プレゼントやデコレーションに大活躍!オーストリアのクリスマスクッキー
クリスマスと言えばクリスマスケーキ。ヨーロッパ事情に詳しい人なら、フランスのブッシュドノエル、イタリアのパネトーネ、ドイツのシュトーレンなどのご当地スイーツもステキですよね。
ところが、ウィーンではこれといった典型的なクリスマスケーキはありません。クリスマスの時期は、ケーキよりクッキーが主役。クリスマスクッキーは11月後半から街にあふれ、子供の工作イベントや、クリスマス前のミニプレゼントなど、いたるところで登場します。
クリスマスマーケットのクッキーを売る屋台
今日はそんな、ウィーンのクリスマスクッキーをご紹介します。
まず、ウィーンでクリスマスクッキーと言えば「ヴァニリェキプフェル」。舌をかみそうな名前のクッキーですが、直訳すると、「三日月形のバニラクッキー」。アーモンドやヘーゼルナッツのパウダーが入ったバニラシュガー入りの素朴なバタークッキーで、粉砂糖が大量にまぶしてあるのが特徴です。
手作りのヴァニリェキプフェル
三日月形の特徴的な形は、トルコ包囲を撃退したことに由来するとも言われています。典型的なオーストリアの家庭の味ですので、レシピも家ごとに全く異なります。食感や使われているナッツも様々で、気に入ったレシピを見つけるのも一苦労。そんな個性の出る伝統的なクッキーです。
ドイツ語圏のクリスマスクッキーとしてメジャーなのは、レープクーヘンでしょう。ドイツのクリスマスマーケットなどでも見かける、スパイスの沢山入った黒いクッキーです。
このレープクーヘンの歴史は長く、中世ヨーロッパの修道院で作られていたという記録も残っています。レープクーヘンの「レープ」は生け贄や供え物と言った意味で、クリスマスの時期の神への供え物であったという説もあります。
このクッキーの特徴は、クローブやシナモンなどのスパイスが用いられ、ハチミツで味付けされるため、日持ちがすること。焼き上がりはとても堅いですが、2週間以上置くと次第に柔らかくなり、数ヶ月日持ちがします。早く柔らかくしたい場合は、リンゴと一緒に入れておくといいと言われています。
また、堅くて日持ちがすることから、アイシングでデコレーションしてクリスマスツリーに飾ったり、お菓子の家を作ったりするのにも用いられます。
レープクーヘンはクリスマスマーケットなどでよく見かけますが、オーストリアでヴァニリェキプフェルに続いてランキング第二位のクッキーは、「リンツァーアウゲン」というジャムクッキー。リンツァートルテのクッキー版と言ったところで、二つ重ねた真ん中からベリーやアプリコットのジャムが見えている形をしています。
スーパーにこの時期特設されるクッキーコーナーの詰め合わせ。右から二つ目のジャムを挟んだものが「リンツァーアウゲン」です。
この時期、ウィーンのカフェやパン屋さん、クリスマスマスマーケットの屋台などでは、沢山のクッキー詰め合わせが売られています。一皿買って、お気に入りを見つけてみてくださいね。
(2016年11月執筆)
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