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  • 折々々のことば

    自分の小さな営みを営むために。鷲田さんが休養の間、ここで私なりに。もちろん、代わりではないし、バトンでもない。ただ、ここで。それのみです。そして、お帰りをお待ちしております。鷲田さん。

最近の記事

はじめに

この本で私は自分を学びほぐそうと思います。もちろん、そのプロセスがあなたの役にも立つならば、とてもありがたいと思います。ただし、そのすべてがいまのあなたに必要かどうかはわかりません。なぜなら、私とあなたは、これまで歩んできた道のりや、見てきた風景、抱いてきた感情、大切にしている価値観など、似ている部分はあっても、微妙に異なっているからです。 それゆえ、学びほぐす際に、私が参照する内容をひとつ残らず自分に当てはめて考える必要はありません。そうしたくなったときに、そう思ったとこ

    • 今日もここで、明日もここから

      こんにちは。今年も残すところあと僅か。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば、先週から数日間、久しぶりに熱に倒れていました。あのなんとも言えない感じ。そう、寝てても、起きてても、辛いやつ。そして、熱にうなされてるからか、空間がゆっくりとねじれていく…. . そして、熱が出た時は決まって、小学生ぐらいの時の、同じく熱にうなされたあの夜を思い出す。居てもたってもいられなくなって、闇に包まれた二段ベットから這い上がり、リビングの明るみに飛び出す。世界が崩れていく

      • we support, we're supported.

        想うところがあって、support と assist と help とaid について調べてみました。結論、私が抱いていたイメージは、少しズレていたなぁ、と。なので、私なりの学びとして、ここに書き留めてみます。 . こうしたとき、予備校時代の竹國先生がおっしゃっていた言葉を思い出します。それは、(たぶんチョーク!で)板書されていたあのイメージと共に。 原典にあたれ なので、改めて、いろいろ探索してみました。 . ジーニアス英和辞典:第5版(南出康世[編集主幹],大

        • 折々々のことば 6

          教えていい? おしえんでいい! 38歳と8歳  昔ながらの玩具。どこかでもらってきて、家じゅうでハマる。そしてそのコツを自分なりにみつけた父親が、5歳と8歳が愉しんでいる横から声をかける。そして、8歳がすかさず返す。そうだよな、って思う。私でもそう答える。だって、面白くなくなっちゃうんだもん。そんな世界が溢れている。そして、教えて欲しい、教えてあげる、も溢れている。いえから。 #2021・2・14

        はじめに

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        • 折々々のことば
          7本

        記事

          折々々のことば 5

          色々な可能性を考えながら準備を進めていくしかないんじゃないかな。 太田光  「もともとオリンピックって好きじゃないんですよ」という言葉から始まるも、今の世においては「五輪という目標を持つのはありだと思うんですよ」と。一方、様々な選択肢に対してはやく結論をだして欲しいという想いに共感しつつ、この状況でどうするべきか。相手に選択を迫り、自分で決められることがあるのを忘れてしまう。朝日新聞2月6日付朝刊から。 #2021・2・10

          折々々のことば 5

          折々々のことば 4

          今日は、あったかいね。 ●●●●(お名前は分かりません)  2月の最初の土曜日午後1時半頃、駅のホームにて。私は足早にそのお二人を追い抜きながら、片側の方がもうお一方に。朝の気温、昼の気温、夕の気温、夜の気温。自分は季節の移ろいを感じつつ、なんて悦に入るも、その移ろいは朝と夜だけであったりすることに気づく。知っている、という範囲や世界の狭さは、知っているというところからは気づきにくい。まちから。 #2021・2・10

          折々々のことば 4

          折々々のことば 3

          その異臭たるや、たとえようもない。 堀威夫  1945年5月29日の横浜市街の大空襲のあと、被害に合った三ツ沢の本家に握り飯を届けるため、一望の焼け野原を通る。焼け残った家の柱を井桁に組んで、亡骸を焼いている。私は、たまたまこの時代のこの国に生まれたゆえに、今のところそれを知らずに生きられている。そのありがたさを想い、だからこそ、を志に育てて。日本経済新聞「私の履歴書」2月5日付朝刊から。 #2021・2・10

