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詐欺師と過ごした夜 in ローマ

Ciao! 2019年12月 クリスマス前のはじめてのヨーロッパ旅
セルビアから日本への帰路、トランジット先のローマで翌日の出発まで1日の観光予定だった。

しかし、セルビアからの到着が飛行機トラブルにより5時間遅れ、ローマ市内のホステルに到着した頃にはすっかり暗くなっていた。
その理由はこちら☟

この時19:30。時間はない。
荷物を置くと、早々にローマの街に繰り出すべく、最寄りの地下鉄駅に行き目的地を決める。

地下鉄は世界一快適な乗り物
世界中どこへ行っても明朗会計で快適。旅人の味方。助かる。

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とりあえずコロッセオ
営業時間終了のコロッセオを早足でぐるっと外側から見て回った。
そこからトレビの泉まではざっくり2kmほど、歩きながらその周辺に点在するパルテノンとか、有名って言われてる遺跡をブラブラ見て回ろう

流石はローマ「街中が美術館」の言葉は本当です。そこら中に美しい街並みに世界遺産。
施設の中に入らなくても、街を歩くだけもアート欲を満たしてくれる。

コロッセオから歩いて数分、道脇にある名もなき(有名ではない)遺跡に足がとまる

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"よくわからんけど、なんかすげ~"
一人道路上から写真をパチリし、遺跡を見下ろしていると、、

"マンマミーーアーー!!"
とてつもなくベタなイタリア語が聞こえてきた。

左を向くと、30歳前後のイタリア人ぽい男性がいた。
"おっと、これは失敬。あまりに美しい景色だったもので、思わずつい"
彼は僕に釈明し、自己紹介を始めた。

彼の名前はパウロ
"自称"この近くの5つ星ホテルに勤めるホテルマン
ピカピカの靴に、パリッとしたコートを身にまとうイケメン
そして陽気でフレンドリーにガンガン話しかけてくる。
ヨーコという日本人と付き合ってるという(その割に日本語全くだけど)
※この時点で僕の警戒心ゼロ。今考えると"いかにも"な特徴がいくつかあったが


"Hydecy、この近くの高台から世界遺産フォロ・ロマーノ遺跡が綺麗に観えるところがある。ワインを飲みながら一緒に眺めよう!"
今晩だけの貴重なローマの時間、そして怪しげな提案を不安に感じつつも「この後の展開がどうなるのか?」という怖いもの見たさの興味が勝り、"自称"パウロの誘いに乗ってみることにした。

僕:「ワインはどうする?そこらへんのレストランでも行く気かい?」
パウロ:「ダメダメ、あんなところ高くてマズイ。俺はいい所を知ってる」
歩いてすぐの小さな商店に立ち寄る。

「ワイン代は出すよ。」僕はそう提案するが、彼はこれを拒む。
Suicaのようなカードを見せ、「これで買ったほうがお得だから」
また彼は僕に「店の前で待ってるように」と言い聞かせた。
これは怪しい
そう感じた僕は、約束を破り、店内で支払いをしてる最中のパオロの元に行った。自分なりのリスクヘッジだ。
「ダメだよって言ったじゃん!」おこのパウロ
なんかまずいとこ、見たのかな?やっぱり怪しい。

それから日本では早歩きの僕より数段に早足のパウロを追い、丘を登ると、そこには絶景が広がっていた。

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おお、確かにいい景色だねー!
僕は感動し、二人で紙コップに注いだワインで乾杯した。
ローマの夜景に浸る間もなく、たった10分ほどでワイン瓶を空けると

"他にも近くにいい所があるんだ!行こう!"
やれやれ、これはもうついていくしかない。展開が楽しみだ

次に到着した場所はCampidoglio
Google Mapで★4.7なので、これもきっといい場所です。
どういう場所なのかは、説明してもらったけど、すっかり忘れました。

"Hydecy, 写真とってあげるよ!"
パウロ彼は僕に提案する。
”じゃあ一緒に写真撮ろうよ、セルフィーしよ"
今度は僕が彼に逆提案してみる。しかし彼は
”いやー、俺って写真映りが悪いから写真映らないほうがいいってママから言われてるんだよね~"

やっぱ怪しい、むっちゃ怪しい。。。

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その時パウロが撮った僕の写真
撮影者パウロを見る僕の目は曇り、疑心暗鬼になっている表情がお分かりいただけるだろうか?

