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金ピカ御殿!オーストリアの英雄オイゲン公の冬の宮殿

ウィーンの中心部シュテファン大聖堂から徒歩3分の便利な場所に、新しく豪華な宮殿が最近公開されました。2007年までオーストリア財務省のオフィスとして使われていたこの建物は、大規模な修復工事を経て、2013年から「冬の宮殿(ヴィンター・パレ)」として公開されています。

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この見事なバロック建築は、夏場はベルヴェデーレ宮殿で過ごしていた17-18世紀のオーストリアの英雄オイゲン公が、冬の住居として作らせたものです。フランスのサヴォイ家の貴族の血を引き、レオポルト一世、ヨーゼフ一世、カール二世と三人のハプスブルク家当主に遣えた軍人のオイゲン公は、数々の戦争でオーストリアを勝利に導きました。

オスマントルコによる第二次ウィーン包囲を皮切りに、ハンガリーや東欧でトルコ軍やハンガリー軍を相手に、その後スペイン継承戦争ではイタリアやドイツでフランス軍を相手に、数々の有名な戦闘を指揮し、国民的英雄の名をほしいままにしました。世界史で登場するこの時期のヨーロッパの戦争のほとんどに関わっていて、オイゲン公の軍人としての才能がよくわかります。

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右の肖像画がオイゲン公。左はカール二世

ベルヴェデーレ宮殿の他に、スロバキアとの国境近くにシュロス・ホフという巨大な狩猟用離宮も所有していたオイゲン公が、街の真ん中の超好立地に建てた冬の宮殿。国民的英雄の豪華すぎるセレブ生活には目を見張ります。

これが、ハプスブルク家の宮殿ホーフブルクよりさらにウィーンの中心に近い事や、少し前まで財務省の公務員がこんなところで仕事をしていたことを考えると、ちょっと非現実な感じがしてきます。

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ウィーンの通りからふらっと入るとこの非現実な空間。

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ホーフブルク並みに豪華な階段

建築は、ヨハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エアラッハとその弟子ヨハン・ルカス・フォン・ヒルデブラント。師匠の方はシェーンブルン宮殿、カールス教会、ホーフブルク新宮を、弟子の方はベルヴェデーレ宮殿、ペーター教会、シュロス・ホフを手掛けたというと、この師弟の凄さにもびっくりです。

内部は大規模な修復がされたばかりと言うことで、場所も時間も忘れさせるゴージャスさです。

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こんな金ぴかな部屋がいくつも続きます。飾ってある彫刻等は、国内のバロック彫刻のオリジナル品で、この宮殿の元々の所蔵品ではありません。

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こんな見事な天井、ハプスブルク家の宮殿より豪華?!

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オイゲン公が勝利した各地での戦いを、兵士一人ひとりまで精密に再現した絵画が何枚も飾ってあります。当時の戦争の様子を細かく見るのも楽しいですよ。

オイゲン公と言う人物は、ハプスブルク家の皇帝ほど世界史で名前を知られているわけではありませんが、文字通りヨーロッパを駆け巡り、人生をオーストリアの勝利のためにささげた人です。ウィーンの主要な建築物を巡れば、女帝マリア・テレジアの次によく名前を聞く人物ですので、ぜひ彼の興味深い人生と、ゆかりの建造物をチェックしてみてくださいね。

※この宮殿は、現在公開を終了しています。

(2017年1月執筆)

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