          折々々のことば 3

          折々々のことば 2

          普通、夫婦は支えるって言葉があるでしょう。うちは応援し合う。 萩本欽一  昨年8月に亡くなった妻、澄子さんとの別れを振り返りながら。生前は病院へのお見舞いを断られたり、葬儀は萩本さん抜きを指示されていたり。結婚した理由も「好き」だからではなく、一方で、「ずっとファンだった」とも。ふと、かわいそうに、と思う器量の小さな自分を恥じつつ、そして、関係の在り方の豊かさや彩りを想う。「徹子の部屋」2月3日の放送から。 #2021・2・10

          折々々のことば 2

          折々々のことば 1

          人間存在は、歴史の行為主として、自らの生の生産者であり続けた。 ティム・インゴルド  正直なところ、この言葉の前後を理解している、筆者の主張を理解している、とは言い切れない。だから、要約めいたことができない。だから、この言葉だけをここでは拾う。それは、誰かの言葉と共に営む、においてはとても足りないな、とは想うものの、その足りないことを知れただけでも、先ずはよしかな、と。今、私は、私の生の生産者か。『人類学とは何か』から。 #2021・2・4

          折々々のことば 1

          折々々のことば

          鷲田さんが休養に入られた。大事に至らなければ、と勝手ながらの祈りをここで静かにふと想う。 毎朝、二紙が届く。その営みにときおり想いを馳せていた。時々、「明日の夕刊は休みます」とか「明日の朝刊はお休みします」という言葉が載っている。そっと「いつもありがとうございます。ちょっとだけになりますけど、休んで下さい。こちらは大丈夫です。」とそっと呟く。 もちろん、交替だろうし、「ある人」が365日近くやってることはないだろう。それが、組織や集団の技。一方、「ある人」の居場所にもなり

          折々々のことば

          がゆらぎまう 1/2063

          「薄暗いレコード屋で何時間も飽くことなく時間を過ごせる」人、それを人生の何よりも面白いと思える人たちによって音楽は支えられている。学問も同じ。 ー 若林恵 と 鷲田清一  だけどもう、大学での教育は壊れかけている。目標と成果と上手下手を数字で測り合い、押し付け合い、そのくせ互いにそっとその膜の向こうでは少し引いたまま。なぜならそれが楽(らく)だから。ただそれは、責められない。だって、生きていけるなら楽がいい、は、人の本能。私もまた。コラム『折々のことば 2063』から。

          がゆらぎまう 1/2063

          28秒ぐらいの小さな物語

          乗り込んだ車両には、まばらな人々。時間も遅く、花束を持ち帰る目の前の人は結婚式の帰りだろうか。だが、その様な服装は設えていないように見受ける。花屋さんかな。思考はそこで止まって終わる。 彼女は、端に座り、首から上をへりに預けている。その表情は気怠く、怒りさえもがその表層のすぐ下に忍んでいる様だ。視線は、空間には存在していない。そして、そのワンピースは、そこにあるにもかかわらず、どこか所在がない。包んでいる身体が、そこにないような気がするからだろう。 車両は、夜の雨の中を、

          28秒ぐらいの小さな物語

          葉桜

          葉桜と聞いたり、葉桜を見たり、して、私たちは何を想うか。少なくとも、私は何を想うか。シンプルには、もう葉桜なんだ(ちょっと残念)、かな。 . ランニングをしている道に、葉桜がある。 もう少し正確には、葉と花の枝と、花だけの枝と、つぼみだけの枝が、共にある、一本の桜の木がある。 なぜだか分からないが、この道の並びにある桜は、北側の地面に近い枝から、花がひらいていく。 なので、南側の高い枝の花がひらかんとするとき、北側の地面に近い枝には、花と葉、となる。 そうすると、