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ちょっと上級の物理学(たまに数学)

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基本事項の解説はありません。検索しても簡単に答えが出ない問題を考えた記録。
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指と指の隙間に見える干渉縞の謎―意外と難しいその発生原理―

指と指の隙間に見える干渉縞の謎―意外と難しいその発生原理―

指で簡単に干渉縞を見る方法光が波としての性質を持つ実例として、二重スリットを通した光が干渉縞を生成する現象は、高校の物理でも習う基本的な事項である。二重スリットの実験は、レーザーのようなコヒーレント光を用いれば簡単にできるのだが、太陽光や蛍光灯のような身近な光源を使う場合、干渉縞が見えるようにするには一工夫必要である(後述)。

ところが、そのような身近な光源でも、非常に簡単に干渉縞を見る方法があ

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「隠れた運動量」考―奥が深い古典電磁気学―

「隠れた運動量」考―奥が深い古典電磁気学―

はじめに互いに全く無関係な静電場と静磁場を組み合わせてできるポインティングベクトルは、電磁場のエネルギーの流れを表すか?という疑問は、古典電磁気学における神学論争的な問題である。電気回路の周囲に生じる静的な電場と磁場の場合、そのポインティングベクトルが、エネルギーの供給地である電源から消費地である抵抗に向かう電磁場のエネルギーの流れを確かに表していることについては、以下の記事で解説した通りである。

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