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原始人?白雪姫?謝肉祭の風物詩、地域密着型のファッシング仮装パレード

イースター前のカーニバル(謝肉祭)の時期は、ウィーンのドイツ語ではファッシングと呼ばれ、様々なお祭りや伝統があります。カーニバルと言えば、ベネチアの仮面や、リオのカーニバル、ケルンの仮装パレードなどを思い浮かべる方も多いかもしれません。

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これらの伝統は根っこは全て同じで、基本的には羽目をはずしてお祭り騒ぎをするという共通点があります。キリスト教的に言うと、キリストの復活を祝うイースターの前に、磔を悼む断食期間があります。その断食間が始まる前に、飲めるだけ飲んで食べられるだけ肉を食べておこうというお祭りなのです。

ただ実際は、このキリスト教的な解釈は後付けで、キリスト教の伝来より以前から、ケルト人やゲルマン人の間に伝わる、季節のお祭りという位置づけがあったと言われています。日本の節分と似ていて、冬が終わり、春が近づいてくることを祝う祭りで、地域によって篝火を炊いたり、仮装をしたり、夜通しダンスを踊ったりと、色々な特徴があります。

ウィーンでファッシングと言えば、まずは舞踏会。各地で100以上もの舞踏会が開かれ、ウィンナーワルツを踊り明かします。他にも、子供達は仮装を楽しみ、カフェでは仮面やパレードのデコレーションが目につく時期です。

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ウィーンの老舗カフェのショーウィンドウに並んだケーキにも、仮面のデコレーションが。

舞踏会については、過去に「オーストリア/ウィーンの舞踏会シーズン」や「オーストリア/「花の舞踏会」でウィーン市庁舎が豪華なダンスフロアに!」の記事でご紹介したこともあります。

前置きが長くなりましたが、今回は、ウィーン近郊で行われた、ファッシングの仮装行列をご紹介します。ウィーンではこの時期、舞踏会文化が花盛りですが、少し田舎に行くと、このような仮装行列が村祭の一環として開催されています。

基本的に村の住民が自家用車を飾り付けて仮装し、沿道のお客さんも知り合いや親戚同士なので、入り混じってとてもアットホームな雰囲気です。

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トラクターを消防車に仮装させて、さっそうと登場したおじいさん。

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男性が仮装した白雪姫と七人の小人を乗せたトラクター

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マンモスに乗った原始人。

パレードでは、子供達に山車の後部座席からはお菓子がばらまかれ、大人にはシュナップス(蒸留酒)が振る舞われます。

沿道のお客さんも、大人から子供まで気合を入れた扮装の人がたくさんいました。大人に人気なのは、魔女や魔法使い、中世の騎士などで、子供は長くつ下のピッピやスパイダーマン、妖精や海賊などが目立っていました。

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大人も子供も、パレードも沿道も入り混じって楽しむ、ファッシングの仮装パレードは、春を待つ冬の時期の風物詩です。ファッシングが終わると、次はイースターに向けての四旬節で、街は再び静まり返ります。ファッシングからイースターにかけての暦は、毎年異なりますので、ぜひこの季節にウィーンに来られた方は、この季節のお祭りのムードを肌で感じてみてくださいね。

(2017年2月執筆)

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