていました。その流れを整備して三日月湖として本流から分断した部分が「アルテドナウ」(旧ドナウ)と呼

          季節のオーストリア料理とドナウの景色を一石二鳥で楽しめる「ツァ・アルテン・カイザーミューレ」

          ザルツカンマーグートの手作り陶器と湖の街グムンデン

          見所いっぱいのオーストリアの夏の避暑地、湖水とアルプスに抱かれたザルツカンマーグート。数々の魅力ある街や風景をご紹介してきましたが、今日登場するのは陶器の街グムンデン(Gmunden)。 トラウン湖畔に位置するこの町は、グムンデン焼きと呼ばれる陶器の名産地。グムンデン焼きは緑と白の柄が印象的なオーストリアを代表する陶器で、アウガルテンなどの高級陶磁器と異なり、家庭や一般的なレストランで使用され、伝統的な温かみが感じられる、手作りの味が特徴です。 優しい風合いのグムンデン焼

          ザルツカンマーグートの手作り陶器と湖の街グムンデン

          ウィーン・チェスキークルムロフの旅で立ち寄りたい、国境の小さな町を見下ろすヴァイトラ城

          ウィーンから、チェコの世界遺産の街チェスキー・クルムロフまでは、車で3時間。その歴史の魅力で近年観光客に人気のチェスキー・クルムロフは、ウィーンやザルツブルク旅行と合わせて滞在される方も多いでしょう。 今日はそんなウィーンとチェスキー・クルムロフの間にある、小さな国境の町ヴァイトラWeitraをご紹介します。この辺りのチェコとの国境近辺は、森林地方Waldviertelと呼ばれ、自然が美しく、無数の城があることで知られています。 その中でも、この小さな町ヴァイトラは、冷戦

          ウィーン・チェスキークルムロフの旅で立ち寄りたい、国境の小さな町を見下ろすヴァイトラ城