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真面目にマリファナの話をしよう③ 日本での大麻の扱い

※本記事は怪しい薬物や違法な製品を推奨するものではなく、科学的根拠を基にマリファナの健康利用について考察するものです。

前回は、マリファナの医療的側面やリスクについてお話しました。

過去記事。

今日では、日本以外の先進国のほとんどが、マリファナを医療目的での使用を認めています。
また、嗜好品としての使用に関しても、軽犯罪ではあるが摘発や罰などがなく、実質非合法としている国や地域もあります。

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先進国(G10)の大麻の利用状況
産業用:マリファナの主成分THCが0.3%未満の品種に限定して栽培認可
嗜好用:非犯罪化とは、違法であっても少量の大麻所持は取締対象としない政策のこと

出典 BLOGOS

一方、日本では数ヶ月~数年に一度、芸能人が大麻を使用していたとして問題になっています。
日本でのマリファナの扱いは、どのようなものであり、どうして現在のような状況になっているのでしょうか。


●マリファナの日本での扱いは?

日本では、「麻」という植物が伝統的に栽培されてきました。
お神輿や綱引きで使うアレです。
麻は、宗教的にも、産業的にもそれなりの役割を担ってきました。

日本でマリファナが禁止されたのは1946年。
当時はGHQ主導のもと、日本は国家再建を図っているところでした。
日本では大麻を吸って「ハイ」になる習慣はほとんどありませんでしたが、アメリカで禁止された煽りを受けて、同じ扱いを強いられたという事情があります。

大麻取締法 第一条
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。
ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

現行法では、大麻草の葉や花、根の栽培および所持は禁止されている一方、
茎及び種子由来のCBD(カンナビノイド)であれば使用することができます。
ということは、「茎や種子からとれたTHCはOKで、葉や花からとれたCBDはダメ」という歪な実体になりかねません。
※THCはハイになる成分とある程度の依存性を含んでおり、CBDは含まない

さて、日本も当初は大麻についてそこまで厳しい世論があった訳ではないようです。
実際、日本国内の大麻所持による逮捕者は以下のような推移をしています。

1966年…176人
1970年…487人
1979年…1,000人
2018年…3,578人

日本人が大麻を毛嫌いする理由は、1980年代の「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーンによるものだと考えられます。
アメリカでは、マリファナ問題は人種問題をはらんでおり、選挙の争点に上がるほど、議論がされています。
しかし日本には大麻を使用していた土壌もなければ、禁止するにあたっての背景もない。
したがって「法律で禁止されているからダメなんだ」以上のことを考えている人が非常に少ないというのがこの問題の根深さだと筆者は考えます。


●世界のトレンドと日本の現状

2015年 日本臨床カンナビノイド学会が発足
2017年 WHOが「CBD」に医療的有効性があることを認める
2018年 先進国で初めて、カナダで嗜好品としての大麻が合法化
2019年 WHOが大麻関連物質を規制する国際条約のスケジュール変更を勧告

コロラド州では2014年の時点で大麻からの税収が7000万ドル(約86億円)。
アルコールからの税収4200万ドル(約51億円)を大きく上回り、米国で初めて「大麻からの税収がアルコールを超えた州」になりました。
医療用大麻は、アメリカで2018年までに1兆円産業になろうとしています。

このように、世界のトレンドはマリファナ合法化に向かって急速に舵を切っています。
一方、日本の政府はなかなかこの事実を認めようとしていないようです。

前回の記事で、マリファナの依存性はアルコールやタバコよりも低いというお話をしましたが、日本の厚生労働省はこれに反論しており、「大麻乱用者による告白」というページを作成しています。
政府の情報の真偽に関しては言及しませんが、出処がはっきりしている・統計的に分析されたものである論文に対して、匿名の体験談で十分な説得力が担保されるのでしょうか。

「大麻は「害がない」「依存性もない」といった誤った情報がインターネット上などで流されていますが、大麻は、実際にはあなたの脳を壊します。あなたの人生や周り人の人生を守るためにも、1回でも絶対に使用しないでください。」
世界保健機関(WHO)は大麻を精神毒性、依存症がある有害なものとして評価しており、国際条約上も大麻はヘロインと同様の最も厳しい規制がかけられています。
欧州の一部の国やカナダ、アメリカの一部の州では、医療用途(疼痛緩和等)での大麻の使用が認められていますが、アメリカの連邦法では、大麻を禁止薬物にしており、食品医薬品局(FDA)も医療用に用いる大麻を医薬品として認可していません。
また、WHOは、大麻の医療用途の可能性については、科学的な根拠に基づいた報告を行っていません。


●今後、日本はどのように大麻と付き合っていけばいいか

仮にこのままマリファナ合法化の動きが国際的に広がる場合、日本が大麻を合法化しないことで被るリスクはどのようなものがあるのでしょうか。

国内の問題
・医療用大麻で救われたかもしれない生命が少なからずある
・大麻による税収入分の機会損失
国際的な問題
・TPPによる貿易自由化で大麻を輸入せざるを得なくなった場合、現行の法律では対処しきれない
・海外でマリファナに関する研究が進むと、諸外国に特許を取られてしまい、国内での研究、普及がどんどん不利になる

大麻が有効かもしれない患者が日本にもいる以上、患者には救われる権利があり、法律がその権利を妨げることは許されません。
現行の法律では、製薬化に向けての臨床研究すら禁止されています。

つまり、何年もかけて法律を変えるか、あるいは国に申請をして特別な許可をもらって臨床実験をしていくしか方法はありません。
しかし、その間に救われる人の生命はどうなるのでしょうか。

「早く大麻で楽しみたいから解禁してほしい!」
という単純な話ではありません。

CBDに興味を持って調べていくうちに、本当に大麻を法律で制限すべきなのか、判断材料を用意できるだけの環境を整え、早急に議論を進めていく必要があると筆者は感じました。


●次回予告

次回は【CBDとは実際どのようなものなのか】について。


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