次は僕からパウロに提案する
"腹減った。ピザでも食べようよ"  
イタリアに着いてから何も食べていなくて、もーペコペコです

すると ”いいところがある”
彼に連れてこられたのは歩いて10分ほどのテイクアウト専門の地元のピザ店
グラム単位の量り売りをしてくれる店で、イタリア版のほっともっとといった感覚だろうか。
2人前で€8程度。ここはすかさず僕が支払う
(※出口戦略として、ワイン代の借りを少しでも返しておこうという考え)

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大通りから100mほど離れ、人通りがない外のベンチに座り、二人でピザを食す。(唯一のイタリアでの食事)
これがまた、全然おいしくないの! (^^;

その頃、パウロは僕の怪しむ表情を察してか、しゃべりの勢いが弱くなり、会話がだんだん弾まなくなってきていた。
ー微妙な空気が流れ始めるー

”トイレ行ってくる”
パウロはそう言うと、ベンチから数十m先の建物の影に消えた。
僕はその瞬間に "消えよう" かと考えたが、嫌な予感(お前逃げただろ的な報復)がしたので敢えてその場に残ることにした。

案の定、彼は10秒もしないうちに建物の影から再び姿を現す。
”いやー、トイレ閉まってたよ”とパウロは言うが
そんな早くトイレが閉まっているかわかるはずがない。
僕が逃げないか、見張っていたんだ。

彼の真意はわからない。しかし、これは友情ではない
いざとなれば殴り合いになるかもしれない
そろそろクライマックスが来たと感じる

僕:"Facebook持ってる? 連絡先交換しようよ"
パウロ:"あーFacebookとかSNSやってないんだ”

内心、やっぱりね。と思った。
この年代がSNSしないのは珍しいけど、これまでの展開から、もはや驚きではない

次に僕はパウロにスマホのFacebookの画面を見せる
"この人クラウディオって言ってさ、ローマ市警なんだよ。今日友達になってさー、さっき君に出会うまでメッセージしてたんだ。ほら”
この日アリタリアの飛行機トラブルで出会ったクラウディオの話をする。

しばしの沈黙のあと、パウロは僕に尋ねる
”この後バチカンまで行くって言ってたよね?俺も一緒に行こうか?それとも一人で行く?”

”一人で行くよ”
僕がそう答えると、彼は僕に挨拶をし、持ち前の早足でローマの路地裏に消えていった。
トラブルの予兆はあったが、それも別のイタリア人によって救われた。

結局、彼の狙いは何だったんだろう?
お金を取られたわけでもない。
なぜ僕に近づいてきたのだろう?
今でも疑問に思うことがある。
でも、それは友情ではなかったと思う
だから、あそこでおさらばした

その後パウロへの宣言通り、一人で夜のローマ市街を歩きバチカン市国、サンピエトロ寺院までたどり着いた。(トランジット先がもう一国増えたぜ)

そのとき午前0時を回っていた

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短くも、濃厚な初めてのローマ観光はそこで終了した

もう一度、あの名もなき遺跡の前で自称パウロから声がかけられるのか?
あの時の目的は何だったのか?
機会があれば聞いてみたいものである。

<当日泊まったホステル紹介>
"The Rome Hello"
個人的に人生で最も素晴らしいホステルだった!!★★★★★
広さ、お洒落さ、雰囲気、設備、立地、価格、すべてがパーフェクト!
時間がなくてホステルを満喫できなかったのが何より残念。
併設のお洒落なバーでウエルカムドリンク付き💜


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